文献情報
文献番号
201811035A
報告書区分
総括
研究課題名
先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-025
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部 臨床遺伝学センター)
研究分担者(所属機関)
- 松原 洋一(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所)
- 森崎 裕子(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院・臨床遺伝科)
- 増井 徹(慶應義塾大学 医学部 臨床遺伝学センター)
- 仁科 幸子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・感覚器・形態外科部 眼科)
- 松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部)
- 小崎 里華(国立研究開発法人国立成育医療研究センター・生体防御系内科部遺伝診療科)
- 青木 洋子(国立大学法人東北大学・大学院医学系研究科)
- 森山 啓司(国立大学法人東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科)
- 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター・遺伝科)
- 大橋 博文(埼玉県立小児医療センター・遺伝科)
- 古庄 知己(国立大学法人信州大学・医学部遺伝医学教室)
- 緒方 勤(国立大学法人浜松医科大学・小児科学講座)
- 齋藤 伸治(公立大学法人名古屋市立大学・大学院医学研究科 新生児・小児医学分野)
- 水野 誠司(愛知県医療療育総合センター発達障害研究所・遺伝子医療研究部)
- 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター・遺伝診療科 )
- 松浦 伸也(国立大学法人広島大学・原爆放射線医科学研究所)
- 副島 英伸(国立大学法人佐賀大学・医学部分子生命科学講座)
- 吉浦 孝一郎(国立大学法人長崎大学・原爆後障害医療研究所)
- 沼部 博直(東京医科大学・東京医科大学病院遺伝子診療センター)
- 樋野村 亜希子(国立大学法人滋賀医科大学 ・倫理審査室)
- 足立 香織(国立大学法人鳥取大学・生命機能研究支援センター)
- 渡邉 淳(金沢大学附属病院・附属病院)
- 加藤 光広(昭和大学・医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
19,230,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関名称変更
研究分担者 水野誠司
所属機関名:愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所(平成30年4月1日~平成31年2月28日)
→ 所属機関名:愛知県医療療育総合センター発達障害研究所(平成31年3月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
(1) 昨年度、日本小児遺伝学会会員に配布し、その後ウェブ版の運用も開始した「疾患特異的成長手帳(診療の手引き)」について学会・患者会と連携し普及・啓発活動を進めるとともに使用後のフィードバックを収集する。
(2) 研究対象としている51疾患について、診断基準・重症度分類・全身管理のチェックポイント、それぞれの内容の修正・改定に向けた情報収集を継続する。軽症者や非典型的な症状を呈する患者の実態、遺伝子診断の実施状況を検討・整理する。各症候群の成人期特有の合併症を抽出・類型化し、現行の重症度基準に反映させる。
(3) 症状が非典型的である症例について、遺伝子診断を補助診断として実施する。変異陽性であった患者の臨床情報を収集し、疾患概念の拡張・臨床診断基準の修正に向けて情報を整理・検討する。
(4) 先天異常症候群領域のうち、新たな疾患について診断基準案・重症度分類案を検討・確定する。特に小児慢性特定疾病だが指定難病未指定の疾患について移行期支援の観点から評価する。
(2) 研究対象としている51疾患について、診断基準・重症度分類・全身管理のチェックポイント、それぞれの内容の修正・改定に向けた情報収集を継続する。軽症者や非典型的な症状を呈する患者の実態、遺伝子診断の実施状況を検討・整理する。各症候群の成人期特有の合併症を抽出・類型化し、現行の重症度基準に反映させる。
(3) 症状が非典型的である症例について、遺伝子診断を補助診断として実施する。変異陽性であった患者の臨床情報を収集し、疾患概念の拡張・臨床診断基準の修正に向けて情報を整理・検討する。
(4) 先天異常症候群領域のうち、新たな疾患について診断基準案・重症度分類案を検討・確定する。特に小児慢性特定疾病だが指定難病未指定の疾患について移行期支援の観点から評価する。
研究方法
(1)診断基準や重症度分類 妥当性の検証とともに未知の合併症について情報収集を進める。特に現行の重症度分類では軽症と判断される患者数等の実態・重症者との比率を明らかにする。遺伝子診断により確定される患者の比率についても明らかにする。
(2)疾患特異的成長手帳 昨年から使用開始した疾患特異的成育手帳について、改善点や要望についてのフィードバックを医療者・患者・家族から収集し、情報を整理する。
(3)早期診断体制:診断困難症例・非典型症例について、研究班内で情報共有を図る。必要に応じて遺伝子診断を行い、変異陽性例の症状幅を明らかにし、診断基準を修正する。
