先天性呼吸器・胸郭形成異常疾患に関する診療ガイドライン作成ならびに診療体制の構築・普及に関する研究

文献情報

文献番号
201811051A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性呼吸器・胸郭形成異常疾患に関する診療ガイドライン作成ならびに診療体制の構築・普及に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-041
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
臼井 規朗(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 小児外科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 小児外科学分野)
  • 早川 昌弘(名古屋大学 医学部附属病院 新生児科 病院教授)
  • 奥山 宏臣(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 小児成育外科教授)
  • 照井 慶太(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院 講師)
  • 甘利 昭一郎(国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター 新生児科)
  • 増本 幸二(国立大学法人筑波大学 医学医療系 小児外科)
  • 漆原 直人(静岡県立こども病院 小児外科)
  • 岡崎 任晴(順天堂大学 医学部 小児外科)
  • 稲村 昇(近畿大学 医学部 小児科)
  • 豊島 勝昭(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 新生児科)
  • 古川 泰三(京都府公立大学法人京都府立医科大学 小児外科)
  • 岡和田 学(順天堂大学 医学部 小児外科)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部 小児外科)
  • 広部 誠一(東京都立小児総合医療センター 小児外科)
  • 渕本 康史(慶應義塾大学 医学部 小児外科)
  • 松岡 健太郎(獨協医科大学埼玉医療センター 病理診断科)
  • 野澤 久美子(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 放射線科)
  • 前田 貢作(国立大学法人神戸大学 大学院医学研究科 小児外科学分野)
  • 西島 栄治(社会医療法人愛仁会高槻病院 小児外科)
  • 守本 倫子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 感覚器形態外科部耳鼻咽喉科)
  • 肥沼 悟郎(慶應義塾大学 医学部 小児科)
  • 二藤 隆春(東京大学 医学部附属病院 耳鼻咽喉科)
  • 藤野 明浩(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部外科)
  • 小関 道夫(国立大学法人岐阜大学 医学部附属病院 小児科)
  • 上野 滋(東海大学 医学部 小児外科)
  • 川上 紀明(国家公務員共済組合連合会名城病院 整形外科/脊椎脊髄センター)
  • 渡邉 航太(慶應義塾大学 医学部 整形外科)
  • 山元 拓哉(日本赤十字社鹿児島赤十字病院 第二整形外科)
  • 小谷 俊明(聖隷佐倉市民病院 整形外科)
  • 鈴木 哲平(独立行政法人国立病院機構神戸医療センター リハビリテーション科)
  • 佐藤 泰憲(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、先天性呼吸器・胸郭形成異常疾患である先天性横隔膜ヘルニア、先天性嚢胞性肺疾患、気道狭窄、頚部・胸部リンパ管腫(リンパ管奇形)・リンパ管腫症、肋骨異常を伴う先天性側弯症につき、診断基準や重症度分類を作成したうえで、学会等と連携しながら診療ガイドラインを整備し、長期的なフォローアップ体制と患者支援のための診療体制を構築し、難病拠点病院と連携した適切な診療体制を構築することである。
研究方法
先天性横隔膜ヘルニアについては、REDCapを用いた症例登録システムを利用し、本研究班に参加している15施設の症例について2006年〜2016年の症例に関しては後方視的研究としてデータの統計解析を行い、2017年以降に出生する症例に関しては、治療標準化のための統一治療プロトコールを作成して前方視的研究としてデータの統計解析が行えるように設計した。また、長期生存例に対する長期フォローアップを行えるようにCase Report Formを設計した。先天性嚢胞性肺疾患については、先天性嚢胞状腺腫様肺形成異常(CPAM)のみを単独で抜き出し、CPAMを特定するための臨床的・病理学的要件を検討して、新たなCPAMの診断基準を作成した。また、診療ガイドラインについては、10題のクリニカルクエッション(CQ)のうち、外科手術、長期フォローアップに関する3題のCQについてシステマティック・レビュー(SR)を完了し、推奨文を作成した。気道狭窄については、16 題のクリニカル・クエッションを設定して文献検索を終了した。検索結果を一次スクリーニングしたのち、二次スクリーニングまでを完了した。頚部・胸部リンパ管腫・リンパ管腫症については、リンパ管拡張症も研究対象として含めたうえで、全国調査の総括として論文を作成し、社会への情報還元の一貫としてホームページの改訂を行い、市民に公開するための「第3回小児リンパ管疾患シンポジウム」を開催した。肋骨異常を伴う先天性側弯症については、鹿児島件における発生頻度、全麻を行わない矯正ギプス装着の効果、VEPTER手術の効果、Dynamic MRIによる解析などを行った。
結果と考察
先天性横隔膜ヘルニアでは、症例登録システムに参加する15施設において2011-2017年に出生した531例の症例が登録された。今後は2006-2010年の症例を追加し、各症例の長期的な身体的・神経学的予後も解析可能となる見込みである。また、国際的なCDH研究グループとの共同研究も開始した。先天性嚢胞性肺疾患では、複数肺葉の罹患症例に対して肺全摘は推奨されるか、合併症にはどのようなものがあるか、定期的な胸部X線写真撮影は有用か、の3題に対して推奨文、解説文の策定を行った。気道狭窄では、クリニカルクエッションに対する文献検索と二次スクリーニングを完了し、AMEDエビデンス創出研究班『咽頭・喉頭・気管狭窄に関する全国疫学調査 』との連携研究を開始した。頚部・胸部リンパ管腫・リンパ管腫症では、調査研究の結果を2つの英文論文として発表した。また、『第3回小児リンパ管疾患シンポジウム』を開催した。肋骨を伴う先天性側弯症では、HOT/HMV施行中の患者における脊柱変形・肋骨変形の発生率が明らかとなった。また、すべての早期発症側弯症に対する矯正ギプス治療では全身麻酔は必ずしも必要ないことが示された。
本研究が対象とする先天性横隔膜ヘルニア、先天性嚢胞性肺疾患、気道狭窄、頚部・胸部リンパ管腫・リンパ管腫症、肋骨変形を伴う脊椎側弯症などのうち、半数以上の疾患でこれまでに診療ガイドラインが作成されたが、難治性希少疾患であるがゆえに、推奨文のエビデンスレベルはいずれも低いものに留まった。今後は難治性希少疾患のである先天性横隔膜ヘルニア、先天性嚢胞性肺疾患、気道狭窄、頚部・胸部リンパ管腫(リンパ管奇形)・リンパ管腫症、肋骨異常を伴う先天性側弯症については、さらなる症例の蓄積と科学的根拠を高めるための臨床研究の遂行により、エビデンスレベルを高めるとともに、社会保障制度を充実させながら、患者支援のための診療体制を確立することが重要と考えられた。
結論
先天性呼吸器・胸郭形成異常疾患のうち、難治性希少疾患のである先天性横隔膜ヘルニア、先天性嚢胞性肺疾患、気道狭窄、頚部・胸部リンパ管腫(リンパ管奇形)・リンパ管腫症、肋骨異常を伴う先天性側弯症については、さらなる症例の蓄積と科学的根拠を高めるための臨床研究の遂行により、エビデンスレベルを高めるとともに、社会保障制度を充実させながら、患者支援のための診療体制を確立することが重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,100,000円
(2)補助金確定額
9,049,000円
差引額 [(1)-(2)]
51,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,075,849円
人件費・謝金 261,570円
旅費 1,983,558円
その他 1,628,703円
間接経費 2,100,000円
合計 9,049,680円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
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