「全国の医療機関における緩和ケアの実施状況と医療従事者(医師・看護師)調査に基づくがん緩和ケアの推進に関する研究」

文献情報

文献番号
201808021A
報告書区分
総括
研究課題名
「全国の医療機関における緩和ケアの実施状況と医療従事者(医師・看護師)調査に基づくがん緩和ケアの推進に関する研究」
課題番号
H29-がん対策-一般-021
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 雅志(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 木澤 義之(神戸大学医学部附属病院・緩和支持治療科)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院・緩和支持治療科)
  • 小川 朝生(国立がん研究センター 先端医療開発センター・国立がん研究センター東病院)
  • 宮下 光令(東北大学大学院医学系研究科・保健学専攻緩和ケア看護学)
  • 中澤 葉宇子(国立がん研究センター・がん対策情報センター・がん医療支援部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,057,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では、緩和ケアを推進するために様々な施策が実施されてきた。先行研究において、全国の医療者の緩和ケア変化を明らかにしたが、都道府県別や施設の状況別の分析が課題となっている。
本研究の目的は、
1.全国医療者調査と施設調査を実施し、拠点病院と非拠点病院の比較を行い、施設の状況に応じた緩和ケアの課題を明らかにする。また、都道府県別の緩和ケアの状況を明らかにする,
2.緩和ケア評価指標の推移を計測するとともに、目指すべき目標値の設定について検討を行うことである。
わが国では、これまでがん対策として「緩和ケアの推進」が進められ、全国で様々な施策は実施されてきた。先行研究「がん対策における緩和ケアの評価に関する研究,研究代表者:加藤雅志(H25-H26)」では、2015年に医師・看護師の緩和ケアに関する全国調査を実施し、2008年からの変化を明らかにした。
一方で調査により、拠点病院以外の医師・看護師の緩和ケア知識・実践は十分ではないことが示された。拠点病院以外の施設の緩和ケアの取り組み状況に関する課題を明らかにするとともに、都道府県別の施設の取り組みの状況を明らかにすることが課題となっている。
本研究の目的は、施設の全国調査を行うことによって、全国の緩和ケアの取り組み状況を把握するとともに、都道府県別・施設種別による取り組み状況の違いを明らかにする。
なお、医療者調査・施設調査はについては、2017年度は拠点病院を対象、2018年度は拠点病院以外を対象に調査を実施した。
研究方法
1.医療者(医師・看護師)調査
医師・看護師の緩和ケアの知識・困難感の経時的変化・都道府県別および施設種別による違いを検証するため、医師55554名,看護師43412名を対象に、匿名自記式質問紙調査を行った。
2.施設調査
病院の緩和ケアの提供体制について、都道府県別および施設種別による違いを明らかにするため、全国のがん診療連携拠点病院434施設,拠点病院以外の病院6911施設の施設長・緩和ケア担当者を対象に、記名式の自記式質問紙調査を行った。
3.がん対策緩和ケアの評価指標の推移検証と目標値の設定
がん対策緩和ケアの進捗状況を評価する15指標について、可能なデータの更新を行うとともに、研究者間で目標値の設定方法についての検討を行った。
結果と考察
結果)2008年と比較して、拠点病院以外の医師・看護師の緩和ケアの質の向上が進んでいることが示唆された。一方で、施設の緩和ケア提供体制については、拠点病院と比較して、拠点病院以外の病院の緩和ケア提供体制の整備は遅れていることが示された。
考察)
1.医療者調査の結果、施設別では2008年と比較して、拠点病院以外の医師・看護師間で緩和ケアに関する知識等が大きく増加しており、拠点病院だけでなく、拠点病院以外の医師・看護師の緩和ケアの質の向上が進んでいることが示唆された。また、本調査によって、初めて都道府県別の医師・看護師の緩和ケアの状況を示すことができた。今後は、全国平均値との比較など、更なる解析・検討を進めて行くことが必要である。
2.施設調査の結果は、拠点病院と比較して拠点病院以外の病院の緩和ケア提供体制の整備が遅れていることが示され、拠点病院以外の病院の緩和ケア提供体制の整備を支援する必要性が示唆された。なお、都道府県別の結果については、サンプル数が十分に確保できない都道府県もあるため、結果の解釈には更なる検討が必要である。
3.がん対策緩和ケアの評価指標については、今後も継続して指標の推移を検証する必要がある。また目標値の設定については、研究者間の検討を踏まえ、目標値の設定が可能な項目について検討を進めて行く必要がある。
結論
本調査によって今後、都道府県別の医療者の緩和ケアの状況や、施設の緩和ケア提供体制の状況を明らかにしていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2020-01-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-01-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201808021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,473,000円
(2)補助金確定額
10,465,000円
差引額 [(1)-(2)]
8,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 8,049,587円
間接経費 2,416,000円
合計 10,465,587円

備考

備考
補助金の残額は厚生労働省へ返納し、端数となった587円は研究代表者の自己資金とした。

公開日・更新日

公開日
2020-04-08
更新日
-