HAMならびにHTLV-1陽性難治性疾患に関する国際的な総意形成を踏まえた診療ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
201811004A
報告書区分
総括
研究課題名
HAMならびにHTLV-1陽性難治性疾患に関する国際的な総意形成を踏まえた診療ガイドラインの作成
課題番号
H28-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 大学院 先端医療開発学)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科 教授)
  • 亀井 聡(日本大学 医学部 教授)
  • 吉良 潤一(九州大学・大学院医学研究院・教授)
  • 郡山 達男(脳神経センター大田記念病院 院長)
  • 岡山 昭彦(宮崎大学 医学部 教授)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 教授)
  • 湯沢 賢治(国立病院機構水戸医療センター 臨床研究部・部長)
  • 中川 正法(京都府立医科大学 大学院医学研究科 教授)
  • 中村 龍文(長崎国際大学 人間社会学部社会福祉学科 教授)
  • 久保田 龍二(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系 教授)
  • 松浦 英治(鹿児島大学 医歯学域医学系 准教授)
  • 松尾 朋博(長崎大学 病院 助教)
  • 高田 礼子(聖マリアンナ医科大学 医学部 教授)
  • 井上 永介(聖マリアンナ医科大学 医学部 教授)
  • 鴨居 功樹(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科眼科学分野 講師)
  • 中島 孝(国立病院機構新潟病院・神経内科 院長 中島 孝)
  • 村井 弘之(国際医療福祉大学 医学部 主任教授)
  • 内丸 薫(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)
  • 崎間 洋邦(琉球大学医学部附属病院 第三内科 助教)
  • 坪井 義夫(福岡大学 医学部医学科神経内科学教室 教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
11,539,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者追加 崎間 洋邦(平成30年8月6日以降) 研究分担者追加 坪井 義夫(平成30年10月10日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトT細胞好性ウイルス(HTLV-1)は、その感染者の一部に難治性のHTLV-1関連脊髄症(HAM)や成人T細胞白血病(ATL)を発症することから、この問題は厚生労働行政上でも重要課題であるが、先進国で感染者や患者が多いのは日本のみということも影響し、未だその多くが未解決である。HAMは多彩な臨床経過を呈するため、疾患活動性に基づいた治療が重要であるが、疾患活動性分類が確立されておらず、また国際的にもHAMの診療に関する総意形成は不十分で、診断基準や重症度分類が統一化されていないため、診療や研究に大きな支障を来している。さらにHAMは希少疾病ゆえに診療経験に富んだ医師が少なく、全国的な診療レベルの向上にはガイドラインの作成が必須である。また近年、免疫難病患者に生物学的製剤等の強力な免疫抑制療法が実施されているが、これら治療に際し、HTLV-1感染症やATL発症リスクへの影響に関する指針のニーズが高い。さらに最近、申請者らは腎移植でのHTLV-1新規感染によるHAM発症の高リスクを示唆する調査結果を報告したが(山野班H26)、本問題は保健行政において極めて重要であり、調査結果に基づいた指針作成が急務である。
本研究は、これら緊急性の高い3つの課題:
1.HAMの診断・重症度・疾患活動性の分類基準と診療指針の確立
2.HTLV-1陽性難病患者への免疫抑制療法に関する診療指針の確立
3.生体腎移植におけるHTLV-1感染対策に関する指針の確立
を達成するために、専門家や患者代表の総意形成のもと、世界初のガイドライン作成を目的とした。
研究方法
H29年度までに決定した成人HAM患者に対する薬物療法の4つのクリニカルクエスチョン(CQ)に対してシステマティックレビューを行った。また、HAM患者レジストリ「HAMねっと」登録患者を対象として、「HAM診療ガイドライン作成に向けた患者の価値観と意向に関する調査」を実施した。これらの結果をもとにパネル会議を開催し、4つのCQに対する推奨を決定、ガイドラインの作成を行った。
結果と考察
H29年度までに決定した以下の4つのCQに対してシステマティックレビューを行い、推奨を提示した。
CQ1 成人HAM患者において、ステロイド内服治療は推奨されるか
CQ2 成人HAM患者において、インターフェロンα治療は推奨されるか
CQ3 成人HAM患者において、抗レトロウイルス薬(逆転写酵素阻害薬)は推奨されるか
