親子の心の診療を実施するための人材育成方法と診療ガイドライン・保健指導プログラムの作成に関する研究

文献情報

文献番号
201807007A
報告書区分
総括
研究課題名
親子の心の診療を実施するための人材育成方法と診療ガイドライン・保健指導プログラムの作成に関する研究
課題番号
H29-健やか-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 三牧 正和 (帝京大学 医学部 小児科学講座 )
  • 岡 明 (東京大学 医学部 小児科 )
  • 川名 敬 (日本大学 医学部 産婦人科 )
  • 荻田 和秀 (りんくう総合医療センター 産婦人科 )
  • 山下 洋 (九州大学病院 子どものこころ診療部 )
  • 山崎 知克 (浜松市子どものこころ診療所)
  • 岡田あゆみ(土居 あゆみ)(岡山大学病院 小児医療センター 子どものこころ診療部 )
  • 大西雄一(東海大学医学部 児童青年精神医学 )
  • 道端 伸明(東京大学大学院医学系研究科 ヘルスサービスリサーチ講座 )
  • 片岡 弥恵子 (聖路加国際大学・ウィメンズヘルス・助産学 )
  • 平林 優子 (信州大学医学部・保健学科 )
  • 内山有子(東洋大学ライフデザイン学部)
  • 堀越 勝(国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター)
  • 片柳 章子(古賀 章子)(国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター)
  • 関口進一郎 (慶應義塾大学 医学部 小児科)
  • 村上佳津美(堺咲花病院 心身診療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
不登校、いじめ、虐待、要保護児童、自殺、摂食障害、発達障害など子どもの心の問題が常に社会的な関心を集める中、この15年間で子どもの心の診療体制が厚生労働省施策のもと大幅に整備されてきた。平成17年に「子どもの心の診療医の養成」に関する検討会(柳澤班)が設立され、子どもの心の診療に携わる医師を三類型に分類し到達目標を示すことで、多くの医師が子どもの心の診療に従事する機会を作った。平成20年からの子どもの心の診療拠点病院事業(奥山班)は、その後の子どもの心の診療ネットワーク事業として継続され、本格的に稼働している。子どもの心の問題は、親を含む家族の心の問題が背景に存在することがある。そのため親子の心の診療が、妊娠期から乳児期における母子保健のメンタルヘルス課題克服や虐待防止、学童期の発達障害の支援、思春期のメンタルヘルス課題の克服に必要である。さらにこれらの克服には多職種(小児科医、産婦人科医、精神科医、心理士、保健師、助産師、看護師、養護教諭)と行政の連携が不可欠である。本年度は親子の心の診療を実施するうえでのガイドライン(診療マップ)をライフステージに沿って作成した。また、研究分担者の専門領域を中心に、ライフステージ別に産後ケアの充実、特別養子縁組の生母支援、周産期メンタルヘルスシステムの構築、発達障害の支援、乳児院における診断スクリーニング、精神疾患を患う両親支援、摂食障害の親子関係、学校保健教育、親子の心の診療医の育成など、様々な視点から親子の心の診療大切について検討を行った。さらに特定疾患カウンセリング料の在り方について政策提言となる基礎資料を作成した。
研究方法
研究代表者が所属する研究機関で「親子の心の診療マップ」検討チームを立ち上げ、前年度に抽出された親子の心の診療課題と班会議での意見を集約し、ライフステージと診療科に考慮して、女性の心版、子どもの心版、親の心版の3パターンのマップを作成した。患者および保護者がクリニックや病院受診した場合を想定し、診療医が適切に問題点に「気づき」、適切に連携部署・職種に「つなぐ」ことができるようになることを目標に心の診療マップは策定された。特に親の心版は、子どもには特別な疾患がなくとも、親が精神的な病気に罹患しているときに、その子どもの支援の在り方について記載した。各パターンのマップは40ページ前後から編集され、パンフレットとした。
結果と考察
分担研究報告は、周産期~乳幼児期領域において、周産期メンタルヘルスに関する産後2週間検診の有用性(荻田)、諸外国における支援システムの比較(山下)、地域における保健師等における支援連携(平林、片岡)について報告した。乳幼児期においては、特別養子縁組の生母支援(川名)、虐待防止視点からの切れ目ない家族支援(岡)、乳児院における精神障害の有病率の検討(山崎)について報告した。学童思春期においては、摂食障害治療における親子関係の重要性(道端)、精神障害をもつ子どもの支援(岡田)について報告した。人材育成の視点からは、思春期医療の教育プログラム開発(関口)、認知行動療法を用いた親子の心理教育マテリアルの開発(堀越、片柳)、子どものこころ専門医と親子の心の診療(村上)について報告した。その他、医療機関別のおける親子の心の診療課題(大西)、健やか親子21の紹介(三牧)、新しい学校指導要綱の紹介(内山)がなされた。また特定疾患カウンセリング料の適応拡大の向けた実態調査(永光)も実施された。
結論
本研究班2年目の成果および次年度に向けた展望として、1) 親子の心の診療マップの作成、2)小児特定疾患カウンセリング料診療報酬改定への提言、3)ライフステージ間の連結された支援体制の構築、4)多職種連携マニュアルの草案が掲げられた。親子の心の診療マップは、地域により医療資源、連携機関は異なるため、本診療マップに沿った診療行為は標準的に実施されるものではなく、地域での医療体制と本マップとの相違点を地域で検討し、対策を講じていくことが期待される。また特定疾患カウンセリング料の改訂については保護者カウンセリングによる臨床効果の検証をおこなっていくことも重要と思われた。

公開日・更新日

公開日
2019-05-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201807007Z