文献情報
文献番号
201806009A
報告書区分
総括
研究課題名
エンバーミングのプロトコル策定等の研究
課題番号
H30-特別-指定-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 喜宣(日本歯科大学 生命歯学部歯科法医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 都築 民幸(日本歯科大学 生命歯学部歯科法医学講座)
- 松村 讓兒(杏林大学 医学部解剖学教室)
- 岩原 香織(日本歯科大学 生命歯学部歯科法医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本における死亡者数の増加や近年の大規模災害発生による日本人死亡者数の増加だけでなく、今後は、介護等の人材不足に代表される外国人労働者の受け入れや訪日外国人観光客の増加に伴う日本における外国人死亡者数も増加することが予想される。このような多種多様な死に対応し、死体の尊厳や遺族の心情、環境衛生をまもるためのエンバーミングは、一定の技能を有したエンバーマーにより、適切に行われなければならない。しかしながら、現在、日本における明確なエンバーミングのプロトコルやエンバーマー養成のためのプログラム等に関する公的な基準は存在しない。本研究は、エンバーミングのプロトコルおよびエンバーマー養成のためのプログラムの試案について多角的な観点から考察し、提案することを目的とする。
研究方法
研究に際し、多角的な観点から考察するため、研究内容を分担し、その具体的な内容を決定し、班会議にて確認を行った。その上で、それぞれの研究チームごとに、文献検索、アンケート調査、意見聴取、海外視察などの方法で研究をすすめ、班会議で結果報告を行った。研究チームごとの結果をもとに、エンバーミングのプロトコル策定およびエンバーマーの養成教育についてまとめた。
結果と考察
エンバーミングの適正実施に関するプロトコル策定に関し、日本におけるエンバーミングの現状を調査したところ、知り得た限りでも、2018年には48,000件(全死亡数の約3.6%)以上実施されており、近年、増加傾向にあった。また、日本で行われている葬儀やエンバーミングの依頼については、二親等以内の親族である依頼者の依頼書(同意書)等への自署捺印をもって依頼とされていた。その依頼書(同意書)は、ほぼ統一された内容であり、適切であると考えられたが、さらなる確認項目の追加や活用方法等について提言を行った。
さらに、エンバーミングの適正実施のために、医学教育で用いられる遺体への防腐処置と葬送に際して行われる遺体の防腐処置との相違点を明らかにした上で、エンバーミング時の感染や化学物質暴露の対策に関する感染防御管理や問題発生時の対応について提言を行った。
日本からの遺体搬出および日本への遺体搬入については、関係法令や国際航空運送協会規定、航空会社やエンバーマーからの情報を参考とし、手続きおよび課題等を整理した。
エンバーマー養成教育に関しては、National Funeral Directors Association International Convention & Expoの視察や文献をもとに、アメリカ合衆国における教育・履修単位・修了資格・免許について検討し、日本におけるエンバーマーの養成に必要な履修科目や資格について提言を行うと同時に、遺体修復に関する情報収集から、現状や問題点を把握し、修復を含めたエンバーミング技能に関するモデルコアカリキュラムの試案を策定した。さらに、災害時の活動について、過去の災害における活動や海外の状況を文献検索にて把握し、災害の理解のための教育や平時からの準備についての提言を行った。
さらに、エンバーミングの適正実施のために、医学教育で用いられる遺体への防腐処置と葬送に際して行われる遺体の防腐処置との相違点を明らかにした上で、エンバーミング時の感染や化学物質暴露の対策に関する感染防御管理や問題発生時の対応について提言を行った。
日本からの遺体搬出および日本への遺体搬入については、関係法令や国際航空運送協会規定、航空会社やエンバーマーからの情報を参考とし、手続きおよび課題等を整理した。
エンバーマー養成教育に関しては、National Funeral Directors Association International Convention & Expoの視察や文献をもとに、アメリカ合衆国における教育・履修単位・修了資格・免許について検討し、日本におけるエンバーマーの養成に必要な履修科目や資格について提言を行うと同時に、遺体修復に関する情報収集から、現状や問題点を把握し、修復を含めたエンバーミング技能に関するモデルコアカリキュラムの試案を策定した。さらに、災害時の活動について、過去の災害における活動や海外の状況を文献検索にて把握し、災害の理解のための教育や平時からの準備についての提言を行った。
結論
研究結果をもとに、現在、活動しているエンバーマーの意見も取り入れつつ、より具体的なプロトコルの策定およびエンバーマーの養成教育や啓発活動に還元することにより、公衆衛生ならびに精神衛生にも寄与するものと考える。加えて、エンバーマーの資格認定制度の整備により、知識と技能を有したエンバーマーによるエンバーミングの質の担保を行うことができれば、日本国民だけでなく、人種を問わず、遺族となった人々が安心で安全な遺体との別れが保障されるものと考える。
公開日・更新日
公開日
2020-03-10
更新日
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