文献情報
文献番号
201802007A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護連携を促進するための国際生活機能分類を用いた評価と情報共有の仕組みの構築
課題番号
H30-統計-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
向野 雅彦(藤田保健衛生大学 医学部 リハビリテーション医学I講座)
研究分担者(所属機関)
- 才藤栄一(藤田医科大学 医学部リハビリテーション医学I講座)
- 大夛賀政昭(国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部 主任研究官)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,300,000円
研究者交替、所属機関変更
藤田保健衛生大学は平成30年10月より藤田医科大学に改称となりました。
研究報告書(概要版)
研究目的
国際生活機能分類(ICF)は生活機能に関わる非常に多岐に渡る評価項目により構成され、生活機能に関わる領域を網羅的にカバーしている。ICFの概念そのものは臨床家に浸透しているが、項目分類は臨床でほとんど使用されていない。
我々はこれまでに、ICFの普及・推進を目指してICF評価セット日本版を作成し、さらに1) ICFの評点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの連携が可能な仕組みを作り、データベースの作成に取り組んできた。本研究ではさらに臨床で広く普及をさせていくため、医療・介護の連携においてこれを有効に利用できる仕組みの構築に取り組んだ。
我々はこれまでに、ICFの普及・推進を目指してICF評価セット日本版を作成し、さらに1) ICFの評点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの連携が可能な仕組みを作り、データベースの作成に取り組んできた。本研究ではさらに臨床で広く普及をさせていくため、医療・介護の連携においてこれを有効に利用できる仕組みの構築に取り組んだ。
研究方法
前年度までの研究事業において行われてきた評点ガイドの作成と検証のプロセスを引き継ぎ、ICFリハビリテーションセットの30項目を対象に採点用リファレンスガイドを作成した。また、検者間信頼性の検討を実施した。また、採点リファレンスを用いて、多施設におけるフィールドテストを実施した。フィールドテストには、急性期・回復期を合わせて6病院が参加した。このデータを用い、まず入院中も欠損値の少ない項目を検討し、その所見に基づいて入院患者用データセットを作成した。介護用データセットの作成にあたっては、介護場面において必ず行われる介護認定調査における機能項目、またICFをベースとした介護施設における評価システムであるR4の評価項目と30項目版のICF一般セットのオーバーラップがどの程度あるかを検討した。さらにこれらの項目の重複の情報をベースとして、30項目のICF一般セットのうち、介護場面で必須となる項目の設定を行った。これまでに作成してきた仕組みの普及促進のため、並行してデータベースの作成に取り組んだ。さらに、PCやスマートフォンよりアクセスできるe-ラーニングツールを作成した。
医療介護連携に用いる情報共有シートの作成のトライアルも行った。まず現在臨床で用いられている情報共有シートのレビューを行った。さらに、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、言語聴覚士、理学療法士、医療事務職員等で組織される臨床家委員会を組織し、情報共有シートの開発をおこなった。
医療介護連携に用いる情報共有シートの作成のトライアルも行った。まず現在臨床で用いられている情報共有シートのレビューを行った。さらに、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、言語聴覚士、理学療法士、医療事務職員等で組織される臨床家委員会を組織し、情報共有シートの開発をおこなった。
結果と考察
採点用リファレンスガイドは、決められたプロセスに基づき作成された。重み付けκ係数は22項目あるd項目(活動と参加の項目)で全ての項目が0.6以上、そのうち4項目で0.8以上と全般的に高い検者間信頼性が確認された。一方、b項目では9項目のうち0.6以上の項目が5項目、d152情動機能の項目で0.21と低い傾向が得られたため、リファレンスガイドの修正を行った。
フィールドテストでは、急性期および回復期でそれぞれ124名、180名の採点データを収集した。ここで入院患者から集めたデータのうち、データの欠損率が5%以下の項目は21項目であり、特に入院医療においては、患者の状態によって評価できる項目は限定されることが明らかとなった。この項目セットから入院患者用項目セットが作成された。介護保険調査票項目およびR4の項目とICFの項目との項目対応の検討を行い、介護用データセットが作成された。これらの検討の結果を用いて、ICFの使用を支援するアプリケーションの作成に取り組んだ。また、ガイドを参照することなく簡単に採点を行えるようトレーニングする目的でe-ラーニングツールを作成した。
情報共有シート作成にあたっては、急性期病院における入退院支援で用いられる各種情報共有シートの情報を収集し、ICFを用いて整理を行った。その結果、WHO-DASとICFコアセットの一般セットに共通する移動、セルフケア、コミュニケーションに関わる項目が入退院にまたがる継続的な支援に重要であることがわかった。また、急性期病院における医療・介護連携を促進するため情報共有シートの開発をおこなった。
フィールドテストでは、急性期および回復期でそれぞれ124名、180名の採点データを収集した。ここで入院患者から集めたデータのうち、データの欠損率が5%以下の項目は21項目であり、特に入院医療においては、患者の状態によって評価できる項目は限定されることが明らかとなった。この項目セットから入院患者用項目セットが作成された。介護保険調査票項目およびR4の項目とICFの項目との項目対応の検討を行い、介護用データセットが作成された。これらの検討の結果を用いて、ICFの使用を支援するアプリケーションの作成に取り組んだ。また、ガイドを参照することなく簡単に採点を行えるようトレーニングする目的でe-ラーニングツールを作成した。
情報共有シート作成にあたっては、急性期病院における入退院支援で用いられる各種情報共有シートの情報を収集し、ICFを用いて整理を行った。その結果、WHO-DASとICFコアセットの一般セットに共通する移動、セルフケア、コミュニケーションに関わる項目が入退院にまたがる継続的な支援に重要であることがわかった。また、急性期病院における医療・介護連携を促進するため情報共有シートの開発をおこなった。
結論
今年度は、ICF一般セット(30項目版)を対象とした採点用リファレンスガイドの完成とその検者間信頼性の検討、それを用いたフィールドテスト、入院、介護場面など異なるステージにおけるオプションの作成、データベースや教育システムの作成に取り組んだ。今後はさらにICFの臨床への普及およびその有用性を高める生活機能の評価の仕組み、情報共有の仕組みの構築に取り組む予定である。
公開日・更新日
公開日
2019-12-10
更新日
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