慢性活動性EBウイルス感染症と類縁疾患の疾患レジストリとバイオバンクの構築

文献情報

文献番号
201811026A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性活動性EBウイルス感染症と類縁疾患の疾患レジストリとバイオバンクの構築
課題番号
H29-難治等(難)-一般-016
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
木村 宏(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤嘉規(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 岩月啓氏(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 大賀正一(九州大学 大学院医学研究院)
  • 大島孝一(久留米大学 医学部)
  • 新井文子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 笹原洋二(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 澤田明久(大阪母子医療センター 病院)
  • 今留謙一(国立成育医療研究センタ- )
  • 小林 徹(国立成育医療研究センタ- 臨床研究センタ-)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
10,227,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性活動性EBウイルス感染症、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症、種痘様水疱症、蚊刺過敏症は、我が国の小児・若年成人に特有な希少難治性疾患である。本研究班ではこれら4疾患に対する疾患レジストリとバイオバンクを立ち上げ、次期ガイドライン改訂のための診療情報を集積するとともに、病態研究や体外診断薬/新規治療薬開発の医師主導治験の受け皿となる体制を確立することを目的としている。
研究方法
3か年計画の第2年目にあたる本年度、前年度試験開発した疾患レジストリの本格運用を、成育医療センタ-および関連施設で開始した。また、前研究班で構築した感染細胞同定、病理診断の中央診断体制を維持した。同じく前研究班で制定した診療ガイドラインの周知活動や、患者会や関連するAMED研究班との連携活動も行った。
結果と考察
1) 中央診断体制の維持:
感染細胞同定(名古屋大学および成育医療研究センター)、病理診断(久留米大学)にて中央診断を実施し、慢性活動性EBV感染症を31例、EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症患者を33例、種痘様水疱症患者を4例、蚊刺過敏症患者を2例、新規診断し、併せて70例の新規診断例の診療に役立てた。一方、研究代表者らが確立し、本研究班および患者研究会よりその有用性を訴えてきたEBV-DNA定量は、平成30年4月から健康保険収載となった。慢性活動性EBウイルス感染症の診断・経過観察に対しても、EBV-DNA定量は保険適用された。
2) 患者レジストリ構築の準備
前年度試験開発した疾患レジストリを、引き続き成育医療センタ-および関連施設で運用し、24症例を蓄積した。改正された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に則り、さらに他施設でも運用できるように改めた研究実施計画書を作成し、倫理委員会の承認を受けた。この疾患レジストリを、平成31年1月より本運用した。
3) 診療ガイドラインの周知活動
平成28年に刊行した診療ガイドライン(慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン2016; 日本小児感染症学会監修)を, 日本小児感染症学会、Minds(日本医療機能評価機構)および本研究班のHPにて無料公開している。本年度、疾患及び診療ガイドラインの概要について総説論文で紹介した。また、診療ガイドライン改正に向けて必要な重症度分類制定のための情報を収集し、本年度第2回の班会議において討議した。
4) 患者会との連携活動
平成30年11月18日、本研究班とCAEBV患者会SHAKEとの共催で、第9回患者交流会「新たなステップへ」を開催し、研究班の活動を紹介するとともに、患者のニーズの把握に努めた。
5) AMED研究班との連携活動
平成29年度採択された難治性疾患実用化研究事業 宮野班と連携し、次世代シーケンサーを用いた病態解明研究を行い、慢性活動性EBウイルス感染症の発症機転に大きく関わる発見をした。平成30年度採択された希少難治性疾患に対する「画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究」 新井班と連携し、「慢性活動性EBウイルス感染症を対象としたJAK1/2阻害剤ルキソリチニブの医師主導治験」の研究母体を提供した。
結論
慢性活動性EBウイルス感染症と類縁疾患に対する疾患レジストリとバイオバンクの確立を目的とした研究班を立ち上げた。第2年目にあたる平成30年は、登録システムを成育医療研究センターに事務局をおく登録システムの本格運用を開始した。疾患レジストリおよびバイオバンクを確立は、本疾患群の実態解明、疾患予後改善、患者の生活の質改善につながると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2019-09-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,294,000円
(2)補助金確定額
13,294,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,819,278円
人件費・謝金 2,536,417円
旅費 1,065,020円
その他 1,806,285円
間接経費 3,067,000円
合計 13,294,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
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