全国がん登録とがん検診のリンケージによるがん検診勧奨

文献情報

文献番号
201808029A
報告書区分
総括
研究課題名
全国がん登録とがん検診のリンケージによるがん検診勧奨
課題番号
H30-がん対策-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
成松 宏人(神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん予防・情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅野 健人(大阪大学医学系研究科)
  • 片山 佳代子(神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん予防・情報学部)
  • 阪口 昌彦(神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん予防・情報学部)
  • 中村 翔(山形大学医学部附属病院腫瘍内科)
  • 堀口 正之(神奈川大学理学部)
  • 宮脇 梨奈(明治大学文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,976,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん検診は大きく分けて任意型検診と対策型検診がある。任意型検診は個人が自分のがん死亡を避けるため自己負担で行うものである。対策型検診は科学的に認められているガイドライン作成に基づき集団でがん死亡率低下等利益が精密検査の侵襲等不利益を上回る判断がされた公共的な予防対策である。対策型検診は次の2点を満たすことでがん死亡率減少が実現できる。①受けることでがん死亡率が減少する検診(科学的根拠のある検診の手順書遵守)を行う。②がん検診の質を管理して高い水準(感度、特異度や精密検査受診率維持)を保つ。しかし、手順書に基づく年齢、受診間隔や検診以外を対策型検診とした市区町村が多く存在することが明らかになった。手順書通りに行う指導の他に数字の根拠で指導できるのが、がん検診とがん登録データリンケージによる検診の感度、特異度算出である。しかしながら、その統計数値の利用方法は確立されていない。したがって、本研究では市区町村での統計数値の算出とその活用方法の検討実施をおこなうことを目的とする。さらに、職域でのがん検診とがん登録データリンケージの利用での課題を明らかにする。
研究方法
今年度は、市区町村での統計数値の算出とその活用方法の検討をするために日本最大人口を持つ横浜市における乳がん検診(2年分13万件)、大腸がん検診(1年分15万件)のリンケージ(名寄せ)を行った。地域がん登録システムにおける外部照合を用いた名寄せで、自動同定および目視による名寄せを実施した。また、がん検診ではほぼ確実に検診陰性例でのがん有りとなる症例が存在するため、横浜市及び検診の委託を受ける横浜市医師会と統計指標発表の仕方を青森県や和歌山県の先行事例を参考に行った。さらには、検診の感度・特異度に影響する因子のシステマティックレビューを横浜市実施検診項目と比較しながら行った。他に、名寄せにはがん登録室への個人情報付き検診データの提供が必要なため企業の個人情報管理に対して、多数の企業が求める情報資産管理の一定の水準を満たす認証であるPマークもしくはISMS(Information Security Management System)の取得を検討し、ISMS取得のための環境を整備した。
結果と考察
乳がん検診と大腸がん検診の名寄せについては、前年度の行っていた予備的名寄せに加えて乳がんは2年分、大腸がんは1年分行った。この名寄せの作業工程を整理することによって、横浜市規模から他神奈川県下に広げるために自動一致、目視による照合、自動不一致の二つの閾値を設定すること及び名寄せの名前、住所、生年月日の表記のゆれを名寄せのために補正するシステム(クレンジングシステム)の開発を行える準備ができた。がん検診とがん登録データ名寄せによる統計指標の公表によるマスコミ及び社会の反応及び検診事業自体への影響の問題を横浜市及び横浜市医師会と共有することができた。このことにより, 今後公表資料を作成していく上で単に報告書を納品するだけではなく三者が一体となって公表を如何に行うか進めることができる体制を作ることができた。検診では部位によって様々な質問項及び結果項目がある。横浜市では特に、乳がん検診においてデンスブレストの項目が存在する。その他の項目もシステマティックレビューを行った。今後感度・特異度に影響する因子を同定するためロジスティック多変量解析等の分析を行う。情報資産管理の認証については、全国がん登録を担うがん登録室では、2019年4月30日現在群馬県健康づくり財団がPマーク、国立がん研究センターがん対策情報センターはISMS認証を受けている等が存在するが多くの全国がん登録室では費用や人員の問題で取得していないのが現状である。今後は各都道府県単位で企業からの個人情報を用いたデータ利用研究で障害となる可能性がある。
結論
今年度の研究より、がん検診とがん登録データ名寄せによる統計指標算出のためには今後名寄せ・クレンジングシステムの利用及び情報管理の整備の重要性を考える必要があることが考えれらた。次年度は、名寄せ・クレンジングシステムの利用による名寄せとその分析を行い、ISMSの取得を行う予定である。また、統計指標算出の折のマスコミ向けの検診の知識資料を作成する。

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201808029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,168,000円
(2)補助金確定額
5,168,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,134,939円
人件費・謝金 0円
旅費 675,141円
その他 165,920円
間接経費 1,192,000円
合計 5,168,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-02
更新日
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