身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育を促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究

文献情報

文献番号
201807012A
報告書区分
総括
研究課題名
身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育を促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究
課題番号
H30-健やか-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
岡 明(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 森 臨太郎(国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
  • 須藤 茉衣子(国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
  • 小枝 達也(国立成育医療研究センター こころの診療部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
  • 平岩 幹男(東京大学 医学部附属病院)
  • 西崎 和則(岡山大学 医歯薬学総合研究科)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
  • 中塚 幹也(岡山大学 保健学研究科)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部)
  • 仁科 幸子(国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部)
  • 中山 秀紀(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 臨床研究部)
  • 阪下 和美(国立成育医療研究センター 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,115,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替 森 臨太郎(平成30年4月1日~平成30年11月30日)→ 須藤 茉衣子(平成30年12月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、乳幼児小児期での健康課題は身体疾患を中心に対応され、医療受診が少ない思春期では医療保健の支援が十分とはいえず、保健医療体制の課題となっている。学童思春期においては、発達障害を含む精神心理や、家庭環境やいじめなどを含む学校での問題や社会からの影響など、多面的な要因が相互に関連して子どもの健康に影響するためbiopsychosocialな多角的な視点を備えた医療保健体制を確立する必要がある。本研究では成人期に至る切れ目のない多職種による保健活動のガイドラインやマニュアルを作成し有効性を検証する。思春期のHealth supervisionとして、生活習慣、睡眠、食事や摂食障害、性教育、喫煙、薬物、いじめ、暴力、メディア等についても医療保健の側から適切な情報と教育を提供することにより健康課題を未然に予防し、成人期の健康に寄与する必要がある。これらは、従来の医療保健の枠組みの中で不十分であった領域であり指針等も整備されていない。本研究では、海外の資料も活用し包括的で切れ目のない小児思春期の保健・医療体制作りのための基盤作りと実証を行う。
研究方法
アメリカ小児科学会の小児期思春期のHealth Supervisionの基盤となる資料であるBright Futuresをモデルとした指針(日本版Bright Futures)作りを行った。メディア、いじめ、食事、睡眠、性教育等を含めた多角的な視点で課題を抽出し作成した。
思春期の健康課題に関するアンケート調査に基づく課題抽出関する研究:現在の思春期における課題抽出と問診資料作成を目的としたアンケート調査を行った。WHOのHealth Behavior in School-aged Children (HBSC) のアンケートと米国のBright futuresのアンケートを参考にして44項目のアンケートを作成し、公立中学校2校の全校生徒754名を対象として実施した。回答者・質問それぞれを階層クラスター分析により分類し、特徴を抽出するために最適な質問を選択した。
全国的に展開可能な標準化された乳幼児健診体制:平成29 年度子ども子育て支援推進調査研究で作成した乳幼児健診の診察マニュアル等を基にして、医師が記入する書式の決定と内容の吟味、集団健診方式に耐えうる利便性について検討した。
結果と考察
日本版Bright Futuresの作成:研究班内で検討し分担執筆をした。総論と各論に分かれ、各論部分は年齢層ごとに乳幼児、学童期、思春期の分け方で記載をした。各論の各項目では、その疾患などの健康課題としての重要性、健診での注意点、フォローアップ方針、本人と家族に対して今後注意すべき点などのアドバイスなどの項目を記載した。次年度に研究班の内外でのチェックを行う必要がある。
思春期の健康課題に関するアンケート調査に基づく課題抽出関する研究:回答群における質問の重要度を評価し、それぞれの回答者群を特定する上で重要な質問や、各群との中で比較的特異的な質問を特定した。
全国的に展開可能な標準化された乳幼児健診体制:1歳6か月児健診と3歳児健診の医師診察項目の記入書式を決定し、集団健診に耐えうる利便性を確保するために、身体計測結果や保健師による問診で把握できる内容については保健師が記入することとし、医師の記入項目数を減らす工夫を行った。タブレット端末にて保健師記入の情報と医師記入情報がリンクできる方式を開発した。今後は、マニュアルの内容の改訂と実際の健診における実用性の検証を行うことが求められる。
また各分担研究者により発達性股関節脱臼を対象として乳幼児健康診査における精度管理等データに関する研究、岡山県における遅発性難聴の頻度や早期発見の課題に関する研究、子どもを対象にした健診等の臨床場面に資する性教育モデルの開発、LGBT,特に性同一性障害/性別違和の子どもや関係者への情報提供についての研究、乳幼児健診における視覚スクリーニングの標準化と連携に関する研究、中学生に対するアンケート調査に基づく思春期のメディア依存に関する研究、標準化された乳幼児健診体制確立および米国の乳幼児健診体制に関する研究等、切れ目のない小児思春期の健診体制に関する研究を行った。
結論
小児期思春期のHealth Supervisionの基盤となる資料である米国のBright Futuresをモデルとした指針(日本版Bright Futures)の原案を作成した。また、小児期思春期における健康課題の抽出、適切な思春期の健診のための質問の選択、全国的に展開可能な標準化された乳幼児健診体制のための健診資料の作成とアプリ作成を行った。乳幼児健診の精度、遅発性難聴、性教育、性別違和、視覚スクリーニング、メディア依存等について研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2019-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201807012Z