乳がん検診の適切な情報提供に関する研究

文献情報

文献番号
201808038A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診の適切な情報提供に関する研究
課題番号
H30-がん政策-指定-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 昭彦(東北医科薬科大学 乳腺内分泌外科)
  • 植松 孝悦(静岡県がんセンター 乳腺画像診断科)
  • 角田 博子(聖路加国際病院 放射線科)
  • 高橋 宏和(国立がん研究センター 社会と健康センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,503,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳腺が多く脂肪が少ない高濃度乳房の人では、乳がんの検出感度が低い傾向にある。本研究では3年間で対策型乳がん検診における乳房の構成に関する適切な情報提供プロセスを構築することを目的とし、1年目の研究を施行した.
研究方法
平成29年度厚生労働科学特別研究事業「乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究」班にて作成された「高濃度乳房についての質問・回答集」(以下QA集とする)の全国の市町村における使用状況及び乳房の構成に関する通知の現状を調査した。また、QA集を用いた乳房の構成の通知の試行を実施し、QA集の妥当性評価を行った。さらに、乳房の構成の通知に関する他国における実態調査、乳房の構成の判定のための評価基準の再検討、乳房の構成の我が国の実態調査のためのシステム構築、高濃度乳房における乳房超音波検査の意義の検討、Breast awearnessの普及に関する検討を実施した。
結果と考察
QA集は43%の市町村で使用されていた。乳房の構成の通知は15.7%で施行され平成28年度の13.5%より増加していたが、半数以上の市町村では通知後に受診者のとるべき対応に関する指導は実施されていなかった。通知後の対応の内容は、QA集に記載のある内容に準じる指導数が増加していた。QA集を用いた通知の試行では8割の受診者が通知を希望し、希望者の9割以上がQA集を閲覧していた。QA集の内容については、QAの全12項目中9項目で受診者の95%以上が「理解できた」と回答し、内容はほぼ妥当なものと評価された。 乳房の構成の通知に関する他国の現状からは、米国での任意型検診事例のみをもって我が国全体の対策に反映することなく、多角的な視点による慎重な議論が必要と考えられた。日本乳がん検診精度管理中央機構と協議して乳房の構成の再定義を行い今後その妥当性を評価予定であり、また、日本乳癌検診学会全国集計委員会と協働し全国規模での乳房の構成のデータ収集システムの構築について検討を進めている。高濃度乳房における乳房超音波検査の意義に関しては、J-STARTデータの検討により乳房の構成に関わらずマンモグラフィ検診に超音波検査を追加する意義が示唆されている。Breast awearnessに関しての日本におけるその認知度は低く、今後健康教育としての啓蒙の必要性が確認できた。
結論
対策型乳がん検診における乳房の構成に関する情報提供には以上のような多方面のからの取り組みが必要である。今回得られた乳房の構成の通知の状況等を市町村にフィードバックすることにより、QA集をより有効に活用し通知後の対応まで含めた提供体制の構築の推進につながると考えられる。今後研究をさらに継続し、受診者の理解が得られるような乳がん検診の情報提供体制の整備を目指す。

公開日・更新日

公開日
2019-11-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-11-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201808038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,453,000円
(2)補助金確定額
8,253,000円
差引額 [(1)-(2)]
200,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 943,804円
人件費・謝金 689,699円
旅費 1,112,640円
その他 3,557,298円
間接経費 1,950,000円
合計 8,253,441円

備考

備考
端数441円は自己資金。

公開日・更新日

公開日
2020-05-11
更新日
-