文献情報
文献番号
201806011A
報告書区分
総括
研究課題名
効率的な看護業務の推進に向けた実態調査研究
課題番号
H30-特別-指定-011
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 すが(東京医療保健大学)
研究分担者(所属機関)
- 小澤 知子(東京医療保健大学 医療保健学部)
- 佐々木 美奈子(東京医療保健大学 医療保健学部)
- 末永 由理(東京医療保健大学 医療保健学部)
- 駒崎 俊剛(東京医療保健大学 医療保健学部)
- 本谷 園子(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
9,009,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療需要の高まりへ対応するために、医師から看護職へのタスクシフトや、医療・介護分野の生産性の向上が求められている。看護業務も効率化を図り、看護職がより専門性を発揮できる働き方の推進を検討する必要がある。その基礎資料を得るために、看護業務の実態と、看護師が他職種・ICTに移譲可能と考える看護業務を把握する。
研究方法
病床規模、病床機能の異なる47病院の50病棟において、(1)955名の看護師のタイムスタディ調査(実施している看護業務を10分間隔で85項目から選んでタブレットに入力)、および、(2)同病棟の看護師1180名に対する業務効率化に関する意識調査(自記式質問紙調査、926名から回答、回収率78.5%)を実施した。
結果と考察
(1)看護業務の実態:1日24時間の看護業務量の中で多い上位6項目は、①【日々の看護実施記録】 ②【排泄介助】 ③【バイタルサインの測定】 ④【患者等からの情報収集】 ⑤【看護師間の申し送り】 ⑥【食事の世話】であった。残業として行われた看護業務で最も時間が長かったのも【日々の看護実施記録】であり、効率化の方法を検討する必要がある。
(2)看護師が他職種・ICTに移譲可能と考えている看護業務の上位10項目は、①【リネン交換】 ②【環境整備(ベッド周囲の整理・整頓・清掃等)】 ③【見守り・付き添い】 ④【更衣】 ⑤【ME機器の取り寄せ・管理・返却】 ⑥【機器類の点検(車いす・酸素ボンベ・DC等)】 ⑦【入院時オリエンテーション】 ⑧【身体の清潔】 ⑨排泄介助 ⑩【体重測定】であった。これらの業務を移譲する他職種としては、看護補助者、臨床工学技士、事務部門職員が考えられる。また、移譲先としてICTを挙げる比率が高い業務は、①【看護師間の申し送り】 ②【看護師間の報告・連絡・相談】 ③【医師への報告・連絡・相談】 ④【褥瘡発生リスクアセスメント】 ⑤【転倒転落アセスメント】 ⑥【他の職種への報告・連絡・相談・調整】 ⑦【重症度・医療看護必要度の入力】 ⑧【重症度、医療・看護必要度のチェック(記入もれや記載内容等)・修正】 ⑨「【バイタルサインの測定】 ⑩【看護計画作成・アセスメント】であった。医療チームでの情報共有、入院時業務、「重症度、医療・看護必要度」の入力・チェック、バイタルサインの測定に関してICT活用が望まれていた。
(2)看護師が他職種・ICTに移譲可能と考えている看護業務の上位10項目は、①【リネン交換】 ②【環境整備(ベッド周囲の整理・整頓・清掃等)】 ③【見守り・付き添い】 ④【更衣】 ⑤【ME機器の取り寄せ・管理・返却】 ⑥【機器類の点検(車いす・酸素ボンベ・DC等)】 ⑦【入院時オリエンテーション】 ⑧【身体の清潔】 ⑨排泄介助 ⑩【体重測定】であった。これらの業務を移譲する他職種としては、看護補助者、臨床工学技士、事務部門職員が考えられる。また、移譲先としてICTを挙げる比率が高い業務は、①【看護師間の申し送り】 ②【看護師間の報告・連絡・相談】 ③【医師への報告・連絡・相談】 ④【褥瘡発生リスクアセスメント】 ⑤【転倒転落アセスメント】 ⑥【他の職種への報告・連絡・相談・調整】 ⑦【重症度・医療看護必要度の入力】 ⑧【重症度、医療・看護必要度のチェック(記入もれや記載内容等)・修正】 ⑨「【バイタルサインの測定】 ⑩【看護計画作成・アセスメント】であった。医療チームでの情報共有、入院時業務、「重症度、医療・看護必要度」の入力・チェック、バイタルサインの測定に関してICT活用が望まれていた。
結論
看護師の業務の中で実施割合の多い看護業務については、単に行為時間を減らすのではなく、行為の目的を考えケアの質を担保しつつ、各医療機関の実情に応じた業務効率化の検討が必要である。そのためには、ICTの活用による情報共有システムの検討などが考えられる。タスクシフティングについては、他職種へ単に業務を移譲するのではなく、患者へのケアの質と安全性を担保するために、他職種への移譲可能性を判断するアルゴリズムの開発やガイドラインの作成、ならびに組織全体の仕組みづくりの検討が必要である。また、他職種へ移譲した好事例などを多くの施設で共有することで新たな業務改善を推進できると考える。
公開日・更新日
公開日
2019-07-22
更新日
-