非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究

文献情報

文献番号
201811029A
報告書区分
総括
研究課題名
非癌、慢性炎症性リンパ節・骨髄異常を示すキャッスルマン病、TAFRO症候群その類縁疾患の診断基準、重症度分類の改正、診断・治療のガイドラインの策定に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-019
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
吉崎 和幸(大阪大学 大学院情報科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 水木 満佐央(大阪大学 医学部附属病院)
  • 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部)
  • 川端 浩(金沢医科大学 医学部)
  • 正木 康史(金沢医科大学 医学部)
  • 中村 栄男(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 小島 勝(獨協医科大学 医学部)
  • 矢野 真吾(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 宇野 賀津子((公財)ルイ・パストゥール医学研究センター・基礎研究部)
  • 石垣 靖人(金沢医科大学 総合医学研究所)
  • 井出 眞(高松赤十字病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
小島勝 平成30年10月21日 脱退

研究報告書(概要版)

研究目的
キャッスルマン病の亜分類型の詳細な診断基準等についての解析は不十分であり、またTAFRO症候群は症状・所見を基にするため病理に類似所見を有するもの、あるいはそうでない亜群も存在する。同時に両疾患と病態類似疾患のPOEMS症候群、IgG4関連疾患群等との異同についての解析の必要性が生じた。このような類縁疾患の分類や鑑別を明確することによって学術的にも政策的にも明確な理解が得られ、最終的には適切な患者治療に結びつけられることを目的とした。新たな診断基準、重症度分類、診断ガイドラインを令和2年1月までに策定する。同時に学会員への啓発活動を強化、また地域中核病院を中心とした我国の診療体制の活動を含めた実質的確立を目指す。更にCastleman Disease Collaborative Network (CDCN) 組織を介して国際的活動を継続する。
研究方法
1.CD、TAFROの患者数(岡本、水木、角田):地域中核病院及び関連施設、更に血液学会やリウマチ学会の会員に対するアンケート調査を行なう。2.CD、TAFROの地域中核病院構想(矢野、塚本、瀬戸口、山本(洋)、上田):連携施設約113施設を特定する。3.患者会への支援(吉崎、岡本、川端、松井、高井、藤原、徳嶺、水谷):勉強会、講演、治療相談に応じる。4.CD、TAFROの診断基準、診療ガイドライン、重症度分類の策定(川端、岡本、正木、青木、吉崎):新たなエビデンスを得るため継続的に症例を検討し治療経過からエビデンスを得る。5.CD、TAFROの病理診断基準の決定と中央病理診断センターの設立(中村、黒瀬):TAFROとCDの相異を検討する。金沢医科大学病院病理部の支援により中央病理診断センターを設立、病理診断を最終確定とする。6.国際CD病臨床ネットワーク(CDCN))との協力(吉崎、井出、水木):阪大病院倫理委員会の了解を得て、海外へのサンプル、情報流出の問題を解決する。7.CD、TAFROとその類縁疾患であるIgG4-関連疾患及びPOEMS症候群との異同を検討(青木、川端、正木、黒瀬、高井、石垣、松井、瀬戸口、生島、鬼頭、吉崎):班会議で特別検討会を開催、また4疾患合同検討会を開く。8.難治性疾患実用化研究事業との連携(吉崎、川端、正木、川上、古賀、角田、小島、宇野、黒瀬、小安、松田、新納):AMED研究事業として第1は、mTOR阻害のRapamycin による治療薬の開発。第2は、診療参照ガイドを信頼性の高いガイドラインにするため、病因や病態を解析し新たなエビデンスを得る。
結果と考察
1.平成30年4月から「キャッスルマン病」が指定難病となり患者は顕在化し増加が見込まれた。2.地域連携医療施設は100施設を越えた。本研究班の拠点病院の名称を「キャッスルマン病地域中核病院」に変更。3.患者教育、個別指導、講演を担当。昨年からTAFROの患者が参加し講演も行った。4.信頼性の高いMINDに基づいた診療ガイドライン策定に向う。5.中央病理診断センターを設立し、金沢医科大学病院病理部の協力により診断提供システムを構築。6.CDCNの中核として活動。7.班会議でCD、TAFRO、IgG4-RD、POEMS総合討論が催された。臨床、病態、病理についての4疾患合同検討会を開催。8.ラパマイシンによる治療を提案しAMEDへ医師主導による治療研究を申請し採択。また、病態にmTORシグナルの関与が示唆されたので、新納宏昭先生、小安重夫先生、松田達志先生の参加を得て検討している。
結論
従来の疾患別研究としての継続研究に加えて、領域別研究として、CD、TAFRO、その類縁疾患を総合的にとらえて各疾患の相同、相異を検討し適切な鑑別診断が可能とする研究を開始した。1.患者数については、倫理委員会の許可が得られたので疫学調査を通して推定する。2.地域中核病院構想はほぼ確定。3.キャッスルマン病が指定難病として追加。このことにより患者に対して経済的に恩恵が与えられ認知度の向上につながる。4.患者会の毎年の援助を行った。5.診療参照ガイドが策定され、関連学会の血液学会、リウマチ学会に承認された。6.中央病理診断センターの確立スタートした。7.国際診断基準、治療アルゴリズム策定に関与した。診断基準治療アルゴリズムがBloodに掲載。8.CDとTAFRO及び、IgG4-RD、POEMSの総合討論会を班会議にて行った。また、年末に4疾患合同検討会を行った。特にIgG4-RD班および、POEMS班から専門医による話題提供があった。9.難治性疾患実用化研究事業としてIL-6阻害剤の欠点を補うmTOR阻害のラパマイシンを用いた新しい治療法の開発を行う。AMED支援により治験が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2019-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 799,583円
人件費・謝金 1,463,363円
旅費 1,212,288円
その他 381,400円
間接経費 1,153,000円
合計 5,009,634円

備考

備考
自己資金:9634円

公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
-