重症多形滲出性紅斑に関する調査研究

文献情報

文献番号
201811038A
報告書区分
総括
研究課題名
重症多形滲出性紅斑に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-028
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
森田 栄伸(国立大学法人島根大学 医学部皮膚科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 相原 道子(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 末木 博彦(昭和大学 医学部)
  • 浅田 秀夫(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部)
  • 阿部 理一郎(国立大学法人新潟大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 橋爪 秀夫(市立島田市民病院 診療部)
  • 外園 千恵(京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部)
  • 莚田 泰誠(国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター)
  • 椛島 健治(京都大学 大学院医学系研究科)
  • 大山 学(杏林大学 医学部)
  • 高橋 勇人(慶應義塾大学 医学部)
  • 佐山 浩二(国立大学法人愛媛大学 医学部)
  • 新原 寛之(国立大学法人島根大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
13,462,000円
研究者交替、所属機関変更
該当なし

研究報告書(概要版)

研究目的
重症多形滲出性紅斑であるStevens-Johnson症候群(SJS)/中毒性表皮壊死症(TEN)及び薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診療ガイドラインを策定し、その普及とともに診療ガイドラインのエビデンスに基づく改訂を行い、これらの疾患の医療の向上と均てん化を目的とする。
研究方法
1. 診療拠点病院の整備
ガイドライン解説講習会への参加、病院内診療科の連携体制確認を認定基準とする。
2. 遺伝的背景の検討
DNAおよび診療情報の収集を継続して行い、SJS/TEN発症の遺伝的要因を解明する。
3. 疫学調査の実施
全国疫学調査を実施する。
4. 治療法向上のための臨床研究の実施
「重症薬疹に対するステロイドパルス療法の有用性に関する多施設共同臨床研究」を実施する。「重症薬疹に対するシクロスポリン療法のオープン試験」の研究計画を立案する。診断精度の向上のための臨床研究を実施する。
5. DIHSの診療ガイドラインの作成
DIHSの重症度分類を作成する。DIHS早期診断に有用な臨床マーカーを見出し、診断精度を高める。
6. 分子標的薬や生物学的製剤にみられる皮膚障害の実態調査
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害の実態を把握する。
結果と考察
1. 講習会に参加の26大学病院から23大学病院を診療拠点病院に認定した。2017年度と合わせて60施設を認定した。33病院の重症薬疹診療連携施設は0から25施設(平均5.8施設)であった。
2. DNA収集を継続して行った。フェニトイン誘発薬疹関連遺伝子CYP2C9*3、HLA-B*51:01を同定した。HLA-B*58:01のLAMP法検出はアロプリノール薬疹発症の確定診断に有用であることを示した。
3. 一次調査は日本皮膚科学会認定皮膚科専門医研修施設、病床数別に層化無作為抽出された施設と全大学病院の皮膚科1205施設とし705科から回答が得られた(回収率58.5%)。二次調査を開始した。
4. ステロイドパルス療法の臨床研究で6例の評価が終了した。ステロイドパルス療法およびベタメサゾン点眼の眼症状に対する有効性が示された。薬剤リンパ球刺激試験に薬剤によるBATを加えて評価し、両方で陰性であった症例の陰性的中率は97.1%であり、薬剤の原因薬の同定に有用である可能性が示された。原因薬剤添加により患者末梢血単核球から産生される数種のバイオマーカー候補タンパク質を特定した。共焦点レーザー顕微鏡が重症多形滲出性紅斑の早期の診断に応用できる可能性が示された。
5. DIHSの重症度分類を作成するため症例集積を進めた。長期観察されたDIHS 55症例から重症度とサイトメガロウイルスの再活性化に関連があることが示された。先進医療「血清TARC迅速測定法を用いた重症薬疹の早期診断法」に19例が登録された。
6. 免疫チェックポイント阻害薬で皮膚障害を生じた症例で血清中炎症性サイトカイン、末梢血抑制性T細胞の減少の関与さ示された。
結論
60大学病院を重症薬疹診療拠点病院に認定した。DNA収集を継続して行い、フェニトイン誘発薬疹関連遺伝子としてCYP2C9*3およびHLA-B*51:01を同定した。SJS/TENの全国疫学調査を開始した。
「重症薬疹に対するステロイドパルス療法の有用性に関する多施設共同臨床研究」に6例を登録評価した。DIHS重症度分類作成のための症例集積を開始した。初期の臨床症状の重症度からサイトメガロウイルスの再活性化の予測ができることを示した。DIHSの早期診断の補助となる血清TARC値の測定を先進医療に19例を登録した。免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害の病態解析を実施した。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,500,000円
(2)補助金確定額
17,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,243,900円
人件費・謝金 1,941,586円
旅費 1,608,630円
その他 5,123,384円
間接経費 4,038,000円
合計 16,955,500円

備考

備考
残額 544,500円があるため。

公開日・更新日

公開日
2020-02-19
更新日
-