文献情報
文献番号
201803019A
報告書区分
総括
研究課題名
保健医療用人工知能の技術革新と国際競争力向上に資する人材育成に関する研究
課題番号
H29-ICT-一般-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
奥村 貴史(北見工業大学 工学部)
研究分担者(所属機関)
- 安藤 雄一(国立保健医療科学院)
- 福田 敬(国立保健医療科学院)
- 中村 素典(国立情報学研究所)
- 神谷 達夫(福知山公立大学)
- 岡本 悦司(福知山公立大学)
- 木村 眞司(札幌医科大学)
- 亀田 義人(千葉大学)
- 藤原 幸一(名古屋大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
8,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
人工知能(AI)技術の医療への応用が期待されている。しかし、米中が熾烈な研究開発競争を進めるなか、我が国における医療用人工知能の研究開発は国際競争力を獲得しているとは言い難い状況にある。その背景として、そもそもの研究開発人材の欠如に加えて、研究プロジェクトを支える人材の欠如により大きな制約を受けている点が懸念される。そこで、本研究班は、医療用人工知能の研究開発を支える人材育成を通じて研究分野の発展に寄与することを目的とした。
研究方法
医療用人工知能研究に関わる研究開発者を支える3種の人材を対象に、効率的な人材育成の検討や啓発資料の作成を行う。まず、医療機関や政策当局において医療用AIの導入意志決定に関わる人材の理解促進に資する啓発資料の開発を目指した。また、応用分野を開拓していくため、医療の周辺領域の研究分野におけるAI活用について、参入促進に向けた現況調査を図った。最後に、データ生成や研究開発に関わる、研究の生産性向上に資する人材育成の検討を行った。
結果と考察
昨年度の活動成果と合わせて、医療用人工知能の研究開発に関わる多様な教材、啓発資料、研究班広報サイト上のウェブ記事の集積が実現した。また、研究活動を通じて、現在の医療用人工知能研究における各種の課題とその対応に向けた提言を行うことができた。人工知能技術は技術革新が続いており、技術解説等にコストを掛けても短期間で陳腐化することが予想される。この問題への対策としては、単に記事を公開するのではなく、参加者が自発的に学びまた情報共有してゆくコミュニティの確立が重要となる。そこで、研究班終了後の広報サイトの継続的な維持と利用者からのフィードバックに基づく改定に向けた体制構築を行った。
結論
現在の我が国の医療用人工知能分野では、戦略的な研究開発投資が行われていない。研究助成の選択と集中は研究の多様性を損ない、国際競争力を損なう逆説的な状況を生じている。国内の各研究チームは、個別に意思決定者への啓発を行うと共に研究協力者の訓練を行わざるを得ず、非効率な競争を強いられている。今後、研究班の活動を通じた問題提起と整備した成果物が医療用人工知能研究の多様化と効率化をもたらし、当該分野の国際競争力向上へと繋がることを願っている。
公開日・更新日
公開日
2019-11-15
更新日
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