消化管良性多発腫瘍好発疾患の医療水準向上及び均てん化のための研究

文献情報

文献番号
201811012A
報告書区分
総括
研究課題名
消化管良性多発腫瘍好発疾患の医療水準向上及び均てん化のための研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
石川 秀樹(京都府立医科大学 分子標的癌予防医学)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 主之(岩手医科大学 内科学講座 消化器内科)
  • 石田 秀行(埼玉医科大学 総合医療センター 消化管、一般外科)
  • 田中 信治(広島大学 大学院医歯薬保健学研究科)
  • 高山 哲治(徳島大学 大学院 医歯薬学研究部 消化器内科学分野)
  • 山本 博徳(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門消化器内科)
  • 武田 祐子(浜崎 祐子)(慶應義塾大学 看護医療学部)
  • 杉山 佳子(中山 佳子)(信州大学医学部附属病院 小児科)
  • 山本 敏樹(日本大学 医学部 内科学系消化器肝臓内科学分野)
  • 西田 佳弘(名古屋大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年度から、私達は厚労省難治性疾患政策研究事業において、希少疾患である腺腫性ポリポーシス、Peutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシス、Gardner症候群の5疾患について国内外の論文をレビューし、診断基準と重症度分類を作成、国内の専門家に公開して意見を集約し、ホームページで開示した。しかし、これらの診断基準や重症度分類は、多くは欧米からの報告を用いて作成しているため、本邦患者にそのまま適応できるか否かは未だ不明である。さらに、腺腫性ポリポーシスを除き、本邦においては、本疾患群の診療ガイドラインは作成されておらず、均質な診断、治療がなされていない。また、本疾患群は小児から成人にかけて長期間の闘病が続くが、小児科グループとの連携もほとんどできていない。
 また、良性疾患が多発する同様の疾患である腹腔外発生デスモイド型線維腫症についても、診療ガイドラインの作成もされておらず、診療の均てん化は進んでいなかった。
 そこで本研究班では、これらの疾患の問題点を解決し、それにより臨床現場における医療の質の向上と均てん化を図ることを目的として研究活動を開始した。
研究方法
研究目的を達成するため、下記の3つの研究活動を行う。
1.希少疾患である6疾患の前向き登録追跡コホートシステムの試験計画書を作成し、予算が確保できた場合には、本邦における患者実態、治療内容を把握し、以前に私達のグループで作成した診断基準と重症度分類の妥当性を確認、治療実態を把握できる準備を行う。
2.消化管小児科グループと連携し、小児から成人にかけてのシームレスな診療ガイドラインを作成する。まずは、診療ガイドラインが作成されていないPeutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシス症候群、腹腔外発生デスモイド型線維腫症の4疾患について診療ガイドライン作成を実施する。
3.これらから得られた情報を、適切に公開、周知し、本疾患の診療拠点施設を認定し、周知する。
本疾患群に関わる専門家集団として、基礎から臨床、疫学、サポートチームまで、幅広い人材を集め組織構築し、メール会議および班会議を開催することにより、作業を行う。
結果と考察
1.前向き登録追跡コホートシステム構築
日本家族性腫瘍学会理事長の冨田尚裕先生に共同研究の依頼を行い、理事会での承認を得て、共同で作業を行うこととなった。また、その他の厚労省難病班にも声をかけてワーキンググループ(倫理、疫学、統計家を含む)を構築、数回の委員会を開催し、プロトコールのひな形の作成を行った。そして、まず、Cowden症候群の前向き登録コホート研究の試験計画書を作成した。
2.3疾患の診療ガイドライン作成
診療ガイドラインが作成されていないPeutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシスの3疾患については、消化管良性多発腫瘍好発疾患の小児及び成人の専門家集団による診療ガイドライン作成グループを構築し、Mindsに準拠した診療ガイドライン作成の勉強などを実施した。委員会においてそれぞれ3疾患のCQを作成し、システマティックレビューを実施する準備を行った。システマティックレビューを行うために必要な論文収集チームを構築し、論文収集の作業を開始した。3疾患の診療ガイドラインはほぼ完成している。今後、関連学会誌に投稿し、公表する予定である。
3. 診療拠点施設の設置
診療拠点病院の施設認定については、専門家グループにより内科、外科の診療体制や、一定水準の内視鏡技術、遺伝カウンセリング体制の構築、各種学会の認定制度の資格保有者割合などによる案を作成するため会議を開催した。これらの条件に合致する施設について、班員および班長協力者の施設を中心にリストを作成した。
消化管ポリポーシスや腹腔外発生デスモイド型線維腫症などの良性多発腫瘍好発疾患において、診療ガイドラインの作成により全国で均一な医療を実施することができるようになる。また、前向き登録追跡コホート研究により、希少疾患であるこれらの疾患の病態を明らかにすることができる。また、拠点診療施設の認定により、患者の適切な医療機関への受診を円滑にすることができる。これらの社会制度整備により、疾患による負担が強く多角的な支援が必要な患者を適切に選び出し、適切に厚生労働行政の施策を実施することができる。
結論
現在、順調に作業は進んでおり、まもなく診療ガイドラインや前向き登録追跡コホート研究、診療拠点病院整備が行われる予定であり、この社会基盤整備により、消化管ポリポーシス疾患患者の医療の質的向上が期待できると考える。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201811012B
報告書区分
総合
研究課題名
消化管良性多発腫瘍好発疾患の医療水準向上及び均てん化のための研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
