文献情報
文献番号
201809023A
報告書区分
総括
研究課題名
脳卒中の急性期診療体制における施設間連携体制構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-循環器等-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 信幸(神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
- 飯原 弘二(国立大学法人九州大学 脳神経外科)
- 小笠原 邦昭(岩手医科大学 脳神経外科)
- 岡田 靖(国立病院機構九州医療センター 臨床研究推センター)
- 鈴木 倫保(山口大学 脳神経外科)
- 冨永 悌二(東北大学大学院 脳神経外科)
- 豊田 一則(国立循環器病研究センター 脳血管内科)
- 橋本 洋一郎(熊本市民病院 脳神経内科)
- 長谷川 泰弘(聖マリアンナ医科大学 脳神経内科)
- 松丸 祐司(筑波大学 脳神経外科、脳卒中予防医学講座)
- 宮本 享(京都大学大学院 脳神経外科)
- 吉村 紳一(兵庫医科大学 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,670,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
有効性が確認されたrt-PA静注療法(IV rtPA)と機械的血栓回収療法(MT)はできるだけ早く適用することにより患者転帰を改善することが証明されている。医療資源を有効に活用するために行われている遠隔診療を用いた診断の補助や、Drip and Ship 法、Drip and Stay 法を含む、地域における脳卒中急性期の施設間連携医療(資料1)の現状を確認し、その課題及び解決策を明らかにすると共に、施設間連携医療の有効性や安全性に関する科学的根拠の創出を目標とする。
研究方法
急性期の施設間連携医療の調査
本研究に必要な情報を収集するため、研究代表者施設の研究倫理審査を経て後方視的コホート臨床研究を実施した(資料2)。2018年度は、2016-2017年に実施した機械的血栓回収療法(MT)を対象とし、特に施設間連携医療としてDrip&Ship法の実態を明らかにする目的で26項目を設定した(資料3)。MTの実施医は脳血管内治療専門医が主であるため、日本脳神経血管内治療学会(JSNET)の協力を得て、全脳血管内治療専門医に調査票を配布した。登録を促すため、JSNETから脳血管内治療専門医に2回に渡ってメールにて登録を依頼した。
(倫理面への配慮)
実施された医療の結果を後方視的に収集する臨床研究で患者個人の情報は求めていない。参加医療機関は研究倫理審査の実施許可を得て参加し、情報公開文書にて患者が不参加の意思を表明する機会を保証した。
本研究に必要な情報を収集するため、研究代表者施設の研究倫理審査を経て後方視的コホート臨床研究を実施した(資料2)。2018年度は、2016-2017年に実施した機械的血栓回収療法(MT)を対象とし、特に施設間連携医療としてDrip&Ship法の実態を明らかにする目的で26項目を設定した(資料3)。MTの実施医は脳血管内治療専門医が主であるため、日本脳神経血管内治療学会(JSNET)の協力を得て、全脳血管内治療専門医に調査票を配布した。登録を促すため、JSNETから脳血管内治療専門医に2回に渡ってメールにて登録を依頼した。
(倫理面への配慮)
実施された医療の結果を後方視的に収集する臨床研究で患者個人の情報は求めていない。参加医療機関は研究倫理審査の実施許可を得て参加し、情報公開文書にて患者が不参加の意思を表明する機会を保証した。
結果と考察
【結果】2019年2月28日までに脳血管内治療専門医在籍施設490のうち170施設(34.76%)から5,267件のデータを収集した。解析可能症例は4,811例、うち一度他の医療機関に搬送後にMT実施医療機関に転送されたもの(Transfer)は691例(16.8%)であった。第1医療機関でrt-PA静注療法(IV rt-PA)を行って第2医療機関でMTを行ったDrip&Shipは368件、第1医療機関で診断のみ行って第2医療機関でMTを行ったDiag&Shipは323件であった。
