医療用医薬品の添付文書に関する活用状況の調査・分析研究

文献情報

文献番号
201806015A
報告書区分
総括
研究課題名
医療用医薬品の添付文書に関する活用状況の調査・分析研究
課題番号
H30-特別-指定-015
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 青木良子(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 )
  • 佐井君江(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 )
  • 今任拓也(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療用医薬品の添付文書は最新の情報に基づき随時改訂されているが、製品に同梱されている紙媒体の添付文書(以下、同梱添付文書)は流通の過程や在庫品として時間を経るため、必ずしも最新でない可能性がある。一方、Web等の電子的な提供では、最新のものを提供可能である。そこで医薬関係者が同梱添付文書をどれほど活用しているか、電子的な提供に移行した場合に支障があるかを把握するためアンケート調査を行った。
研究方法
全国の病院750カ所、診療所2,250カ所、薬局1,500カ所を無作為に抽出し、調査票を送付して無記名任意回答方式にて回収した。病院には医師と薬剤師それぞれに回答を求めるため2通ずつ送付し、診療所は医師、薬局は薬剤師にそれぞれ回答を求めた。5,250通の調査票送付に対し2,137通の回答があり、回収率は40.7%であった。
結果と考察
回答者のほとんど(97.1%)は日常業務で添付文書を確認しており、ほぼ2/3が添付文書の全項目を利用すると回答していた。
通常、添付文書情報をどこから入手しているか尋ねたところ、同梱添付文書からが最も多く全体の42.2%であった。但し、所属・職種によって違いがみられ、病院医師の同梱添付文書の利用は23.4%と少なく、電子カルテやレセプトコンピュータ等と連動したソフトからの方が多かった(34.7%)。添付文書情報の入手方法を、紙媒体によるもの(同梱添付文書、製薬企業/卸売販売業者から添付文書を入手、添付文書集として市販されている成書)と、電子媒体によるもの(電子カルテやレセプトコンピュータ等と連動したソフト、PMDAのホームページ、企業のホームページ)に大別して集計したところ、全体の6割は紙媒体により添付文書情報を入手していた。
次に、同梱添付文書は最新版でない可能性があることを説明した上で最新の添付文書情報をどこから入手するか尋ねたところ、紙媒体から入手は36.0%に減じ、電子的に入手が58.3%に増加した。さらに、同梱添付文書が廃止された場合どこから情報を入手するか尋ねたところ、66.2%は電子的に入手すると回答したが、30.3%は紙媒体の利用を希望していた。上記設問で電子的に入手すると回答しなかった人(全体の33.8%)にその理由を尋ねたところ、「紙媒体の方が見やすく利便性が高い」(62.5%)、「ホームページでの検索が煩雑・わかりづらい」(31.5%)という回答であった。
サブグループ解析の結果、同梱添付文書が廃止された場合も紙媒体を利用するとの回答が半数以上を占めた職種・年代は、診療所医師および70代以上であった。薬局薬剤師も現状では同梱添付文書の利用者が多かった(61.1%)が、同梱添付文書が廃止された場合、81.2%が電子的に入手すると回答しており、こちらは対応可能であると考えられる。
結論
本アンケート調査結果より、現状では通常の添付文書情報の入手方法として同梱添付文書が最も多く使われていること、インターネット環境は回答者の97.0%で利用可能であり、最新情報を必要とする場合や同梱添付文書が廃止された場合には電子的に入手するとした回答が6割ほどあった一方で、紙媒体での提供を求める意見も、特に一部の職種・年代で根強くあることが明らかになった。添付文書の同梱を廃止し電子化する場合には、必要な医療機関には最新の添付文書を紙媒体で届ける仕組みが、少なくとも当面は必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201806015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医薬品に同梱されている添付文書の利用状況、医薬関係者のインターネット環境と電子的な添付文書の利用に関する意識など、これまで報告されてこなかった点が明らかとなり、今後の行政施策立案に有用な情報が得られた。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
2019年の医薬品医療機器等法の改正案作成において、参考とされた。
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
2023-05-29

収支報告書

文献番号
201806015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,100,000円
(2)補助金確定額
8,100,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,317,787円
人件費・謝金 3,820,272円
旅費 0円
その他 2,961,941円
間接経費 0円
合計 8,100,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
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