女性の健康の包括的支援に関する情報発信基盤構築と多診療科医療統合を目指した研究

文献情報

文献番号
201810003A
報告書区分
総括
研究課題名
女性の健康の包括的支援に関する情報発信基盤構築と多診療科医療統合を目指した研究
課題番号
H30-女性-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 知行(東京大学大学院 医学部附属病院女性診療科・産科)
研究分担者(所属機関)
  • 大須賀 穣(東京大学大学院 医学部附属病院女性外科)
  • 秋下 雅弘(東京大学大学院 医学部附属病院老年病科)
  • 菊池 昭彦(岩手医科大学 医学部附属病院産婦人科)
  • 北中 幸子(東京大学大学院 医学部附属病院小児科)
  • 田中 栄(東京大学大学院 医学部附属病院整形外科)
  • 鈴木 眞理(堀田 眞理)(政策研究大学院大学保健管理センター)
  • 平池 修(和田 修)(東京大学大学院 医学部附属病院女性診療科・産科 )
  • 対馬 ルリ子(医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座)
  • 若尾 文彦(国立がん研究センターがん対策情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
14,026,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの我が国の健康支援対策において、女性の健康特性は重要視されておらず、健康管理の観点で政策的にも反映されていなかった。本研究班はHPなどを活用して一般女性のヘルスケアリテラシーを向上させることと、受診ではなく相談を出来るようにするということを目的とした。女性の疾患予防、健康増進を広く浅く吸い上げるため、ライフコースアプローチ視点を持つある程度医療に習熟した者を育成することが必要であるため、日本産科婦人科学会で既に運用されているヘルスケアアドバイザー養成プログラムを活用することで、2)女性診療のためのガイドブックGB作成、3)HPをプラットフォームとしたeラーニング機能の開発をおこなうことにより、今年度の本研究班は「女性の健康相談員」を育成するための基本的データをHP上に作り上げることとした。
研究方法
2016年3月にHPが開設されて以来、2018年12月末日までのHPへのアクセスに関するデータを解析し、デバイス別セッション数および年齢別月間セッション数からみたユーザー属性を検討した。
女性診療をおこなう上で、本邦および海外においてもそもそもガイドラインは存在しないこと、文献的によってガイドラインを作成することは困難であると判断したため、診療ガイドブックを作成していた。
日本産科婦人科学会の協力のもと、日本産科婦人科学会が事業としておこなっていた、思春期から更年期・老年期まで一生を通した「女性のヘルスケアアドバイザー」養成用の資料を用いて本HPに使うため簡単な改変をし、内容を多診療科的に拡大することにより、看護師、保健師、教師、企業の健康関連相談窓口担当者など、若年から中高年、老年期にいたるまでの健康支援関係者などが、女性のヘルスケアアドバイザーとして活躍できるようにし、女性の健康増進・向上に役立てることとした。
結果と考察
1) 女性を対象とした情報提供HPとそのアクセス内容に関する研究
今回2016年4月~2018年12月までの総計では、18~44歳までの総計は実に82%に上る。情報にアクセスする手段としては、圧倒的にモバイル端末・スマートフォンである。情報を主とした本サイトの性格上、情報提供基盤としてはスマートフォンを意識したものにするということ、主たる訴求層は18~44歳くらいが妥当であるということが示された。セッション数とページビューPV数は、月例ユーザー数とほぼ平行したような推移となっており、PV数は最高で145万にまで到達するに至った。新規セッション数は現在概ね80%前半で推移している。2017年頃は新規セッション率が概ね90%くらいであったことを考えると大きな改善が見られたものと考える。
2)多診療科連携による「女性の健康包括的支援のための診療ガイドブック」刊行
今回、「女性の健康包括的支援のための診療ガイドブック」という名称で発刊、配布するに至った。今後HP上での配布をおこなう予定である。
3)健康支援教育プログラムと健康相談員の養成を目的としたeラーニングシステム構築
テストページの設置は完了し、現在供覧できる状態である。今後毎年または2年おきくらいを目安にコンテンツの入れ替えを図るつもりにしている。
結論
一般女性のヘルスケアリテラシーを向上させるためには、継続的な医療情報提供がまずは重要であると提案する。それが達成できれば、その女性に応じた適切な医療介入が進み、疾患に対する適切なアプローチがなされ、女性をこれまで以上に活用・登用した経済活動が促進される。またHPを基盤とした健康相談可能な医療従事者の育成が行われるようになれば、女性の健康包括的支援のための相談体制が確保される。本HPは継続的に幅広い層からのアクセスを得ている。HPの特性として、アクセスする人物像、アクセス記録などは経時的に追跡することが可能であるため、傾向を解析して受け手のニーズを可能な限り拾い上げることが推察されるだけでなく、今後更に研究に用いることも可能である。アクセス記録などの解析で得られるHP関連情報をもとに、「多診療科連携による女性診療モデル」として対面診療だけではないものを構築し、結果として日本全体の女性医療の水準を上げることに貢献する必要がある。このような事業は、最終的に医療法整備、経済活動への展開という好循環に至る可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2019-10-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201810003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,233,000円
(2)補助金確定額
18,151,000円
差引額 [(1)-(2)]
82,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,459,431円
人件費・謝金 365,685円
旅費 1,891,797円
その他 8,228,037円
間接経費 4,207,000円
合計 18,151,950円

備考

備考
支出合計額には自己負担資金950円を含んでいるため、補助金確定額と金額が異なります。

公開日・更新日

公開日
2020-02-19
更新日
-