文献情報
文献番号
201809021A
報告書区分
総括
研究課題名
国保特定健診における唾液検査システムを用いた歯科検診の有用性に関する検討(標準的な成人歯科健診プログラムとの比較および全身の健康状態との関連)
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-循環器等-一般-013
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
栗田 浩(国立大学法人 信州大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 濃沼 政美(国立大学法人 信州大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,328,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、特定健診における唾液検査を用いた歯周病健診の可能性、有用性に関して検討を行った。
研究方法
本研究の対象(フィールド)は長野県安曇野市および塩尻市における国保特定健診・後期高齢者健診(特定健診)受診者である。特定健診に併せて歯科に関する問診、従来の歯科医師による歯科健診(歯科健診)、歯科保健指導、および、唾液を用いた歯科スクリーニング検査(唾液検査)を併せて行い、特定健診、歯科健診、唾液検査結果を収集した。併せて、同市のKDBから医療費のデータを収集した。また、唾液検査に関するアンケート調査も実施した。
結果と考察
唾液検査の精度の検討では、ペリオスクリーン検査による歯周炎の診断精度は、感度73.1%、特異度40.0%、精度56.4%であった。また、唾液中のカンジダ菌量を測定する方法は、宿主の免疫状態を測る方法として有用である可能性が示唆された。アンケート調査結果から、受けないと回答した率は3~4%程度と低く、健診者の唾液検査の受け入れは良好であった。唾液検査結果と歯科受診との関連を検討した結果では、現状で唾液検査は歯科受診行動、それに伴い期待される歯周病の改善には結びついていなかった。しかしながら、唾液検査の結果にそって歯科受診が行われ、歯周病が改善すると、全身の健康にも良い影響を与える可能性が示された。一人あたりの健診者にかかるコストは歯科医師による歯科健診で1,262~1,695円。唾液検査(SMT検査)で943~1,020円、ペリオスクリーン検査で483~633円であった。唾液検査費用は人件費に大きく左右される(歯科医師による判定が必要)が、人件費を除けばコストは大幅に抑えられる(150円ほど)と考えられた。唾液検査結果と医療費との関連を検討したところ、両者間には有意な関連が認められ、唾液検査結果が良好な者では医療費は低かった。
結論
本研究の結果から、唾液検査は歯周病の診断精度は良好であり、検査結果と特定健診結果や医療費との間に関連が認められたこと、また、検査紙を用いた方法は健診者の受け入れも良好で、唾液検査のコストは100円台と低く抑えられる可能性があることから、特定健診に唾液を用いた歯周病検査を導入するは意味があり、有用なことであると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2020-03-18
更新日
-