原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201811023A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの確立に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-013
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
野々山 恵章(防衛医科大学校 医学教育部医学科小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 雅文(北海道大学 大学院医学研究院小児科学教室)
  • 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 高田 英俊(筑波大学 医学医療系小児科学)
  • 小原 收(公益財団法人かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
  • 小野寺 雅史(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 成育遺伝研究部)
  • 大西 秀典(岐阜大学 医学部附属病院小児科)
  • 村松 秀城(名古屋大学 医学部附属病院小児科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医薬保健研究域医学系小児科)
  • 平家 俊男(京都大学 大学院医学研究科発達小児科学)
  • 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所創薬技術開発室)
  • 小林 正夫(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科小児科学)
  • 峯岸 克行(徳島大学 先端酵素学研究所プロテオゲノム研究領域免疫アレルギー学分野)
  • 大賀 正一(九州大学 大学院医学研究院成長発達医学分野)
  • 堀内 孝彦(九州大学病院別府病院 内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
30,220,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性免疫不全症候群に対する診断基準・重症度分類および診療ガイドラインの策定を目的とした。原発性免疫不全症候群は指定難病および小児慢性特定疾患に指定されている稀少難病であり、300種類以上の疾病がある。本研究では、疾病ごとの診断基準・重症度分類および診療ガイドラインを策定、遺伝子診断体制の確立、患者レジストリへの登録、患者向け勉強会の開催を行い、適切な診断、診療による難病診療レベルの向上、患者QOL向上、難病支援策の構築に貢献する。また予防接種の禁忌になっている疾患を含むため、問診などで疑われた場合や、誤接種の場合の対応も行う。
研究方法
1)診療ガイドラインの策定
指定難病では300以上の疾病を含む原発性免疫不全症候群を、国際免疫学会の分類に準拠して1)複合免疫不全症、2)免疫不全を伴う特徴的な症候群、3)液性免疫不全を主とする疾患、4)免疫調節障害、5)原発性食細胞機能不全症および欠損症、6)自然免疫異常、7)先天性補体欠損症に細分類している。平成30年度は、7細分類ごとに19疾病を選び、診療ガイドラインを策定した。
b. 遺伝子診断体制の確立
日本免疫不全・自己炎症学会及び、かずさDNA研究所と連携し、遺伝子診断体制を確立した。
c. PIDJ登録の推進・患者相談体制の構築
全国から患者紹介を受け、FACS解析、遺伝子解析を行い、本研究班により構築した原発性免疫不全症候群患者データベース (PIDJ)に確定診断名、臨床データ、解析データを今年度は新たに533人登録し、累計5,600例の患者が登録された。
日本免疫不全・自己炎症学会ホームページに症例相談を設けた。これにより、医師からの原発性免疫不全症候群に関する診断と治療についての相談を受ける体制を構築した。
d. 患者向け勉強会の開催
患者向け勉強会(医療講演、個別医療相談)を、平成30年5月27日, 平成30年11月4日に、患者家族会であるPIDつばさの会と連携して開催した。
e. 予防接種対応策の策定
原発性免疫不全症候群患者に禁忌である予防接種の実施を防ぐため、禁忌患者の実態把握、問診での疑い症例や誤接種患者への対応、原発性免疫不全症候群に対する予防接種に関する相談体制の構築に向け、本研究班にワーキンググループを作り活動を開始した。
結果と考察
平成30年度は指定難病である原発性免疫不全症候群7細分類52疾患の中から各細分類ごとに19疾患を選びMinds準拠の診療ガイドライン案を策定した。策定方法は、論文検索、国際的な診断基準・診療ガイドラインを参考にし、本研究班で構築したデータベースPIDJの臨床データも活用した。また、FACSを用いた新規診断法や次世代シークエンサーを用いた迅速かつ網羅的な診断法を確立し、診療ガイドラインに反映した。システマティックレビューも可能な限り行った。
 また、PIDJ事業を推進し、遺伝子診断体制の確立、レジストリへの患者登録を行った。患者向け勉強会も行った。患者実態調査を患者会と連携して行った。予防接種対応策を策定するために、ワーキンググループを構築し、厚労省予防接種室の事務連絡作成に協力した。
 本研究により原発性免疫不全症候群の適切な診療が可能になり、難病診療レベルの向上および難病支援の構築に貢献した。
結論
原発性免疫不全症候群のうち代表的な19疾患を選び、その診断基準、重症度分類、診断フローチャート、診療ガイドラインを策定した。本研究により原発性免疫不全症候群の適切な診療が可能になり、難病診療レベルの向上および難病支援の構築に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,220,000円
(2)補助金確定額
30,220,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 23,291,355円
人件費・謝金 2,120,330円
旅費 1,453,452円
その他 3,378,395円
間接経費 0円
合計 30,243,532円

備考

備考
自己資金 23,532円

公開日・更新日

公開日
2020-04-02
更新日
-