文献情報
文献番号
201807011A
報告書区分
総括
研究課題名
社会的ハイリスク妊婦の把握と切れ目のない支援のための保健・医療連携システム構築に関する研究
課題番号
H30-健やか-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
光田 信明(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター )
研究分担者(所属機関)
- 藤原 武男(国立大学法人 東京医科歯科大学大学院)
- 中井 章人(学校法人 日本医科大学)
- 荻田 和秀(地方独立行政法人 りんくう総合医療センター)
- 佐藤 昌司(大分県立病院)
- 菅原 準一(国立大学法人 東北大学)
- 倉澤 健太郎(公立大学法人 横浜市立大学大学院)
- 片岡 弥恵子(学校法人 聖路加国際大学大学院)
- 佐藤 拓代(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪母子医療センター )
- 中村 友彦(地方独立行政法人 長野県立病院機構 長野県立こども病院)
- 前田 和寿(独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,315,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
児童虐待や産後うつの増加が報告され、社会的ハイリスク妊娠は周産期医療・母子保健・福祉事業においても注目されている。そのため、妊娠期からの切れ目のない子育て支援の必要性が認識されてきた。妊娠期から継続して社会的ハイリスク群を把握するためのアセスメント体制は、未だ構築されていない。また医療および保健機関の連携は、全国的にはほとんど進んでおらず、課題山積みである。妊娠期からの切れ目のない支援において、特に産科医療機関との連携が重要であり、都道府県(保健所)と市区町村の連絡会等の設置による、連携のあり方を検討する。光田班(平成27-29年度)の成果において、特定妊婦と児童虐待の強い関連性、また母の精神疾患、先天疾患、早産、低出生体重といった要因が子育て困難(児童相談所入所)要因であることが示された。出生後、児の健康状態が「子育て困難」につながることは、周産期センター通院中養育者のメンタルヘルス問題を想起させる。養育力の乏しいハイリスクな家族の情報を出生前から多職種で共有し、退院後に家族を地域で支えていく医療体制を目指す。以上より研究目的を①保健および医療機関で実施可能な社会的ハイリスク妊娠の把握のためのアセスメントシートを開発すること②医療・保健機関における社会的ハイリスク妊娠の情報共有による切れ目のない支援システムを開発し、子育て世代包括支援センターの事業システムを構築すること、とする。
研究方法
A 社会的ハイリスクの位置づけ及び取り扱いに関する研究
B 「社会的ハイリスク妊婦の支援と連携に関する手引書」の作成
C 社会的ハイリスク妊娠と子育て困難の関連性を効果検証する前方視的研究
D A市保健担当部署におけるアセスメントシート使用と医療機関連携の実情調査
E 本邦の母子保健事業の現状調査(2019)
F 周産期センター通院児童の養育者のメンタルヘルス問題に関する研究
医療・保健・福祉連携のためには共通言語が必要であり、全国関連機関に適応できる暫定的なアセスメントシートの作成と関連した用語整理を行う。これを用いて社会的ハイリスク妊娠と子育て困難の関連性(因果関係)を効果検証する前方視的研究を進める。各要因の重み付けを行い、精度の高いアセスメントシートに仕上げる。
妊社会的ハイリスク妊婦への切れ目ない支援を実現するために、「社会的ハイリスク妊婦の支援と連携に関する手引書」を作成。手引書は、6章から構成され、妊婦健診において社会的ハイリスク妊娠を把握し、評価していくことができるような手引書とし、医療・保健・福祉との連携の仕方、支援内容を含め、医療者が活用できるよう編集する。また本研究においては前方視的に拡大した研究を進める。研究範囲は、都道府県単位(大阪府、香川県、大分県、宮城県)、あるいは広域の地域群とする。各医療機関において全妊婦を対象とし、(暫定)アセスメントシートに基づく社会的ハイリスク妊娠のスクリーニングを行い、子育て支援状況の把握要および特定妊婦として保護児童対策地域協議会に記載されたかどうか、支援内容(回数)を登録する。すべての妊産婦のアセスメント結果と支援結果を突合して解析・検証する。すべての妊産婦からは文書による同意を得るものとする。具体的な支援についても収集し、手引書の作成に応用する。周産期センター通院中児童の子育ては、児童自身の疾病管理も重要であるが、養育者のメンタルヘルスが重要となるため、この問題の実態調査を行う。
B 「社会的ハイリスク妊婦の支援と連携に関する手引書」の作成
C 社会的ハイリスク妊娠と子育て困難の関連性を効果検証する前方視的研究
D A市保健担当部署におけるアセスメントシート使用と医療機関連携の実情調査
E 本邦の母子保健事業の現状調査(2019)
F 周産期センター通院児童の養育者のメンタルヘルス問題に関する研究
医療・保健・福祉連携のためには共通言語が必要であり、全国関連機関に適応できる暫定的なアセスメントシートの作成と関連した用語整理を行う。これを用いて社会的ハイリスク妊娠と子育て困難の関連性(因果関係)を効果検証する前方視的研究を進める。各要因の重み付けを行い、精度の高いアセスメントシートに仕上げる。
妊社会的ハイリスク妊婦への切れ目ない支援を実現するために、「社会的ハイリスク妊婦の支援と連携に関する手引書」を作成。手引書は、6章から構成され、妊婦健診において社会的ハイリスク妊娠を把握し、評価していくことができるような手引書とし、医療・保健・福祉との連携の仕方、支援内容を含め、医療者が活用できるよう編集する。また本研究においては前方視的に拡大した研究を進める。研究範囲は、都道府県単位(大阪府、香川県、大分県、宮城県)、あるいは広域の地域群とする。各医療機関において全妊婦を対象とし、(暫定)アセスメントシートに基づく社会的ハイリスク妊娠のスクリーニングを行い、子育て支援状況の把握要および特定妊婦として保護児童対策地域協議会に記載されたかどうか、支援内容(回数)を登録する。すべての妊産婦のアセスメント結果と支援結果を突合して解析・検証する。すべての妊産婦からは文書による同意を得るものとする。具体的な支援についても収集し、手引書の作成に応用する。周産期センター通院中児童の子育ては、児童自身の疾病管理も重要であるが、養育者のメンタルヘルスが重要となるため、この問題の実態調査を行う。
結果と考察
保健担当部署におけるアセスメントシート使用と医療機関連携の実情調査より「アセスメントシート(妊娠期)」が特定妊婦のスクリーニングツールとして有用であるが、行政によるアセスメントシート評価だけでは不十分であることが明らかになった。全国の周産期医療センターを対象にメンタルヘルスに関するアンケート調査より、 185施設から回答があり(回収率45%)、精神科医の存在(61%)、心理士(63%)、MSW(42%)はそれぞれ少ないが、メンタルヘルスチェックの実施(81%)は多くの施設でおこなわれていた。多職種カンファランスの実施(65%)、バースレビュー体制(34%)もまだ充分におこなわれていない。メンタルヘルスに問題のある妊婦の増加(100%)、メンタルヘルスに問題のある妊婦への対応の困難(99%)、医療ネグレクトの経験(76%)は非常に高い数字であった。
結論
本研究は、社会的ハイリスク妊娠把握のためのアセスメント方法の開発に大きな成果が期待される。次年度からは症例登録を開始する。産前・産後ともに、地域での既存の多職種によるスムーズな連携構築が十分に行われていないことが課題と考える。
公開日・更新日
公開日
2019-08-28
更新日
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