ICTを活用した卒前・卒後のシームレスな医学教育の支援方策の策定のための研究

文献情報

文献番号
201803028A
報告書区分
総括
研究課題名
ICTを活用した卒前・卒後のシームレスな医学教育の支援方策の策定のための研究
課題番号
H30-ICT-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
門田 守人(日本医学会連合  )
研究分担者(所属機関)
  • 伴 信太郎(愛知医科大学医学教育センター)
  • 福井 次矢(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 田中 雄二郎(東京医科歯科大学)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院)
  • 高木 康(昭和大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
23,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICTを活用した医学教育は、学部教育における共用試験CBTや臨床研修におけるEPOCなどで実施されてきたが、卒前・卒後のシームレスな医師育成に活用できていない現状がある。2016年度改訂の医学教育モデル・コア・カリキュラムおよび2020年度適用予定の医師臨床研修到達目標は、卒前・卒後の連続性を考慮した一貫性のあるものとなっており、今後、卒前臨床実習・卒後臨床研修・専門研修・生涯教育までを含めて、医学生・研修医・医師の能力向上を支援し、評価できるICTの基盤構築が喫緊の課題である。本研究では、下記に示すように、15年にわたる臨床研修制度の実績と卒前医学教育改革を踏まえ、ICTを活用したシームレスな医学教育支援のための評価法を構築し、さらには医師国家試験のICT化、臨床研修制度の体系的評価法について基礎的検討を行った。
研究方法
①ICTを活用したシームレスな評価体系構築(田中、木内)
卒前、卒後臨床実習の評価について、それぞれ文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム(H28年度改訂版)」厚生労働省「臨床研修の到達目標、方略、評価(2020年度以降開始用)」および「医師臨床研修指導ガイドライン(2020年度版)」を調査した。また、APMECにて海外の評価システムを調査した。これらに基づき、ICTを活用した卒後臨床研修と連携する卒前臨床実習の評価システムの開発を行った。
②マルチメディアを活用したCBTの開発(高木)
意識レベルの判定、患者の神経学的診察画像から推測される神経学所見、徒手筋力試験の筋肉負荷状況による結果などの参加型臨床実習前に修得すべき内容のマルチメディア活用CBTの作成、身体診察を行っている動画を用いた診察技法の評価、聴診所見からの病態推測、患者画像から推測される病態の推測など参加型実習後での技能評価を行うマルチメディア活用CBTを開発した。
③医師国家試験CBT化、共用試験CBTの法的解釈(伴)
諸外国の医師国家試験の実施方法、CBT化する際の移行方法や注意すべき点などについて訪問調査およびe-mailで情報収集を行った。また関連する文献を収集した。医師国家試験問題の公開についての法的問題については,慶応大学法学部教授の磯部哲氏から情報収集を行った。
④臨床研修の評価体系の構築(福井)
特定非営利活動法人 日本医療教育プログラム推進機構の基本的臨床能力評価試験のデータを分析し、研修医が所属する臨床研修プログラムが継続化プログラム(7科必修)、弾力化プログラム(それ以外)によって点数に差があるかを検討し、2020年度に導入される新たな臨床研修の到達目標・方略・評価で用いられる評価票の使い方に関するワークショップを開催した。
結果と考察
①ICTを活用したシームレスな評価体系構築(田中、木内)
ICTを活用した卒後臨床研修と連携する卒前臨床実習の評価システムの仕様を作成するとともに、EPAや臨床手技等の評価尺度として、卒前-卒後のシームレスな評価尺度(案)を作成し、モバイル端末上で利用可能なICTを活用したシステムの開発を実施した。
②マルチメディアを活用したCBTの開発(高木)
マルチメディア活用CBTの例題として、「意識レベルの把握」、「ふるえの原疾患の推測」、「徒手筋力テストでの評価筋肉と評価」、「心疾患の推測」、「腹部診察の診察臓器と所見」、「失語症の鑑別」、「CTの病変部を診断」に係るものを作成した。
③医師国家試験CBT化、共用試験CBTの法的解釈(伴)
諸外国における医師国家試験CBT化等の状況については、米国のUSMLEは第3者機構による試験、ドイツ、カナダ、台湾、韓国は国家試験が実施されており,韓国を除いて認知領域の試験はCBT化されていた。さらに、医師国家試験問題の開示/非開示についての論点整理を行った。
④臨床研修の評価体系の構築(福井)
過去10年間にわたって集積してきた臨床研修アンケートについて、臨床研修能力99項目、経験症例数86項目を経時的に分析した。また、2018年度データを用いて、1)継続プログラムと弾力プログラムの比較、2)年齢別比較、3)性別比較、4)研修病院別比較、5)新医師臨床研修制度導入以前(平成14年)と以後(平成30年)の比較、6)二次医療圏別比較を分析した。
結論
今後、期待される成果として、EPOCによる卒前・卒後の臨床実習・研修の評価を一貫性のあるものとすることによって、卒前実習の質の均てん化を図ることができる。また、医師国家試験をCBT化することにより、より臨床現場の臨床能力に近い推論能力を問うことができるようになる。また、マルチメディアを活用した作問は、今後生涯教育にも活用できるような試験問題の作成への可能性を開くことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2019-11-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-11-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201803028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,160,000円
(2)補助金確定額
26,987,064円
差引額 [(1)-(2)]
3,172,936円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 896,016円
人件費・謝金 2,061,914円
旅費 965,505円
その他 16,103,629円
間接経費 6,960,000円
合計 26,987,064円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-04-07
更新日
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