小児腎領域の希少・難治性疾患群の診療・研究体制の確立

文献情報

文献番号
201811049A
報告書区分
総括
研究課題名
小児腎領域の希少・難治性疾患群の診療・研究体制の確立
課題番号
H29-難治等(難)-一般-039
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
石倉 健司(北里大学 医学部小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 上村 治(一宮医療療育センター・医局)
  • 服部 元史(東京女子医科大学・医学部)
  • 中西 浩一(琉球大学・大学院医学研究科)
  • 丸山 彰一(名古屋大学・腎臓内科学)
  • 濱崎 祐子(東邦大学医学部・腎臓学講座)
  • 伊藤 秀一(横浜市立大学・大学院医学研究科 発生成育小児医療学)
  • 森貞 直哉(神戸大学・大学院医学研究科内科系講座小児科学分野)
  • 野津 寛大(神戸大学・大学院医学研究科内科系講座小児科学分野)
  • 張田 豊(東京大学・医学部附属病院)
  • 濱田 陸(東京都立小児総合医療センター・腎臓内科)
  • 金子徹治(東京都立小児総合医療センター・臨床試験科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
18,500,000円
研究者交替、所属機関変更
○「所属機関変更」 所属機関異動: 研究代表者石倉健司 国立成育医療研究センター腎臓・膠原病科 診療部長(平成30年4月1日~平成31年2月28日)→ 北里大学 医学部小児科学 教授(平成31年3月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究が対象とする小児腎領域の希少・難治性疾患群は,その多くが小児から成人期にかけて,末期腎不全に進行する難病である.これまでの研究成果を統合し,診療水準の向上と学会を通した患者への情報発信が強くもとめられている.具体的には,小児期に発症する腎領域の指定難病と小児慢性特定疾患を主たる対象として日本小児腎臓病学会,日本腎臓学会,日本小児科学会等と連携し,1.全国疫学調査に基づいた診療実態把握,2.エビデンスに基づいた診療ガイドライン等の確立と改定,3.診断基準・重症度分類・診療ガイドライン等のとりまとめと普及,を行い対象疾患の診療水準の向上と対象疾病の疫学情報,治療情報や研究成果を非専門医,患者及び国民に広く普及・周知に資する活動を行うことを目的とする.
研究方法
 小児CKDコホートの追跡予後調査に関して,本年度の回答率は86.6%であった(2019年5月時点).2010年時点でそれぞれCKDステージ3a,3b,4の患者の8年腎生存率は,CAKUT群で88.7%,49.4%,11.1%,非CAKUT群で64.1%,57.4%,17.2%であった.また昨年度から行っている腎性貧血の調査は,本年度は赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)の副作用に関して情報を収集し,殆どの使用例ではアナフィラキシーショックや赤芽球癆など重篤な副作用無く使用できていることが明らかになった.(一例のみ原病と関連すると思われる骨髄異形成が認められた.)
 小児腎領域の難病の診療に関する施設調査で難病診療状況の情報公開に関する同意90.8%の施設から得られた.そして症例調査を行った7疾患に関しては,各々の発見動機,発見年齢と発見時血清GFR,腎外症状,遺伝子異常の有無などの情報を収集出来た.
 さらに昨年に引き続きエビデンスレベルに応じて,診療ガイドラインや患者向けパフレットの整備等をすすめウェブサイトを整備した.沖縄県那覇市で,小児科医を主な対象とした啓発目的のフォーラムを開催した.
結果と考察
 対象疾患である先天性腎尿路異常,先天性ネフローゼ症候群,バーター/ギッテルマン症候群,エプスタイン症候群,アルポート症候群,鰓耳腎症候群,ギャロウェイ-モワト症候群,ネイルパテラ症候群,特発性ネフローゼ症候群,ネフロン癆,ロウ症候群に対して,治療実態,研究開発状況の情報収集,診療ガイドライン・手引書の作成・妥当性評価,患者・家族向け診療パンフレット等の作成と情報提供用ウェブサイトの構築,研究協力者,診療医への普及・啓発活動,全国診療体制の確立等を行った.
 並行して平成22年度に厚生労働科学研究費補助金難治克服研究事業で確立し,その後継続してきた小児慢性腎臓病(小児CKD)コホートの追跡予後調査を行った.さらに本年度は初年度に500床以上等の小児腎領域の難病症例を診療し得る377施設中回答頂けた296施設に対し,指定難病4疾病(ギャロウェイ・モワト症候群,エプスタイン症候群,鰓耳腎症候群,ネイルパテラ症候群/LMX1B関連腎症)と小児特定慢性疾病3疾病(ロウ症候群,ネフロン癆,バーター症候群・ギッテルマン症候群)に関する症例調査を行った.
 【研究成果の刊行に関する一覧表】別紙
 【研究成果による知的財産権の出願・取得状況】該当無し
 【研究により得られた成果の今後の活用・提供】2010年から行われている小児CKDコホート研究は,開始8年後の情報の解析を行った.また昨年度から行っている腎性貧血の調査は,本年度は赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)関し,小児CKDにおける安全性を明らかにした.今後も小児CKDの成人への移行期を超えた小児CKDの自然史の解明をめざし追跡調査を続けていく.
結論
 調査協力施設の約90%の病院から情報公開に関する承諾を得られたため,今後難病拠点病院との連携を視野に入れた診療体制や,小児腎臓病学会等との連携を構築していく予定である.また各疾患の発見動機が明らかになったことで,予後との関連も検討の上さらに適切かつ早期発見をめざして,普及啓発をすすめる.一方特に希少でエビデンスの確立していないその他の疾患に関しては,エビデンスに基づいたガイドラインの作成は困難な中で,より実地医療に基づいた診療ガイドや患者向けのパンフレットの作成,Webの作成をすすめていく.さらに今後特に患者への直接の還元を目指し,患者への情報公開,発信を続けていく.

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,050,000円
(2)補助金確定額
24,050,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,852,418円
人件費・謝金 4,452,095円
旅費 3,823,381円
その他 7,375,022円
間接経費 5,550,000円
合計 24,052,916円

備考

備考
研究事務員の給与金額に計算ミスがあったことが判明し、差額の2,916円分を、研究代表者の自己資金で支払ったため。

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
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