難病医療資源の地域ギャップ解消をめざした難病医療専門員のニーズ調査と難病医療専門員ガイドブックの作成

文献情報

文献番号
201811009A
報告書区分
総括
研究課題名
難病医療資源の地域ギャップ解消をめざした難病医療専門員のニーズ調査と難病医療専門員ガイドブックの作成
課題番号
H28-難治等(難)-一般-025
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
吉良 潤一(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 神経内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 健二(独立行政法人国立病院機構松江医療センター)
  • 菊地 誠志(独立行政法人国立病院機構北海道医療センター)
  • 川田 明広(東京都立神経病院)
  • 犬塚 貴(岐阜市民病院認知症疾患医療センター)
  • 狭間 敬憲(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 山崎 亮(九州大学 大学院医学研究院 神経内科学分野)
  • 立石 貴久(九州大学 大学院医学研究院 神経内科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成30年3月に「難病医療コーディネーターによる難病患者のための難病相談ガイドブック―改訂第3版―」を発刊し、全国の難病従事者に2000冊無料配布した。さらに、「難病医療コーディネーターのあり方と支援体制についての提言書」を作成し、周知を行った。今回、本ガイドブックの活用度や内容への満足度を明らかにし、「難病医療コーディネーターのあり方と支援体制についての提言書」についての評価を得るため、全国アンケート調査を実施した。また、全国の難病コーディネーターから収集した成功事例を分析整理し、事例集を刊行した。
研究方法
全国の保健所549、患者会63、都道府県47、難病医療コーディネーター51、難病医療ネットワーク学会会員321、合計1031か所を対象に、アンケート用紙を郵送にて送付した。合計310通(30.0%)の回答を得た。また、ワークショップを平成30年10月27日に行うなど、種々の活動を通じてガイドブックや提言書の周知を図った。さらに、平成29年度に全国の難病コーディネーターから収集した23例の成功事例を分析整理し、事例集を刊行した。
結果と考察
難病相談ガイドブック改訂第3版の内容は役に立つと思うか、の質問に対しては、5点満点中平均4.1点であったが、実際に活用しているか、の質問に対しては、平均3.2点にとどまった。ガイドブックの各章についてもおおむね高い評価が得られ、第4章「在宅療養環境に対する相談への対応」では83%、第6章の「ALSに特有な対応の難しい医療相談とその対応」では83%、第13章「社会資源の活用」では86%での回答者が、「役立つ」あるいは「大変役立つ」と回答した。「難病医療コーディネーターのあり方と支援体制についての提言」について、賛成するかどうかという質問に対しては、71%の回答者が、「賛成」あるいは「大いに賛成」と回答した。ワークショップでは、85名の参加者を集め、難病相談ガイドブックの内容のほか、難病医療提供体制に関しても活発な情報交換や議論が行われた。また、前年度までに行っていた全国の難病COを対象とした調査をもとに、23の成功事例を収集。収集した事例について質的分析を行い、事例集を3月に発行した。2000部を関係機関に無料配布予定である。
ガイドブックの内容が役に立つかという質問に対しては、比較的高い評価を得たものの、実際にはまだ十分に活用されていない状況が考えられた。内容についても、いずれの項目も有用性が高いという反応が得られており、特に在宅療養環境、ALS、社会資源の活用等に関する項目は高い評価を得ていた。提言書についてもおおむね良好な反応を得ていることが分かった。事例集については今後配布、周知を行っていく。
結論
難病相談ガイドブック第3版について、おおむね高い評価が得られていることが分かった。まだ活用が不十分であるのは今後の課題である。また、今後も難病関係者が引き続き情報共有や議論を深めていく重要性が再認識された。引き続きガイドブックや事例集の周知を行っていき、さらなる実用化につなげていくことが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2019-12-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201811009B
報告書区分
総合
研究課題名
難病医療資源の地域ギャップ解消をめざした難病医療専門員のニーズ調査と難病医療専門員ガイドブックの作成
課題番号
H28-難治等(難)-一般-025
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
吉良 潤一(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 神経内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 健二(独立行政法人国立病院機構松江医療センター)
  • 菊地 誠志(独立行政法人国立病院機構北海道医療センター)
  • 川田 明広(東京都立神経病院)
  • 犬塚 貴(岐阜市民病院認知症疾患医療センター )
  • 狭間 敬憲 (独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 山崎 亮(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 神経内科学分野)