【考察】(1)TransferはMother shipに対して、年齢、発症前mRS、NIHSS、ASPECTS、IV rt-PA、発症からMT施設への搬入、MT施設搬入からMT開始まで、MT施設搬入から再開通まで、重篤な有害事象)で有意差を認め、性別、再開通度、症候性頭蓋内出血、転帰(死亡、不良、良好)、標的血管、手技時間では有意差がなかった。(2)Drip&ShipはMother shipのIV rt-PA+MTに対して、発症前mRS、NIHSS、ASPECTS、発症からMT施設への搬入、MT施設搬入からMT開始まで、MT施設搬入から再開通までに有意差を認め、年齢、性別、再開通度、症候性頭蓋内出血、転帰(死亡、不良、良好)、標的血管、手技時間、重篤な有害事象では有意差が無かった。(3)Diag&ShipはMother shipのMT単独に対して、年齢、発症前mRS、NIHSS、発症からMT施設への搬入、MT施設搬入からMT開始まで、死亡、MT施設搬入から再開通まで、重篤な有害事象で有意差を認め、性別、ASPETCS、再開通度、症候性頭蓋内出血、転帰(不良、良好)、標的血管、手技時間)で有意差がなかった。(4)MT単独と比較してIV rt-PA後のMTは、直接搬入、発症前mRS、TICI 2b-3=、転帰不良、転帰良好、ASPECTS、MCA、ICA,BAVA、O2D、D2P、D2R、P2Rで有意差があり、年齢、性別、TICI3、症候性頭蓋内出血、baseline NIHSS、重篤な有害事象には差がなかった。
【考察】(1)TransferはMother shipに対して、年齢、発症前mRS、NIHSS、ASPECTS、IV rt-PA、発症からMT施設への搬入、MT施設搬入からMT開始まで、MT施設搬入から再開通まで、重篤な有害事象)で有意差を認め、性別、再開通度、症候性頭蓋内出血、転帰(死亡、不良、良好)、標的血管、手技時間では有意差がなかった。(2)Drip&ShipはMother shipのIV rt-PA+MTに対して、発症前mRS、NIHSS、ASPECTS、発症からMT施設への搬入、MT施設搬入からMT開始まで、MT施設搬入から再開通までに有意差を認め、年齢、性別、再開通度、症候性頭蓋内出血、転帰(死亡、不良、良好)、標的血管、手技時間、重篤な有害事象では有意差が無かった。(3)Diag&ShipはMother shipのMT単独に対して、年齢、発症前mRS、NIHSS、発症からMT施設への搬入、MT施設搬入からMT開始まで、死亡、MT施設搬入から再開通まで、重篤な有害事象で有意差を認め、性別、ASPETCS、再開通度、症候性頭蓋内出血、転帰(不良、良好)、標的血管、手技時間)で有意差がなかった。(4)MT単独と比較してIV rt-PA後のMTは、直接搬入、発症前mRS、TICI 2b-3=、転帰不良、転帰良好、ASPECTS、MCA、ICA,BAVA、O2D、D2P、D2R、P2Rで有意差があり、年齢、性別、TICI3、症候性頭蓋内出血、baseline NIHSS、重篤な有害事象には差がなかった。
結論
1.D&Sの活用率は、京都1.5%、長崎7.7%、茨城20.3%と地域差があった。
2.D&Sを含むTransferの適用は、若い、発症前自立、重症ではない、などに多く選択される傾向があった。
3.D&Sでは、発症からMT施設搬入までに時間は掛かっているが、MT施設でのMT開始までおよび再開通までの時間は有意に短かく、症候性頭蓋内出血、転帰良好はほぼ同等で、死亡および寝たきりはD&Sに少ない傾向があった。
4.IV rt-PA後にMTを行っても症候性頭蓋内出血や重篤な合併症には差はなく、転帰不良例が少なく、良好例が多かった。
5.D&S実施例の安全性は確保されており、治療成績は標準的結果を得ていた。
2.D&Sを含むTransferの適用は、若い、発症前自立、重症ではない、などに多く選択される傾向があった。
3.D&Sでは、発症からMT施設搬入までに時間は掛かっているが、MT施設でのMT開始までおよび再開通までの時間は有意に短かく、症候性頭蓋内出血、転帰良好はほぼ同等で、死亡および寝たきりはD&Sに少ない傾向があった。
4.IV rt-PA後にMTを行っても症候性頭蓋内出血や重篤な合併症には差はなく、転帰不良例が少なく、良好例が多かった。
5.D&S実施例の安全性は確保されており、治療成績は標準的結果を得ていた。
公開日・更新日
公開日
2019-10-25
更新日
-