文献情報
文献番号
201806010A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医師の勤務実態等の調査研究
課題番号
H30-特別-指定-010
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
- 尾崎 哲則(日本大学 歯学部歯学研究科)
- 井田 有亮(東京大学大学院 医学系研究科)
- 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
17,487,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
今後の歯科医療供給体制を検討するうえで、全国の歯科医師の勤務実態を把握する必要がある。本研究では、初めて全国レベルの大規模調査を実施することによって、病院と歯科診療所に勤務する歯科医師の勤務実態や働き方などに関する希望を明らかにすることを目的とした。
研究方法
調査対象は、歯科を有する1,632病院ならびに17,000件の歯科診療所および当該施設に勤務する歯科医師を対象に郵送留置法による自記式質問紙調査を実施した。病院施設票の回収率は29.4%、歯科診療所施設票の回収率は22.2%であった。歯科医師調査票での主要項目は、歯科医師の属性および診療分野、勤務形態、家族の状況、希望のキャリア、勤務地の希望、育児や介護の状況、および1週間の自記式タイムスタディ等である。施設調査票での主要項目は、病床規模、平均在院日数等の施設情報、仕事と家庭の両立のための取り組み、歯科医師の勤務管理等についてである。
結果と考察
病院常勤歯科医師の平均勤務時間は、男性で一般病院52.2時間、医育機関55.5時間、女性で一般病院48.4時間、医育機関48.1時間であった。勤務時間60時間以上の常勤歯科医師の割合は30代男性で34.0%と最も高く、年齢の上昇につれ減少していたが、女性では一般病院40代の40.4%が最も高かった。病院歯科の診療科別の分析においては、「歯科口腔外科」での勤務時間が最も長く、宿直ありと回答した30代で平均59.7時間であった。主たる勤務先において宿直ありと回答した割合は全体の13.7%で、そのほとんどが歯科口腔外科であった。一方、歯科診療所における常勤歯科医師の平均勤務時間は、男性で約43時間、女性で約39時間であり、勤務時間60時間以上の常勤歯科医師の割合は、男性で5.4%、女性で2.8%であった。育児中の「休職・離職」を経験した常勤女性歯科医師は、病院では10%、歯科診療所では22%であった。育児中の勤務継続に有効な取り組みとしては、病院歯科ならびに歯科診療所とも「院内保育施設の設置・充実」を希望する者が男女ともに最も多かったが、施設における保育所の設置状況は、一般病院で67%、歯科医育機関で50%、歯科診療所で0.7%であった。業務分担が可能な分野としては、病院歯科ならびに歯科診療所とともに高率であったのは「予防処置・歯科保健指導」と「医療事務」であった。勤務地については、都市部以外での勤務希望を有する歯科医師は、病院では51%、歯科診療所では40%であった。歯科医師の勤務管理に、タイムカード等を導入もしくは導入予定の施設の占める割合は、病院歯科で63%、歯科診療所で41%であった。
結論
病院勤務歯科医師における長時間勤務割合は医師ほど高くないが、宿直業務を要する歯科口腔外科等においては,業務のタスクシフトをはじめとした就労支援を早急に検討する必要がある。また,病院歯科ならびに歯科診療所ともに,育児のため休職・離職する女性歯科医師に対して、離職予防対策を講じることが求められる。
公開日・更新日
公開日
2019-05-23
更新日
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