血液凝固異常症等に関する研究

文献情報

文献番号
201811022A
報告書区分
総括
研究課題名
血液凝固異常症等に関する研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-012
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
村田 満(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 冨山 佳昭(大阪大学 医学部)
  • 桑名 正隆(日本医科大学 大学院医学研究科)
  • 羽藤 高明(愛媛大学医学部附属病院)
  • 松本 雅則(奈良県立医科大学 医学部)
  • 宮川 義隆(埼玉医科大学 医学部)
  • 小亀 浩市(国立循環器病研究センター)
  • 南学 正臣(東京大学 医学部附属病院)
  • 香美 祥二(徳島大学大学院)
  • 森下 英理子(金沢大学)
  • 津田 博子(中村学園大学)
  • 小嶋 哲人(名古屋大学 大学院)
  • 小林 隆夫(公益財団法人浜松市医療公社 浜松医療センター)
  • 大賀 正一(九州大学 医学研究員)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患政策研究事業として、血液凝固異常と関連する4疾患、すなわち特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)について、エビデンスに基づいた全国共通の診断基準・重症度分類の作成や改正、診療ガイドライン等の確立や改正及び普及などを目的とした。
研究方法
4疾患について、それぞれのサブグループに分かれて課題に取り組むとともに、グループ間の相互議論を活発に行うことによって、分子病態に基づいた診断基準、治療指針の確立/普及およびその効果の検証、改正、臨床個人調査票等を利用した大規模な疫学的解析による我が国での発症頻度、予後の把握と治療の標準化などを図った。
結果と考察
ITPについては臨床調査個人票のデータを用いて出血症状出現のリスク因子を調査した。治療の標準化に関しては、本研究班にて作成した「成人ITP治療の参照ガイド2012年版」の改訂に向けて、各班員による草案の作成を行い改訂委員会にて討議し、「成人ITP治療の参照ガイド2019年版」の最終原案を作成した。個別研究では、診断に関して抗GPIIb/IIIa抗体産生B細胞測定キットの性能評価を実施した。また、TPOを測定するサンドイッチELISA系を構成する固相抗体、スタンダード原料、標識二次抗体の作成を終えてキットを構築した。TTPについてはレジストリーはADAMTS13保険収載による症例数の減少はあったものの継続できている。リツキサンの保険適用は、2019年度早々にTTPに拡大される見込みである。後天性TTPに関する疾患感受性HLAを2つ同定した。TTP診療ガイドはMinds形式のものも含めた形式で2020年に改定予定である。今年度から造血幹細胞移植後TMAの病態解析を予定であったが、TRUMPデータの利用が困難であったので、保存検体を用いた病態解析を行う予定である。aHUSについては昨年度に引き続き250例を超えるaHUS症例のコホートを樹立し,200例近くの症例に溶血試験・抗体検査・遺伝子解析を実施してきたことにより、本邦におけるaHUS患者の実情をより正確に把握できるようになった。これらのデータは、新たな診療ガイド作成に向けて非常に重要な知見となると考えられる。溶血試験の有用性が明らかになりつつありより正確な診断につながることが期待される。特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)についてはArg596以外のトロンビンNa+結合領域ミスセンス変異のAT抵抗性(ATR)解析、遺伝性血栓性素因保有者の妊娠管理および女性ホルモン剤使用に関する診療ガイドラインの策定、遺伝性血栓性素因の人種差および血中PS活性測定のpreanalytical variablesに関する研究、新生児・小児期における遺伝性血栓症の診断と治療法の確立に向けた研究、先天性凝固阻止因子欠乏症患者のphenotypeとgenotypeについての検討、ならびに変異AT蛋白の分子病態解析、を行った。
結論
研究期間に疫学調査、診療参照ガイド改定において成果を充分にあげることができた。ITPについては過去に作成された参照ガイドの普及と啓発のため、学会シンポジウムや総説原稿にて活発広報を行った。近年治療が大きく変化している実情に踏まえ、ITP診断に向けた検査の開発ならびに標準化、それらの保険収載などに加え治療参照ガイドを改訂の至適時期であると考える。TTPについては2018年4月からADAMTS13検査が保険収載された事より、TMA registryの症例集積が減少することが予想されたが本年度はそれほどの減少は認めなかった。今後の大きな目標として、TTP診療ガイドラインの改定がある。aHUSについては、昨年度に引き続き250例を超えるaHUS症例のコホートを樹立し,200例近くの症例に溶血試験・抗体検査・遺伝子解析を実施してきたことにより、本邦におけるaHUS患者の実情をより正確に把握できるようになった。これらの成果を通して、本邦独自の診療ガイドライン策定を目指す。特発性血栓症については研究成果を元に、今後は全国実態調査の計画や、ガイドライン策定に向けての準備を行う。また、新生児・小児血栓症を早期に診断し、適切な急性期治療と長期治療管理の方針を確立するために、全国の解析ネットワークを拡充、血栓傾向を正確に評価するための凝固機能測定法の確立、また有効な抗凝固療法、補充療法の検討、更には肝細胞移植療法などを含めた新規根治療法の開発に向けた取り組みを行いたい。当研究班の活動はホームページに公開されている。http://ketsuekigyoko.org/index.html

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,560,442円
人件費・謝金 1,545,599円
旅費 5,181,298円
その他 2,098,245円
間接経費 4,615,000円
合計 20,000,584円

備考

備考
自己資金 528円
利息    2円

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
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