CQ4 成人HAM患者において、ステロイドパルス療法は推奨されるか
 また、GRADEシステムでは、ガイドライン作成に際して患者の価値観や希望、重要視する点などに配慮して患者関連アウトカムを検討することが求められているため、HAM患者レジストリ「HAMねっと」登録患者を対象として、「HAM診療ガイドライン作成に向けた患者の価値観と意向に関する調査」を実施した。これらのシステマティックレビュー結果および「HAM診療ガイドライン作成に向けた患者の価値観と意向に関する調査」調査結果を用いてパネル会議を開催し、4つのCQに対する推奨を決定した。
さらに、エビデンスが不十分で推奨が作成できない重要臨床課題は、以下の4つのテーマに分けてQ&Aとして取り上げた。
1.HAMの診療に関するQ&A
2.HTLV-1陽性関節リウマチ患者の診療に関するQ&A
3.臓器移植におけるHTLV-1感染への対応に関するQ&A
4.ATLのスクリーニング検査に関するQ&A
上記内容によりガイドラインの作成を完遂した。
 さらに本研究では、診療の実情に合った信頼性の高いガイドラインを作成するために、HAM患者レジストリの疫学的解析を実施し、HAM患者の治療実態や生命予後等を明らかにした。
HTLV-1感染症および関連疾患の問題は先進国の中では日本特有であることから、日本が主導的に研究を行わなければ解決されない問題であり、この研究成果は日本のみならず、世界の感染者や患者にも恩恵をもたらし、国際的な貢献も可能となると言える。
結論
本研究により、HAMやHTLV-1陽性難病患者の診療、腎移植におけるHTLV-1感染対策といった、臨床的に重要性の高い課題について、患者レジストリを活用したエビデンスの創出と、世界初の国際的な合意形成を踏まえたガイドラインを作成することができた。これにより、これまでHAMやHTLV-1陽性難治性疾患患者の診療経験の少ない医師も適切な対応が可能となり、患者の生活の質を大きく向上させ、HTLV-1総合対策を大きく前進させることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2020-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-01-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201811004B
報告書区分
総合
研究課題名
HAMならびにHTLV-1陽性難治性疾患に関する国際的な総意形成を踏まえた診療ガイドラインの作成
課題番号
H28-難治等(難)-一般-018
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 大学院 先端医療開発学)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科 教授)
  • 亀井 聡(日本大学 医学部 教授)
  • 吉良 潤一(九州大学 大学院医学研究院 教授)
  • 郡山 達男(脳神経センター大田記念病院 院長)
  • 岡山 昭彦(宮崎大学 医学部 教授)
  • 川上 純(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 教授)
  • 湯沢 賢治(国立病院機構水戸医療センター 臨床研究部 部長)
  • 中川 正法(京都府立医科大学 大学院医学研究科 教授)
  • 中村 龍文(長崎国際大学 人間社会学部社会福祉学科 教授)
  • 久保田 龍二(鹿児島大学 学術研究院医歯学域医学系 教授)
  • 松浦 英治(鹿児島大学 医歯学域医学系 准教授)
  • 松尾 朋博(長崎大学 病院 助教)
  • 高田 礼子(聖マリアンナ医科大学 医学部 教授)
  • 井上 永介(聖マリアンナ医科大学 医学部 教授)
  • 鴨居 功樹(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科眼科学分野 講師)
  • 中島 孝(国立病院機構新潟病院 神経内科 院長)
  • 村井 弘之(国際医療福祉大学 医学部 主任教授)
  • 内丸 薫(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)
  • 崎間 洋邦(琉球大学医学部附属病院 第三内科 助教)
  • 坪井 義夫(福岡大学 医学部医学科神経内科学教室 教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトT細胞好性ウイルス(HTLV-1)は、その感染者の一部に難治性のHTLV-1関連脊髄症(HAM)や成人T細胞白血病(ATL)を発症することから、この問題は厚生労働行政上でも重要課題であるが、先進国で感染者や患者が多いのは日本のみということも影響し、未だその多くが未解決である。HAMは多彩な臨床経過を呈するため、疾患活動性に基づいた治療が重要であるが、疾患活動性分類が確立されておらず、また国際的にもHAMの診療に関する総意形成は不十分で、診断基準や重症度分類が統一化されていないため、診療や研究に大きな支障を来している。さらにHAMは希少疾病ゆえに診療経験に富んだ医師が少なく、全国的な診療レベルの向上にはガイドラインの作成が必須である。また近年、免疫難病患者に生物学的製剤等の強力な免疫抑制療法が実施されているが、これら治療に際し、HTLV-1感染症やATL発症リスクへの影響に関する指針のニーズが高い。さらに最近、申請者らは腎移植でのHTLV-1新規感染によるHAM発症の高リスクを示唆する調査結果を報告したが(山野班H26)、調査結果に基づいた指針作成が急務である。
