子育て世代包括支援センターの全国展開に向けた体制構築のための研究

文献情報

文献番号
201807008A
報告書区分
総括
研究課題名
子育て世代包括支援センターの全国展開に向けた体制構築のための研究
課題番号
H29-健やか-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 母子保健情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山縣 然太朗(山梨大学大学院・総合研究部医学域社会医学講座)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
  • 高橋 睦子(吉備国際大学 保健医療福祉学部)
  • 横山 美江(大阪市立大学大学院 看護学研究科)
  • 福島 富士子(東邦大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
母子保健法改正により、子育て世代包括支援センター(以下、「センター」という)の設置が市町村の努力義務とされ、令和2年度末までに全国展開が目指されている。母子保健と子育て支援の融合によるセンターの運営・設置に資する事業評価システムを構築し、センターの業務ガイドラインの改定案とセンターにおける面談のガイドブック、及び研修プログラムを作成し、センターの全国展開のための体制を構築することを目的とする。
研究方法
1.子育て世代包括支援センターの設置推進支援
厚生労働省母子保健課による平成30年4月1日現在のセンター設置率43.7%より、設置率の低い北海道、秋田県、岐阜県、長崎県及び設置率は平均程度であるがより設置を進めたい石川県の協力を得て、自治体を対象としたセンター設置推進の研修を行った。
2.子育て世代包括支援センター未設置自治体における設置阻害要因の把握及び子育て世代包括支援センター事業のPDCAの検討
 1.における研修において、自治体の課題、設置阻害要因、解決策等についてワークショップ手法を用いて検討を行った。また、設置が進んでいる大阪府ではワークショップ手法によるPDCAサイクルの検討を行った。
3.センターにおける面談及び支援技術の開発
フィンランドのネウボラ等での支援技術や、フィンランドの児童精神医学からのアプローチを参考に、自治体保健師等にモデル研修を行った。また、「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」における必須事業のうち、支援プラン作成を困難と考えている自治体が約半数であったことから、自治体のワークショップ等でモデル支援プランを作成し、実際に使用して改良に取り組んだ。これらを踏まえた面談・支援ガイドブックの検討を行った。
4.自治体取組事例集の作成
研究初年度のヒヤリング調査で把握した自治体及び研究者が把握した自治体において、他の自治体の参考になると考えられた取組の事例集を、自治体の協力を得て作成した。
結果と考察
1.子育て世代包括支援センターの設置推進支援
研究班として5道県で行うとともに、分担研究者が依頼等を受け多数の自治体に対して設置推進の支援を行った。講義と共に自治体の情報交換やセンターに関するグループディスカッションが設置推進に有効と考えられた。
2.子育て世代包括支援センター未設置自治体における設置阻害要因の把握及び子育て世代包括支援センター事業のPDCAの検討
課題は「センター設置と事業の理解不足」「自治体内の認識・連携の不足」「機関連携」「支援技術の向上及び支援プラン」「体制・人材確保」「対象者の継続的把握」「PDCAサイクルによる効果的なセンター運営」「その他(予算・場所・周知・使えるサービス・連携支援・情報共有のシステム)」とまとめられ、それぞれに対応策が検討された。「この我が町がどうなったらいいか」を考え、PDCAサイクルを回す目標として検討をすすめることが未設置自治体のセンター設置の推進と効果的なセンター事業の推進に有効と考えられた。
3.センターにおける面談及び支援技術の開発
フィンランド国立保健福祉センター、タンペレ大学、タンペレ応用科学大学から保健師の支援技術習得のカリキュラムや支援マニュアル等を取得するとともにフィンランドタンペレ大学から講師を招聘し、親子の関係性構築のための支援技術に関して知見を得た。さらに自治体が困難と考えている支援プランについてモデル支援プランを作成し、実際に使用して改良に取り組んだ。これらから面談・支援ガイドブックの検討をすすめる。
4.自治体取組事例集の作成
未設置自治体及び設置自治体の参考になるGood Practiceを行っている30自治体の取組について、事例集を作成した。
結論
研究2年目である平成30年度は「センター未設置自治体減少と対人支援技術の向上」を目標として研究を行った。
全国的にセンターの設置は進みつつあるが規模の小さい自治体では設置が進まず、設置の課題やそれに対応する解決策等を各種研修等において周知を図るとともに、設置が特に進んでいない都道府県に対して研修等の支援を行う必要がある。地域住民の妊娠期から乳幼児期までの切れ目のない包括的な支援を行うセンターの効果的な事業展開には、PDCAによる地域作りの考え方が重要であり、センター業務ガイドラインの改定案を作成する予定である。
センターの利用者目線に立った支援は、既存の母子保健事業に加味すべき内容であり、モデル支援プランはこれを具体化していることから支援プランの例を充実させ、センターにおける面談・支援ガイドブックを作成する予定である。
自治体の取組事例集は、未設置自治体及び設置自治体においても効果的なセンター設置に有効と考えられることから、今後も取組事例集の充実に努める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2019-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201807008Z