石川 秀樹(京都府立医科大学 分子標的癌予防医学)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 主之(岩手医科大学 内科学講座消化器内科)
  • 石田 秀行(埼玉医科大学 総合医療センター 消化管、一般外科)
  • 田中 信治(広島大学 大学院 医歯薬保健学研究科)
  • 高山 哲治(徳島大学 大学院 医歯薬学研究部・消化器内科学分野)
  • 山本 博徳(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門消化器内科)
  • 武田 祐子(浜崎 祐子)(慶應義塾大学 看護医療学部)
  • 杉山 佳子(中山 佳子)(信州大学医学部附属病院 小児科)
  • 山本 敏樹(日本大学 医学部内科学系消化器肝臓内科学分野)
  • 西田 佳弘(名古屋大学 医学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年度から、私達は厚労省難治性疾患政策研究事業において、希少疾患である腺腫性ポリポーシス、Peutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシス、Gardner症候群の5疾患について国内外の論文をレビューし、診断基準と重症度分類を作成、国内の専門家に公開して意見を集約し、ホームページで開示した。しかし、これらの診断基準や重症度分類は、多くは欧米からの報告を用いて作成しているため、本邦患者にそのまま適応できるか否かは未だ不明である。さらに、腺腫性ポリポーシスを除き、本邦においては、本疾患群の診療ガイドラインは作成されておらず、均質な診断、治療がなされていない。また、本疾患群は小児から成人にかけて長期間の闘病が続くが、小児科グループとの連携もほとんどできていない。
また、良性疾患が多発する同様の疾患である腹腔外発生デスモイド型線維腫症についても、診療ガイドラインの作成もされておらず、診療の均てん化は進んでいなかった。
そこで本研究班では、これらの疾患の問題点を解決し、それにより臨床現場における医療の質の向上と均てん化を図ることを目的として研究活動を開始した。
研究方法
研究目的を達成するため、下記の3つの研究活動を行う。
1.希少疾患である6疾患の前向き登録追跡コホートシステムの試験計画書を作成し、予算が確保できた場合には、本邦における患者実態、治療内容を把握し、以前に私達のグループで作成した診断基準と重症度分類の妥当性を確認、治療実態を把握できる準備を行う。
2.消化管小児科グループと連携し、小児から成人にかけてのシームレスな診療ガイドラインを作成する。まずは、診療ガイドラインが作成されていないPeutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシス症候群、腹腔外発生デスモイド型線維腫症の4疾患について診療ガイドライン作成を実施する。
3.これらから得られた情報を、適切に公開、周知し、本疾患の診療拠点施設を認定し、周知する。
本疾患群に関わる専門家集団として、基礎から臨床、疫学、サポートチームまで、幅広い人材を集め組織構築し、メール会議および班会議を開催することにより、作業を行う。
結果と考察
1.前向き登録追跡コホートシステム構築
日本家族性腫瘍学会理事長の冨田尚裕先生に共同研究の依頼を行い、理事会での承認を得て、共同で作業を行うこととなった。また、その他の厚労省難病班にも声をかけてワーキンググループ(倫理、疫学、統計家を含む)を構築、数回の委員会を開催し、プロトコールのひな形の作成を行った。そして、まず、Cowden症候群の前向き登録コホート研究の試験計画書を作成した。
2.3疾患の診療ガイドライン作成
診療ガイドラインが作成されていないPeutz-Jeghers症候群、Cowden症候群、若年性ポリポーシスの3疾患については、消化管良性多発腫瘍好発疾患の小児及び成人の専門家集団による診療ガイドライン作成グループを構築し、Mindsに準拠した診療ガイドライン作成の勉強などを実施した。委員会においてそれぞれ3疾患のCQを作成し、システマティックレビューを実施する準備を行った。システマティックレビューを行うために必要な論文収集チームを構築し、論文収集の作業を開始した。3疾患の診療ガイドラインはほぼ完成している。今後、関連学会誌に投稿し、公表する予定である。
3. 診療拠点施設の設置
診療拠点病院の施設認定については、専門家グループにより内科、外科の診療体制や、一定水準の内視鏡技術、遺伝カウンセリング体制の構築、各種学会の認定制度の資格保有者割合などによる案を作成するため会議を開催した。これらの条件に合致する施設について、班員および班長協力者の施設を中心にリストを作成した。
消化管ポリポーシスや腹腔外発生デスモイド型線維腫症などの良性多発腫瘍好発疾患において、診療ガイドラインの作成により全国で均一な医療を実施することができるようになる。また、前向き登録追跡コホート研究により、希少疾患であるこれらの疾患の病態を明らかにすることができる。また、拠点診療施設の認定により、患者の適切な医療機関への受診を円滑にすることができる。これらの社会制度整備により、疾患による負担が強く多角的な支援が必要な患者を適切に選び出し、適切に厚生労働行政の施策を実施することができる。
結論
現在、順調に作業は進んでおり、まもなく診療ガイドラインや前向き登録追跡コホート研究、診療拠点病院整備が行われる予定であり、この社会基盤整備により、消化管ポリポーシス疾患患者の医療の質的向上が期待できると考える。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201811012C

収支報告書

文献番号
201811012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,660,000円
(2)補助金確定額
2,660,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 288,048円
人件費・謝金 0円
旅費 1,649,700円
その他 112,252円
間接経費 610,000円
合計 2,660,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-02-18
更新日
-