稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201811039A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-029
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部 皮膚科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 裕美(川崎医科大学 皮膚科)
  • 秋山 真志(名古屋大学大学院 医学系研究科皮膚科学)
  • 池田 志斈(順天堂大学大学院 医学研究科皮膚科学・アレルギー学)
  • 石河 晃(東邦大学医療センター大森病院 皮膚科)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部衛生学講座)
  • 小池 雄太(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野)
  • 澤村 大輔(弘前大学大学院 医学研究科皮膚科学講座)
  • 清水 宏(北海道大学大学院 医学研究院皮膚科学教室)
  • 下村 裕(山口大学大学院 医学系研究科皮膚科学分野)
  • 鈴木 民夫(山形大学大学院 医学系研究科皮膚科学講座)
  • 玉井 克人(大阪大学大学院 医学系研究科再生誘導医学寄附講座)
  • 照井 正(日本大学 医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
  • 秀 道広(広島大学大学院・医歯薬保健学研究科皮膚科学)
  • 山上 淳(慶應義塾大学 医学部皮膚科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原因不明で治療法が確立していない難治性皮膚疾患に対する医療の基盤を強化するため、研究対象となっている各疾患の診断基準・重症度分類基準の策定と普及、疫学調査とデータベースの作成、全国共通で国際的に通用する診療ガイドラインの開発・改訂を目的とする。
研究方法
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 診療ガイドラインの改訂・最適化を行うため、罹患状況の調査、ガイドラインに準拠した天疱瘡の治療成績の評価を行なった。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 薬剤との因果関係を含めた罹患実態および臨床情報の調査を行った。
[膿疱性乾癬] ガイドラインの普及による治療水準の向上をめざして、患者QOL調査を行った。
[表皮水疱症] 最新情報を整理して、診療ガイドライン策定作業を進めた。
[先天性魚鱗癬] 重症度調査票の記載と患者QOLとの関連を調査した。
[弾性線維性仮性黄色腫] 最新の臨床研究結果をもとにガイドラインの策定と普及を行なった。
[眼皮膚白皮症] ガイドラインの啓蒙・普及を進めるとともに、効率的な診断方法の確立を試みた。
[遺伝性血管性浮腫] 治療内容を記録するレジストリを立ち上げることにより、本邦における疾病と診療の実情を把握した。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 各疾患におけるレジストリ作成を進めた。さらに、先天性魚鱗癬について全国疫学調査を実施した。
[生体試料蓄積] 基本的枠組みを生かしつつ、独立行政法人・医薬基盤研究所・難病研究資源バンクと提携しながら生体試料収集を継続した。
結果と考察
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] ステロイド治療抵抗性の自己免疫性水疱症に対するリツキシマブ療法の有用性が示された。本邦において初めての前向き臨床研究であり、今後、天疱瘡の治療方針等に大きく影響すると考えられる。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] DPP4阻害薬に関連した水疱性類天疱瘡について、非炎症型が多い臨床的特徴が示唆された。DPP4阻害薬の種類によって発生数に違いが見られ、今後も症例を蓄積していくことが重要と考えられた。
[膿疱性乾癬] QOL調査において、初診時の発熱の有無、白血球数などとの関連は見られなかった。情報提供を継続的に行なう必要性が再認識され、前向き研究についても計画中である。
[表皮水疱症] 診療ガイドライン作成に向けて重要な情報を集めるとともに、患者会との連携を強化した。
[先天性魚鱗癬] QOL調査の結果から、重症度の妥当性と患者QOLとの相関が示された。
[弾性線維性仮性黄色腫] 昨年発表された診療ガイドラインに基づいて、レジストリへの患者情報の登録を進めた。
[眼皮膚白皮症] 原因として判明している32種類の遺伝子を含むパネルを作成して、次世代シークエンサーを使用して解析する新しい方法を導入し、解析感度が上昇した。
[遺伝性血管性浮腫] オンラインでのレジストリシステムの運用を開始した。今後、患者データを活用した治療方針の立案等が期待される。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 全国の協力施設より送られた情報から、発症年齢は小児が多く、掌蹠角化が多い、といった特徴が示唆された。今後は、遺伝子情報を含む出生時からの追跡調査が望まれる。
[生体試料蓄積] 現行システムを検討した結果、円滑な試料の収集が行われていたとは言いがたい。試料提供時の手続きの煩雑さなどを改善する必要があり、生体試料バンク事業については、抜本的な見直しが必要と考えられた。
結論
本研究の目的は、稀少難治性皮膚疾患における、1)診療ガイドラインの作成と改訂、2)データベース作成・疫学解析、3)情報提供と社会啓発であり、各疾患群の研究と共通研究課題が協調しながら着実に目標に進んでいる。本研究の対象疾患のうち、ガイドラインがまだ完成していない表皮水疱症と先天性魚鱗癬においても、診療ガイドライン策定に向けての動きが順調に進んでいる。来年度以降も、ガイドライン最適化、新しい診断法や治療の開発など、臨床に直結する成果を求めるとともに、QOL調査や患者会の支援などを通じて、対象疾患の患者・家族に還元できるような研究活動を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,126,928円
人件費・謝金 8,366,785円
旅費 956,288円
その他 1,553,126円
間接経費 6,000,000円
合計 26,003,127円

備考

備考
*自己資金:3,127円

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-