保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究

文献情報

文献番号
201810004A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究
課題番号
H30-女性-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
荒田 尚子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター病院 周産期・母性診療センター母性内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高松 潔(東京歯科大学 市川総合病院 産婦人科)
  • 村嶋 幸代(公立大学法人大分県立看護科学大学)
  • 片井 みゆき(東京女子医科大学 総合診療科/女性科(総合内科))
  • 辻 真弓(産業医科大学 医学部 産業衛生学)
  • 井ノ口 美香子(慶應義塾大学 保健管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,736,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
女性の健康は、生涯を通じて身体的・精神的に女性ホルモンの動態の影響を受ける。月経関連疾患、閉経、加齢により損なわれる女性の健康を把握した上で、これらへのリスク要因を閉経以前のできるだけ早い時期から横断的・予防医学的に教育・支援すること、若い世代の女性にプレコンセプションケア(妊娠や次の世代の健康を考慮したヘルスケア)の概念を浸透させ、生涯を通じた女性の健康の保持増進を図れるような環境整備を進めることが重要である。平成30年度は、女性の健康を支援する立場にある各分野における各種取組の実態把握とその評価、課題・ニーズの抽出を行うことを目的にした。
研究方法
女性の健康を支援する立場にある各分野における各種取組の実態把握とその評価、課題・ニーズの抽出を行うために、11分野の専門家である14名の分担研究者と研究協力者が協力して、各分野での女性の健康支援の取組の実態と女性の健康支援に関わるプログラム・テキスト・ガイドラインなどの有無とその詳細、問題点を鳥瞰的に明らかにした。その際に、専門家の情報をもとに、インターネット検索、ハンドリサーチ、既存の調査結果を調べ、まとめた。その際に、各分野の中核となる府省庁や関連団体(学会など)を明らかにした。また、好事例を抽出し今後の支援プログラム作成の参考にした。また、大学健康管理センターと調剤薬局の女性健康支援の実態に関して追加アンケート調査を実施し、我が国の過去5年間の女性の健康支援に関する研究の現状を明らかにし、不足部分を補った。さらに、小児・学校保健分野における女性の健康支援の状況を学習指導要領、教科書の内容などから把握し、課題を見出した。
結果と考察
医療分野では、一定水準が担保される包括的な女性のヘルスケア支援者(産婦人科医、内科医、そのほかの医師、助産師、看護師、保健師、管理栄養士、心理士など)の育成が急務であり、研修と支援に関するガイドラインと研修制度の整備が重要と考えられた。また、同時に若い年代からのかかりつけ婦人科医制度も必要であろう。
教育分野では、学校における性教育を含む女性の健康増進教育は、実際に、子供たちに理解され、生きた知識として定着されるものを提供していく必要があり、性教育については、一定レベル以上の性教育を提供できる産婦人科医や助産師などの育成とこれらの外部講師と学校現場を繋げる地域に合わせたしくみが必要である。企業が開発した教材の活用も有用と考えられる。望まない妊娠や性感染症への罹患等、性、拒食症・過食症に関することの研修の実施や講師派遣、それぞれの年齢に適したカリキュラムを男女ともに提供する環境構築が必要であり、国連機関においてまとめられた「International technical guidance on sexuality education」2018年改訂版7)を活用しつつ、女性の健康を支援する立場にある専門職の育成に広く活用する教本の作成と教職員向けの研修の必要性が考えられる。また、大学生への健康教育や健康管理の充実も考慮する必要がある。
地域保健・産業分野では、妊娠前や妊娠に関連しない女性においての医療、予防・健康教育へのタッチポイントを作成する仕組みが重要である。この年代やこの状況の女性の健康に関する予防・健康教育をどうするかを考える必要がある。
 そのほか、医療・保健・産業の現場以外の女性のタッチポイントとして、IOT(Internet of Things:モノのインターネット)等の活用も検討し、調剤薬局などできる限りのタッチポイントを利用していくことも有用と思われる。
結論
ライフフステージ・年齢・生活スタイル・立場・ヘルスリテラシーレベルに応じた女性の健康情報提供の仕組みの検討、IOTを活用して医療分野・専門家である支援者と健康支援を受ける対象者が繋がり、より早い時期から横断的・予防医学的に女性の健康を包括的に教育するガイドラインとプラットフォームの構築が求められる。その実現には、医療・地域保健・教育・産業分野といった領域を超えた連携や女性の健康の包括的支援共通ガイドラインや全世代をカバーする男女向けのテキストが必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2019-10-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

その他
その他
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-10-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201810004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,456,000円
(2)補助金確定額
7,433,000円
差引額 [(1)-(2)]
23,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 513,619円
人件費・謝金 4,063,598円
旅費 383,209円
その他 752,604円
間接経費 1,720,000円
合計 7,433,030円

備考

備考
研究費の執行状況につきまして、データ収集・入力等作業の謝金支出分が予定時間よりも短時間で完了し、余剰金が発生いたしました。本研究は計画的に実施されております。

公開日・更新日

公開日
2020-02-19
更新日
-