文献情報
文献番号
201809022A
報告書区分
総括
研究課題名
唾液検査・質問紙調査・口腔内カメラから成る、新たな歯科のスクリーニング手法と歯科保健サービスの開発、及び歯科保健行動に及ぼす影響に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-循環器等-一般-014
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
中路 重之(国立大学法人弘前大学 大学院医学研究科社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 小林 恒(国立大学法人弘前大学 大学院医学研究科)
- 翠川 辰行(ライオン株式会社)
- 内山 千代子(ライオン株式会社)
- 森田 十誉子(ライオン歯科衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,954,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
歯科疾患の早期発見、早期治療には、集団健診をはじめとした定期的な歯科健診が効果的である。現在、学校や自治体等で実施される集団歯科健診では、一般的に歯科医師による口腔内検査が行なわれているが、検査に係る時間や費用、歯科医師の確保等が課題とされている。
本研究では、唾液検査、質問紙調査、口腔内カメラを組み合わせた口腔内検査システムの効果を明らかにし、多様な口腔状態に適応できる簡便で安価な歯科スクリーニング手法を開発し、その精度について実際の健診に使用することで評価を行った。また、近年では歯科疾患と糖尿病等の生活習慣病との関連や、ロコモや認知症など高齢者の機能低下との関連が示唆されており、口腔の健康づくりは全身の健康づくりにも極めて重要であると考えられており、本研究では開発した手法による全身の健康状態のスクリーニングの可能性についても同時に検証した。
本研究では、唾液検査、質問紙調査、口腔内カメラを組み合わせた口腔内検査システムの効果を明らかにし、多様な口腔状態に適応できる簡便で安価な歯科スクリーニング手法を開発し、その精度について実際の健診に使用することで評価を行った。また、近年では歯科疾患と糖尿病等の生活習慣病との関連や、ロコモや認知症など高齢者の機能低下との関連が示唆されており、口腔の健康づくりは全身の健康づくりにも極めて重要であると考えられており、本研究では開発した手法による全身の健康状態のスクリーニングの可能性についても同時に検証した。
研究方法
本研究では、上述の研究目的を達成するために、(1)口腔内検査システムの構築と妥当性の検討、(2)新規歯科疾患スクリーニング手法の仮設定、(3)集団健診での実地検証による開発手法の精度評価、(4)口腔内検査システムの歯の健康づくりに与える影響の有効性評価、(5)口腔内検査システムと全身性の健康に関わる因子の相関解析、の5つの研究テーマを設定し研究を進めている。2017年度は主に(1)口腔内検査システムの構築と妥当性の検討について研究を進め、2018年度は残りの(2)から(5)について研究を進めた。
研究代表者は、2005年より弘前市岩木地区(旧岩木町)の地域住民を対象とした大規模な住民健診(岩木健康増進プロジェクト)を毎年実施している。本健診には20代から90代までの健常な成人約1,000名が参加し、身体測定や血液検査といった一般的な健診項目のみならず、握力や長座体前屈といった体力測定、手間や費用のかかる遺伝子(全ゲノム)解析や腸内・口腔内細菌叢(マイクロバイオーム)解析、さらには就寝時間や食事内容といった個人の生活習慣に関するデータ、労働環境や学歴といった社会的環境に関するデータまで、一個人のありとあらゆる情報を網羅的にカバーしている。
また、研究代表者らは岩木健康増進プロジェクトで培ってきたノウハウをもとに、新たな健診プログラムの開発を進めている。従来型の健診は、受診者が健診結果を手にしても本人が生活習慣改善といった行動変容を起こし得るものではなく、受診者の健康増進に繋がらないことが一部指摘されている。それは、受診者本人がその後の行動変容を起こし得るヘルスリテラシーを持っていないと、自身の健康を“自分ごと化”して行動変容につなげることが出来ないためと考えている。そこで、特定健診で重点を置いているメタボリックシンドロームに加えて、近年注目されているロコモティブシンドロームやうつ病/認知症、口腔保健の4つの項目をターゲットとした新たな健診プログラム(啓発型健診)を開発している。
本研究ではこれら2つのフィールドを活用し、歯科疾患スクリーニング手法や口腔内検査システムの開発・評価を行うとともに、口腔内検査システムと全身性の健康との関係について解析した。
研究代表者は、2005年より弘前市岩木地区(旧岩木町)の地域住民を対象とした大規模な住民健診(岩木健康増進プロジェクト)を毎年実施している。本健診には20代から90代までの健常な成人約1,000名が参加し、身体測定や血液検査といった一般的な健診項目のみならず、握力や長座体前屈といった体力測定、手間や費用のかかる遺伝子(全ゲノム)解析や腸内・口腔内細菌叢(マイクロバイオーム)解析、さらには就寝時間や食事内容といった個人の生活習慣に関するデータ、労働環境や学歴といった社会的環境に関するデータまで、一個人のありとあらゆる情報を網羅的にカバーしている。
また、研究代表者らは岩木健康増進プロジェクトで培ってきたノウハウをもとに、新たな健診プログラムの開発を進めている。従来型の健診は、受診者が健診結果を手にしても本人が生活習慣改善といった行動変容を起こし得るものではなく、受診者の健康増進に繋がらないことが一部指摘されている。それは、受診者本人がその後の行動変容を起こし得るヘルスリテラシーを持っていないと、自身の健康を“自分ごと化”して行動変容につなげることが出来ないためと考えている。そこで、特定健診で重点を置いているメタボリックシンドロームに加えて、近年注目されているロコモティブシンドロームやうつ病/認知症、口腔保健の4つの項目をターゲットとした新たな健診プログラム(啓発型健診)を開発している。
本研究ではこれら2つのフィールドを活用し、歯科疾患スクリーニング手法や口腔内検査システムの開発・評価を行うとともに、口腔内検査システムと全身性の健康との関係について解析した。
結果と考察
地域住民を対象とした健診において、唾液検査項目と質問紙調査項目を用いて歯周病の予測モデルを作成したところ、AUCが0.9、「感度+特異度」が1.76を示す高精度のモデルが作成された。即ち、唾液検査による客観的な口腔状態の評価と、質問紙票による主観的な口腔状態の評価を組み合わせることで、歯周病を精度良く検出できる可能性が示唆された。また、唾液検査・質問紙調査・口腔内カメラを組み合わせた口腔内検査システムを構築し、システムの有用性について検討したところ、口腔状態や口腔保健行動の変化を確認することができた。更に、唾液中成分による全身健康状態のスクリーニングの可能性検証を目的として、唾液中成分と全身の健診結果との関連について解析したところ、唾液中成分とインスリン抵抗性指標及び腎機能指標との間に有意な関連が見られ、唾液検査によるインスリン抵抗性発症及び腎機能低下のスクリーニングの可能性が示唆された。
結論
本研究により、構築した口腔内検査システムの有用性が示唆された。システムの普及には更なるデータの蓄積やモデルの検証が必要ではあるものの、唾液検査や質問紙調査は簡便であり、歯科疾患のみならず全身健康のスクリーニングにも有用性が高いと考えられ、今後更に研究を進めていく。
公開日・更新日
公開日
2020-03-16
更新日
-