本研究は、これら緊急性の高い3つの課題:
1.HAMの診断・重症度・疾患活動性の分類基準と診療指針の確立
2.HTLV-1陽性難病患者への免疫抑制療法に関する診療指針の確立
3.生体腎移植におけるHTLV-1感染対策に関する指針の確立
を達成するために、専門家や患者代表の総意形成のもと、世界初のガイドライン作成を目的とした。
研究方法
本研究では、2016年度に、日本神経学会との連携を確立した上で、HAMガイドライン作成委員会を構成し、クリニカルクエスチョン(CQ)候補を挙げ、重要アウトカムの決定作業を進めた。2017年度は、これまでに挙げられた重要臨床課題のうち、信頼できるエビデンスを収集できる見込みのあるものをCQとして抽出し、ガイドラインのスコープを作成した。2018年度は、これらのCQに対してシステマティックレビューを行い、推奨を提示した。また、HAM患者レジストリ「HAMねっと」登録患者を対象として、患者の価値観と意向に関する調査を実施した。これらの結果をもとにパネル会議を開催し、4つのCQに対する推奨を決定、ガイドラインの作成を行った。
結果と考察
本研究では、まずCQを決定するために、重要臨床課題の全40項目について検討し、そのうちエビデンスを収集できる見込みのある以下の4項目をCQとして抽出した。
CQ1 成人HAM患者において、ステロイド内服治療は推奨されるか
CQ2 成人HAM患者において、インターフェロンα治療は推奨されるか
CQ3 成人HAM患者において、抗レトロウイルス薬(逆転写酵素阻害薬)は推奨されるか
CQ4 成人HAM患者において、ステロイドパルス療法は推奨されるか
 また、GRADEシステムでは、ガイドライン作成に際して患者の価値観や希望、重要視する点などに配慮して患者関連アウトカムを検討することが求められているため、HAM患者レジストリ「HAMねっと」登録患者を対象として、患者の価値観と意向に関する調査を実施した。システマティックレビュー結果およびHAM患者の価値観と意向に関する調査結果を用いてパネル会議を開催し、4つのCQに対する推奨を決定した。
さらに、エビデンスが不十分で推奨が作成できない重要臨床課題は、以下の4つのテーマに分けてQ&Aとして取り上げた。
1.HAMの診療に関するQ&A
2.HTLV-1陽性関節リウマチ患者の診療に関するQ&A
3.臓器移植におけるHTLV-1感染への対応に関するQ&A
4.ATLのスクリーニング検査に関するQ&A
上記内容によりガイドラインの作成を完遂した。
 さらに本研究では、診療の実情に合った信頼性の高いガイドラインを作成するために、HAM患者レジストリの疫学的解析を実施し、HAM患者の治療実態や生命予後等を明らかにした。
HTLV-1感染症および関連疾患の問題は先進国の中では日本特有であることから、日本が主導的に研究を行わなければ解決されない問題であり、この研究成果は日本のみならず、世界の感染者や患者にも恩恵をもたらし、国際的な貢献も可能となる。
結論
本研究により、HAMやHTLV-1陽性難病患者の診療、腎移植におけるHTLV-1感染対策といった、臨床的に重要性の高い課題について、患者レジストリを活用したエビデンスの創出と、世界初の国際的な合意形成を踏まえたガイドラインを作成することができた。本研究により、これまでHAMやHTLV-1陽性難治性疾患患者の診療経験の少ない医師も適切な対応が可能となり、患者の生活の質を大きく向上させ、HTLV-1総合対策を大きく前進させることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2020-01-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-01-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201811004C

収支報告書

文献番号
201811004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
15,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,814,755円
人件費・謝金 416,952円
旅費 3,548,676円
その他 4,773,949円
間接経費 3,461,000円
合計 15,015,332円

備考

備考
自己資金15,332円

公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
-