地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究

文献情報

文献番号
201809024A
報告書区分
総括
研究課題名
地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究
課題番号
H30-循環器等-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
磯部 光章(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院)
研究分担者(所属機関)
  • 安斉 俊久(北海道大学 大学院医学研究院循環病態内科学教室 )
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学医学部公衆衛生学講座)
  • 木原 康樹(広島大学大学院医歯薬保健学研究科医歯薬学専攻医学講座 循環器内科学)
  • 香坂 俊(慶応義塾大学医学部 循環器内科 )
  • 後藤 葉一(公立八鹿病院)
  • 小室 一成(東京大学医学部附属病院循環器内科学 )
  • 佐藤 幸人(兵庫県立尼崎総合医療センター循環器内科)
  • 筒井 裕之(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
  • 福本 義弘(久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門 )
  • 武藤  真祐(医療法人社団鉄祐会 )
  • 森田 啓行(東京大学医学部附属病院循環器内科学)
  • 山田 佐登美(川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科 川崎医科大学総合医療センター看護部 )
  • 弓倉 整(弓倉医院)
  • 弓野 大(医療法人社団ゆみの )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、心不全診療を中心とする循環器専門医と循環器診療を専門としない医師や看護師・メディカルスタッフ・ソーシャルワーカー・介護職等の多職種による連携推進を目的に在宅診療患者のケアのありようについて多面的に検討を行い心不全患者の病診連携に関わる実効性のあるステートメントの作成、地域連携パス等を策定、実践ならびに検証することを目的とする。
研究方法
都会や過疎地域の大学病院、基幹病院などで実施されている病診連携の方法、ツールを参考に、分担研究者、研究協力者間で討議を行い、現状の循環器疾患の病診連携における問題点を抽出する。また、これにもとづき可能な項目では臨床的疑問(CQ)を設定し、エキスパートコンセンサスの形でステートメントを作成する。CQは、病態や重症度に応じた退院のタイミングとその指標、外来でのケアにおけるモニタリング、遠隔医療の導入、訪問診療の意義、フレイル、サルコペニアへの対応、地域連携ネットワークを構築する方法、家族のケア、患者・家族教育、地域連携パス、合併する疾患への対処、循環器疾患に特有な薬剤の管理、多職種チームにおける各職種の役割と分担・連携、終末期ケアの考え方、タイミング、実践法、在宅リハビリと通院リハビリ、必要な臨床検査、デバイス使用患者の管理、栄養管理、運動処方、薬物療法、認知症患者への対応などとする。
結果と考察
平成30年5月にコアメンバー会議にて方向性の討議を行い、6月に全体班会議を開催し、ワーキンググループ(WG)の立ち上げならびにロードマップの案の提示を行なった。7月に第2回コアメンバー会議を開催し、ステートメント作成に向けたWGメンバーの確定、執筆内容の討議を行った。9月よりWG1-4ではWGごとに班会議を重ね具体的にステートメントのCQの絞込み作業を実施した。また、WG5では心不全患者の教育ツールの作成を開始した。11月に第3回コアメンバー会議を開催し、具体的なステートメント執筆要綱の作成及び送付に加えて、平成31年3月開催予定の公開シンポジウムの計画を立案した。平成31年3月21日日本学術会議講堂にて公開シンポジウムを開催した(一般医療者全国より250名参加)。公開シンポジウムのアンケート調査により、都市部および疎開地域それぞれの心不全診療提供体制の現状および課題を広く調査することができた。現在、公開シンポジウムの内容を広く広報するため、主催・共催団体に協力を依頼し、それぞれのホームページ等で講演や討議に関する動画公開に向け準備を進めている。また、平成31年3月31日、分担執筆者からステートメントの分担原稿が提出され、現在、コアメンバーを中心にステートメント(案)の取りまとめを実施している。同時にWG5により心不全患者の教育ツール(案)の作成及び取りまとめ作業を行なっている。
本年度は、心不全患者の病診連携に関わる実効性のあるステートメント作成に向け、コアメンバーの選定ならびに多職種から構成されるWGの立ち上げを行い、ステートメントの原案の作成まで達成した。多職種から構成されるWG毎に討議を重ね、非循環器専門医の実地医が日常臨床で活用可能な形式でのステートメント(案)が作成できたと考える。今後は、公開シンポジウムで得られた多職種からのコメントを参考に実用性や有用性の観点から修正作業を行い、研究協力者の施設を中心とする都会及び疎開地域それぞれにおいて、ステートメント案にそった診療の実践ならびに心不全患者の教育ツールを用いた臨床を行い、実現性、医学的効果、問題点の抽出その検証を行う予定である。また、これらの検証作業を踏まえてステートメントを再考するとともにパブリックコメントを募集し、ステートメント(案)を再度修正し一般公開するとともに、市民公開講座、学会での公開シンポジウム等によりステートメントの普及、啓発を図っていく予定である。
結論
本年度は、WG毎にCQの絞り込み、CQを中心としたステートメント(案)ならびに心不全患者教育ツール(案)を作成した。また、本研究班が主催として開催した公開シンポジウムでは、都会および疎開地域の多くの非循環器医・看護師・メディカル・介護職等から心不全診提供療体制に対する現状の課題や期待などの多くの意見を得ることができた。これを受けて、次年度からは、ステートメント(案)、心不全患者救育ツールの修正ならびに検証作業を通して日常臨床で実用可能なステートメントや患者教育ツールを完成し、広く普及・啓発を図りたい。

公開日・更新日

公開日
2019-09-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201809024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,100,000円
(2)補助金確定額
9,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
100,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,394,090円
人件費・謝金 125,289円
旅費 1,630,546円
その他 2,750,075円
間接経費 2,100,000円
合計 9,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-02-12
更新日
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