  • 立石 貴久(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院 神経内科学分野)
  • 小早川 優子(古賀優子)(国立大学法人九州大学 九州大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、まず難病新法施行下での難病Coの活動状況とニーズを全国調査して、提言をまとめる。また、拠点病院の難病Coと地域難病医療連絡協議会の地域難病Coとの連携のあり方についても提言を作成する。これらをもとに、「難病医療専門員による難病患者のための難病相談ガイドブック」の改訂を行い、第3版を刊行する。またアンケートやワークショップを通じ、ガイドブックや提言の周知ならびに実態把握を行う。さらに、全国の難病コーディネーターから収集した成功事例を分析整理し、事例集を刊行する。
研究方法
1) 全国調査として、①CO 42都道府県60名を対象とする自記式質問紙アンケート調査、②COと関わることの多い全国の多職種3,000件を対とする自記式質問紙アンケート調査を行った。
2) 難病相談ガイドブック第3版について、研究班員と協力者で役割分担して計画的に執筆を行った。さらに提言として、難病COの業務のあり方・支援体制についても添付した。
3) 難病相談ガイドブック第3版についてのアンケート調査を行った。全国の保健所549、患者会63、都道府県47、難病医療コーディネーター51、難病医療ネットワーク学会会員321、合計1031か所を対象に、アンケート用紙を郵送にて送付した。
4) 平成30年10月27日に東京にてワークショップを開催し、ガイドブックや提言書の周知を図った。
5) 平成29年度に全国の難病コーディネーターから収集した23例の成功事例を分析整理し、事例集を刊行した。
結果と考察
1) 全国調査において、調査1では、34都道府県51名のCOよりアンケートを回収した(回収率85%)。COは70%が看護師、15%が社会福祉士の資格を所有しており、複数の資格を所有している者もいた。事業内容として最も実施率が高かったのは、「医療・療養上の各種相談への対応」、次いで「保健所等の関係機関との連携」についても実施率が高かった。調査2では、1,265件の回答があった (回収率42.1%)。回答者の職種は、訪問看護師(46.6%)、保健所保健師(26%)、医師(20%)の順であった。COに期待する役割としてもっと多かったのは「レスパイト入院先の紹介」801件、次いで「難病医療情報の提供」625件であった。
2) ガイドブック改訂にあたっては、実際に使用して生じた問題点や社会制度の変更などに伴う修正を行い、全体として16章で構成した。また全国の難病COから収集した事例も、新しく困難事例や成功事例を20件追加した。
さらに提言として、難病COの業務のあり方・支援体制について添付した。
ガイドブック、提言書は、全国関連部署へ2000部無料配布した。
3) 「難病医療専門員による難病患者のための難病相談ガイドブック」第3版についてのアンケート調査は、合計310件(30.0%)の回答を得た。
難病相談ガイドブック改訂第3版の内容は役に立つと思うか、の質問に対しては、5点満点中平均4.1点であったが、実際に活用しているか、の質問に対しては、平均3.2点にとどまった。ガイドブックの各章についてもおおむね高い評価が得られた。「難病医療コーディネーターのあり方と支援体制についての提言」について、賛成するかどうかという質問に対しては、71%の回答者が、「賛成」あるいは「大いに賛成」と回答した。
4)ワークショップは85名の参加者を集め、難病相談ガイドブックの内容のほか、難病医療提供体制に関しても活発な情報交換や議論が行われた。
5) H29年度までに行っていた全国の難病COを対象とした調査をもとに、23の成功事例を収集。収集した事例について質的分析を行い、事例集を3月に発行した。2000部を関係機関に無料配布予定である。
結論
全国調査の結果、難病COが実際に行っている活動の中でニーズが高い項目は、レスパイト入院の確保、各種の情報提供、困難事例の対応であった。
 アンケートでは、難病相談ガイドブック第3版について、おおむね高い評価が得られていることが分かった。ガイドブックの内容が役に立つかという質問に対しては、比較的高い評価を得たものの、実際にはまだ十分に活用されていない状況が考えられた。内容についても、いずれの項目も有用性が高いという反応が得られており、特に在宅療養環境、ALS、社会資源の活用等に関する項目は高い評価を得ていた。提言書についてもおおむね良好な反応を得ていることが分かった。
 ガイドブックや提言書、事例集は今後の難病医療においても重要になってくるものであり、さらなる活用をめざして周知を継続する必要がある。今後も難病関係者が引き続き情報共有や議論を深めていく重要性が再認識された。

公開日・更新日

公開日
2020-01-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201811009C

収支報告書

文献番号
201811009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,992,000円
(2)補助金確定額
4,992,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 61,460円
人件費・謝金 1,911,370円
旅費 602,310円
その他 1,264,860円
間接経費 1,152,000円
合計 4,992,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-