(4)非典型症例:診断基準に非典型な症例について遺伝子診断を行い、変異陽性の非典型例から、疾患概念の拡張、臨床診断基準の拡張と修正を行い、その感度・特異度の向上を図る。
(5)定量的症例間比較の検討:個別の疾患の診断基準の特異度・感度の定量的評価に向けて準備を行う。昨年度までに整理した主要症状のHPO(Human Phenotype Ontology)を、NTO法(Normalized Term Overlap)等の数学的手法で、症例間の定量的評価を行う。
(2)疾患特異的成長手帳 昨年から使用開始した疾患特異的成育手帳について、改善点や要望についてのフィードバックを医療者・患者・家族から収集し、情報を整理する。
(3)早期診断体制:診断困難症例・非典型症例について、研究班内で情報共有を図る。必要に応じて遺伝子診断を行い、変異陽性例の症状幅を明らかにし、診断基準を修正する。
(4)非典型症例:診断基準に非典型な症例について遺伝子診断を行い、変異陽性の非典型例から、疾患概念の拡張、臨床診断基準の拡張と修正を行い、その感度・特異度の向上を図る。
(5)定量的症例間比較の検討:個別の疾患の診断基準の特異度・感度の定量的評価に向けて準備を行う。昨年度までに整理した主要症状のHPO(Human Phenotype Ontology)を、NTO法(Normalized Term Overlap)等の数学的手法で、症例間の定量的評価を行う。
結果と考察
<結果>
(1)診断基準や重症度分類 対象の51疾患について、現行の診断基準の妥当性検証するとともに未知の合併症について情報収集を進めた。小児及び小児期に診断され、成人となった患者の現状把握と成人期特有の合併症についても情報収集を行った。
(2)疾患特異的成長手帳 昨年度から本格的に使用開始した疾患特異的成育手帳についてフィードバックの収集を開始した。特に成人後の問題点について情報を収集した。次年度の診断基準改定に向けて整理を進めている。
(3)早期診断体制:診断困難症例について、昨年度に続き研究班内で情報共有を図ることを心がけた。軽症例や非典型症例については臨床ゲノム情報統合データベース事業と連携し遺伝子診断を利用し、早期診断を心がけた。
(4)非典型症例:適宜遺伝子診断を継続し、変異陽性の非典型例を集積した。未診断症例についてAMED「未診断疾患イニシアチブ」と適宜連携した。
(5)定量的症例間比較の検討:昨年度集積した、対象となる51疾患の症状のHPOリストについて、定量的な評価を開始した。NTO法等を用いた他の稀少疾患との鑑別についての評価も開始した。先天異常症候群領域の疾患群について、各疾患の症状をHPOの形式を用いて表現型の蓄積を継続して行なった。次年度、定量的症例間比較の基礎データを作る。
<考察>
51疾患について昨年度までに配布し、日常診療における使用を開始した疾患特異的成育手帳につい
て、医療者・患者・家族からフィードバックの収集を開始した。また、本研究班で作成した診断基準・重症度分類についても次年度の修正・改定に向けて検討した。非典型例や診断困難な症例については遺伝子検査を補助診断として実施した。未診断症例については他の研究班とも適宜連携した。診断のついた症例について症状を昨年度作成したHPOによるリストを用いて集積・整理した。次年度までに疾患ごとの表現型を蓄積・整理し、定量的症例間比較の基礎データとする。
(1)診断基準や重症度分類 対象の51疾患について、現行の診断基準の妥当性検証するとともに未知の合併症について情報収集を進めた。小児及び小児期に診断され、成人となった患者の現状把握と成人期特有の合併症についても情報収集を行った。
(2)疾患特異的成長手帳 昨年度から本格的に使用開始した疾患特異的成育手帳についてフィードバックの収集を開始した。特に成人後の問題点について情報を収集した。次年度の診断基準改定に向けて整理を進めている。
(3)早期診断体制:診断困難症例について、昨年度に続き研究班内で情報共有を図ることを心がけた。軽症例や非典型症例については臨床ゲノム情報統合データベース事業と連携し遺伝子診断を利用し、早期診断を心がけた。
(4)非典型症例:適宜遺伝子診断を継続し、変異陽性の非典型例を集積した。未診断症例についてAMED「未診断疾患イニシアチブ」と適宜連携した。
(5)定量的症例間比較の検討:昨年度集積した、対象となる51疾患の症状のHPOリストについて、定量的な評価を開始した。NTO法等を用いた他の稀少疾患との鑑別についての評価も開始した。先天異常症候群領域の疾患群について、各疾患の症状をHPOの形式を用いて表現型の蓄積を継続して行なった。次年度、定量的症例間比較の基礎データを作る。
<考察>
51疾患について昨年度までに配布し、日常診療における使用を開始した疾患特異的成育手帳につい
て、医療者・患者・家族からフィードバックの収集を開始した。また、本研究班で作成した診断基準・重症度分類についても次年度の修正・改定に向けて検討した。非典型例や診断困難な症例については遺伝子検査を補助診断として実施した。未診断症例については他の研究班とも適宜連携した。診断のついた症例について症状を昨年度作成したHPOによるリストを用いて集積・整理した。次年度までに疾患ごとの表現型を蓄積・整理し、定量的症例間比較の基礎データとする。
結論
対象の51疾患について診断基準・重症度分類の見直しを継続した。小児患者に加えて成人患者についても情報収集し、年齢特異的な合併症を収集した。診断困難例・非典型例については遺伝子解析を補助診断として利用した。診断基準の見直しの必要性が再認識された。また、HPOを用いた症状の集積を疾患ごとに継続して行なった。定量的症例間比較を実施すべくこの情報を基礎データとしてデータベース構築に向けた情報の類型化を行なった。
公開日・更新日
公開日
2019-09-17
更新日
-