科学的根拠に基づいたがん免疫療法の評価とPublicity

文献情報

文献番号
201808030A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的根拠に基づいたがん免疫療法の評価とPublicity
課題番号
H30-がん対策-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
河野 浩二(公立大学法人 福島県立医科大学 消化管外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 俊義(国立大学法人 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究所消化器外科学講座)
  • 硲 彰一(国立大学法人 山口大学 医学部先端がん治療開発学講座)
  • 有賀 淳(東京女子医科大学 先端生命医科学)
  • 飯沼 久恵(帝京大学 医療共通教育研究センター)
  • 玉田 耕治(国立大学法人 山口大学 医学部 免疫学)
  • 山口 佳之(川崎医科大学 医学部 臨床腫瘍学)
  • 奥村 晃子(公益財団法人日本医療機能評価機構EMB医療情報部Minds(マインズ))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本事業は、がん免疫療法を一般市民に正しく理解していただくことを目的とし、①「誰にでもわかるがん免疫療法ガイドブック」の編集事業 、②自由診療ベースでのがん免疫細胞療法の実態調査事業、③市民公開講座事業の3分野の事業を展開する。
研究方法
①「がん免疫療法ガイドブック」編集事業
PubMed、各種がん診療ガイドライン(本邦)、ClinicalTrial.gov(米国)、AHRQ(米国)、NICE(英国)の各データベースから、がん免疫療法あるいはCancer Immunotherapy, Immuno-Oncology  といった検索ワードでデータを抽出し、Evidence levelに応じて評価し、各癌腫ごとにがん免疫療法の臨床的意義、種類、臨床成績などを収集する。そのデータを一般市民にもわかりやすい形式(Q&A形式など)で、「誰にでもわかるがん免疫療法ガイドブック(仮称)」として編集し、学会ホームページ等で一般公開する(2018年度~2020年度)

②自由診療ベースでのがん免疫細胞療法の実態調査事業
民間クリニック等での自由診療をベースとしたがん免疫療法の実態を調査する(アンケート調査、再生医療等新法に基づく報告書調査)(2018年度~2019年度)。自由診療で行われている免疫療法のRWE(real-world evidence)としての免疫療法の有効性評価を解析し、学会ホームページ等で一般公開する。

③市民公開講座事業
日本バイオセラピー学会の全面的なサポートにより、「がん免疫療法を正しく理解する市民公開講座」を全国各地で計6回実施し(2019年度~2020年度)、科学的根拠に基づいたがん免疫療法に対する普及活動を実施する。その際には、上記①②の結果を踏まえて、講演形式、講演内容を立案する。

結果と考察
①「がん免疫療法ガイドブック」作成事業
班会議を計4回開催し、ガイドブックの骨子を決定した。ガイドブックの対象は、患者さんとその家族、および免疫療法の専門外の医師を対象とし、平易でわかりやすい内容を基本とする。書籍名としては、「誰にでもわかるがん免疫療法ガイドブック」を予定している。取り上げるがん免疫療法は、2008年12月31日現在で、本邦において保険収載されている薬剤や治療法、先進医療の制度で実施している治療法、および海外で承認させている薬剤や治療法を対象とする。書籍の編集は「科学的根拠に基づいたがん免疫療法の評価とPublicity」班とし、協力機関として、日本バイオセラピィ学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会に同意を得ている。また、出版業務は金原出版に委託する予定である。

②自由診療ベースのがん免疫療法の実態把握調査
計4回の班会議の議論にて、アンケート調査に関する内容、質問項目の決定(全22項目)、再生医療新法登録施設から該当施設の選定(471施設)を実施し、2018年11月にアンケートを送付した。2019年1月時点で、回収率10.3%の結果となり、回収率が低く、その分析には大きなバイアスを生むと判断した。アンケート調査の回収率が低く、また同様の他学会のアンケート事業も有り、現状の方法では、有意義でないと判断し、アンケート調査は終了とした。(2019年3月に、アンケート協力施設にはお礼と経緯についての手紙を送付した。)
そこで、再生医療新法下での厚労省の各地厚生局への報告書のデータを抽出する方向性を検討することとし、厚生労働省医政局研究開発振興課(再生医療新法対応部署)と2回にわたる意見交換を実施したが、非公表のデータを提供することの守秘義務(個人情報)に関し、各医療機関から同意書の取得など、実務面でのハードルが高いことが判明した。

③市民公開講座事業
バイオセラピィ学会の理事、評議員の御協力を得て、「がん免疫療法を正しく理解する市民公開講座」を全国各地で計6回実施する方針とした。
地域性を考慮し、2019年度には、下記の3回の市民公開講座開催予定とした。
   ・ 福島市、福島医大、柴田昌彦先生(2019年10月13日)
   ・ 東京都、帝京大学、飯沼久恵先生(2019年9月14日)
   ・ 岡山市、岡山大学、藤原俊義先生(2019年11月29日、バイオセラピィ学会年次集会併設)
また、2020年度には、には東京、大阪、福岡の3か所で実施する計画である。

結論
「誰にでもわかるがん免疫療法ガイドブック」発刊事業と、市民公開講座事業については、実施計画どおり遂行されており、今後の成果に大きく期待するところである。また、自由診療ベースのがん免疫療法の実態調査に関しては、方法論の今後の改善が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2019-10-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-10-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201808030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,620,000円
(2)補助金確定額
8,035,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,585,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 55,580円
人件費・謝金 3,535,063円
旅費 1,264,665円
その他 960,368円
間接経費 2,220,000円
合計 8,035,676円

備考

備考
事業の遂行にあたり、既存の物品で代用できたため物品費が予定より減額できたことと、班会議への欠席者により旅費の減額があったため、当初の補助金交付額に対し、余剰が生じた。

公開日・更新日

公開日
2020-03-04
更新日
-