健診結果等を個人を軸に集積し自らの健康管理に活用できるシステムの構築とその利活用に関する実証研究

文献情報

文献番号
201809028A
報告書区分
総括
研究課題名
健診結果等を個人を軸に集積し自らの健康管理に活用できるシステムの構築とその利活用に関する実証研究
課題番号
H30-循環器等-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
松村 泰志(大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 克之(滋賀医科大学 医学部)
  • 磯 博康(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 瀧原 圭子(大阪大学 キャンパスライフ健康支援センター)
  • 岡田 武夫(大阪がん循環器予防センター 予防推進部)
  • 黒田 知宏(京都大学 医学研究科)
  • 武田 理宏(大阪大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 加藤 源太(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本では、法制度上、生涯何らかの健診(健康診査・健康診断)を受けることができる。しかし、健診の実施者が自治体、事業主、組織の設置者、保険者など多岐にわたり、年齢、住所、職業などによって健診の実施者が変わるため、同一個人のデータが、実施者ごとに分断して管理されることになっている。また、慢性疾患の罹患、新たな疾患の発症があっても、健診情報と診療情報の連携が十分なされていない。
 近年、スマートフォンが普及し、国民の多くが、あらゆる情報にスマートフォンでアクセスするサービス形態に慣れ親しむようになった。個人が、健診データをスマートフォンでアクセスできるサービスは、広く受け入られる可能性が高く、自らの健康管理の意識を高め、予防行動、受療行動を効果的に誘導できる可能性がある。
 我々は平成29年度、「健診結果等を個人を軸に集積し自らの健康管理に活用できるシステムの情報内容及びその情報基盤モデルに関する研究」を受託し、特定健診を中心とした健診データをPHRに移行する課題について、調査研究を行っている。本研究では、この調査研究結果を踏まえ、PHR実装化に向けた具体的な課題を明らかにすることを目的とする。
研究方法
1.特定健診項目とデータ連携を行うPHRアプリケーションの開発
 既存のPHRサービスを利用し、特定健診結果の解釈コメントを表示することで、自身の健康改善に意識を向けるシステムを設計し、構築した。解釈コメントは厚生労働省が提供する標準的な健診・保健指導 プログラム(平成 30 年度版)の「健診結果とその他必要な情報の提供(フィードバック) 文例集」を利用した。構築したシステムに模擬データを登録し、システム評価を行った。
2.データの提示方法、データの解釈情報の内容及び提示方法の検討
 自身の健康に興味が少ない受診者が自身の健康状態を短時間で把握できるような、健康状態一覧画面のデザインを行った。健康状態一覧画面にシェーマで表示する項目、シェーマのデザイン、時系列を含めたデータの提示方法について検討を行った。
3.PHRアプリケーションに対する医療情報学的検討
 最初に健診データのマイナポータルからの閲覧システム構成案を検討した。次に、異なるPHRサービス間や医療機関とのデータ連携に関する検討として、FHIR (Fast Healthcare Interoperability Resources)による検体検査結果の連携、医療機関電子カルテから特定健診PHRへのデータ転送の実証研究のシステム構築を行った。
結果と考察
1.特定健診項目とデータ連携を行うPHRアプリケーションの開発
 「健診結果とその他必要な情報の提供(フィードバック) 文例集」を提示するシステムを構築した。Webでスペースの制限なく解釈コメントを表示できるため、受診者に有用な情報をフィードバックできた。高血圧、脂質異常症については薬剤治療中のステータスがコメントに反映できていないこと、喫煙についてのコメントの表示方法に課題が見つかった。
2.データの提示方法、データの解釈情報の内容及び提示方法の検討
 健康状態一覧画面には、体型(BMI)、血圧、脂質、糖代謝、喫煙の情報を表示させることとなった。体型、血圧については、低値2段階、正常、高値4段階、脂質、糖代謝については正常、高値4段階、喫煙については、喫煙中と禁煙のシェーマをデザインした。時系列で表示することで過去データからのデータの悪化に気づかせる画面構成を検討した。スマートフォンでは表示エリアが少ないため、アニメ―ションの利用などの工夫が必要と考えられた。
3.PHRアプリケーションに対する医療情報学的検討
 健診データのマイナポータルからの閲覧システム構成案、特定健診の検体検査項目を連携するFHIRの記述を行った。また、医療機関電子カルテから特定健診PHRへのデータ転送の実証研究のシステム構築を行い、データ疎通の確認を行った。
結論
 平成30年度は既存のPHRサービスを活用し、特定健診結果の解釈データを表示するシステムを構築した。構築したシステムを実際に閲覧することにより、システム改善点が明らかとなった。
 次に自身の健康に興味がない健診受診者が短時間で自身の健康状態を把握することができるシェーマ案を作成した。これらのシェーマをPHRシステムに組み入れることで、自身の健康状態への気づきを与えられる可能性があり、今後の検討課題となった。
 PHRサービスのデータを他PHRサービスに連携し、表示する仕組みについて医療情報学的検討を行った。さらに、健診PHRサービスに病院電子カルテデータを連携させる仕組みについて検証を行った。

公開日・更新日

公開日
2019-12-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-12-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201809028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 180,185円
人件費・謝金 0円
旅費 105,140円
その他 15,099,675円
間接経費 4,615,000円
合計 20,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-02-05
更新日
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