文献情報
文献番号
201802006A
報告書区分
総括
研究課題名
ICD-11β版フィールドテストにみられるコーディング上の問題点の分析
課題番号
H30-統計-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
末永 裕之(一般社団法人日本病院会)
研究分担者(所属機関)
- 阿南 誠(川崎医療福祉大学)
- 荒井 康夫(北里大学病院)
- 高橋 長裕(公益財団法人ちば県民保健予防財団)
- 中川原 譲二(一般財団法人脳神経疾患研究所)
- 塚本 哲(日本保健医療大学)
- 稲垣 時子(国立がん研究センター東病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,824,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国においては2017年7月にICD-Fitとよばれるwebを用いたコーディングツールによるICD-11β版フィールドテストについて厚生労働省等の要請を受け、日本病院会日本診療情報管理学会及び日本診療情報管理士会の会員に対し参加を募った。その結果、医師を含む診療情報管理士404人、すなわち医療現場でICDを用いてコーディングを行う実務者が翌8月に参画した。
本研究では、当時の当該テスト以外の内容について追跡調査を行い、エンドユーザーである診療情報管理士の視点から当該コーディング上の問題点を多角的に吸い上げ、改訂版の改善・向上に資する目的で研究を行った。
もう一点は、わが国の患者調査(疾病統計)のあり方について検討することを目的に、主要先進国を中心とした各疾病調査(疾病統計に係る調査)の現況について基礎資料をまとめる
本研究では、当時の当該テスト以外の内容について追跡調査を行い、エンドユーザーである診療情報管理士の視点から当該コーディング上の問題点を多角的に吸い上げ、改訂版の改善・向上に資する目的で研究を行った。
もう一点は、わが国の患者調査(疾病統計)のあり方について検討することを目的に、主要先進国を中心とした各疾病調査(疾病統計に係る調査)の現況について基礎資料をまとめる
研究方法
【ICD-11β版に係る研究計画・方法】
(趣旨・対象)2017年7月実施のICD-11β版フィールドテストに参画した日本病院会日本診療情報管理学会等の診療情報管理士全404人に対し、記名式・追跡調査を行い分析した。
(研究内容・手法)1)ICD-FiTにおける機能性、信頼性、使用性、効率性の機能面についての課題抽出。また、テストに使用したツール、とくにWHO提供、厚生労働省提供のICD-10および11に関するツールの評価と課題抽出。2)ICD-FiTにおけるダブルコーディング、コンテンツモデルやコーディングルールの内容面についての課題抽出。3)当該テストの完結者と未完結者を対象に、その因子を検証する。
【疾病統計に係る研究計画・方法】
(趣旨・対象)米国、欧州およびアジアの主要国を中心に各疾病調査の現況をまとめる。
(研究内容・手法)わが国の患者調査で使われている抽出項目の妥当性の検証として、主要国の現況を把握した。実施にあたりWHO-FIC等諸行事を活用し、各国相互に必要性を喚起・共有し情報収集した。
(趣旨・対象)2017年7月実施のICD-11β版フィールドテストに参画した日本病院会日本診療情報管理学会等の診療情報管理士全404人に対し、記名式・追跡調査を行い分析した。
(研究内容・手法)1)ICD-FiTにおける機能性、信頼性、使用性、効率性の機能面についての課題抽出。また、テストに使用したツール、とくにWHO提供、厚生労働省提供のICD-10および11に関するツールの評価と課題抽出。2)ICD-FiTにおけるダブルコーディング、コンテンツモデルやコーディングルールの内容面についての課題抽出。3)当該テストの完結者と未完結者を対象に、その因子を検証する。
【疾病統計に係る研究計画・方法】
(趣旨・対象)米国、欧州およびアジアの主要国を中心に各疾病調査の現況をまとめる。
(研究内容・手法)わが国の患者調査で使われている抽出項目の妥当性の検証として、主要国の現況を把握した。実施にあたりWHO-FIC等諸行事を活用し、各国相互に必要性を喚起・共有し情報収集した。
結果と考察
【ICD-11β版に係る研究】
今回の調査実施の結果、当時のフィールドテスト参画者404名中、237名(58.7%) の当該追跡調査への参画をみた。研究協力者は237名で、女性155人、男性82人、年齢は20歳代前半から70歳代後半まで、及び最頻値は40歳代前半の44名であった。診療情報管理士認定年は1974年から2017年まで44年の開きがあった。経験年数は1カ月以上から45年未満であり、最頻値は5年以上10年未満前半の67名であった。病院の診療情報管理業務に携わっている人が171 名(72%)であった。研究全体を通じ、日本語訳、日本特有の疾病構造、日本と異なる医療制度の対応について整備が求めれられると考察する。
【患者調査〈疾病統計〉の基礎資料に係る研究】
当該統計ついて、先進国10カ国を対象にした調査と開発途上国8カ国を対象にした2種の調査を行った。調査の結果、先進国7カ国、開発途上国8カ国から回答を得た。とくにオーストラリアにおける疾病統計に係る情報収集からデータベース化に至る円滑な体制が検討の価値があると察する。
今回の調査実施の結果、当時のフィールドテスト参画者404名中、237名(58.7%) の当該追跡調査への参画をみた。研究協力者は237名で、女性155人、男性82人、年齢は20歳代前半から70歳代後半まで、及び最頻値は40歳代前半の44名であった。診療情報管理士認定年は1974年から2017年まで44年の開きがあった。経験年数は1カ月以上から45年未満であり、最頻値は5年以上10年未満前半の67名であった。病院の診療情報管理業務に携わっている人が171 名(72%)であった。研究全体を通じ、日本語訳、日本特有の疾病構造、日本と異なる医療制度の対応について整備が求めれられると考察する。
【患者調査〈疾病統計〉の基礎資料に係る研究】
当該統計ついて、先進国10カ国を対象にした調査と開発途上国8カ国を対象にした2種の調査を行った。調査の結果、先進国7カ国、開発途上国8カ国から回答を得た。とくにオーストラリアにおける疾病統計に係る情報収集からデータベース化に至る円滑な体制が検討の価値があると察する。
結論
【ICD-11β版に係る研究】今回の調査研究により、ICD-11を導入するにあたってパソコン上でコーディングを行うための①技術面における技術的習熟及びサポート、②機能面における検索及びヘルプ機能の充実、③紙ベースでのマニュアルの作成が大切なこと、④複数分類及び追加コードに関する知識の普及と啓発、⑤学術的側面として日本の疾病構造との細かな整合―などが大切であることが本調査研究から判明した。
ICD-11の機能的な特徴として、複数の分類体系が横断し疾患の概念の一元的な管理が図られ、すなわちオントロジー、ファウンデーションとリニアライゼーションを融合させている点が挙げられる。このことを踏まえ、上記5課題も含め、ICD-10以上の本質的な構造や用語の理解が求められることは必至であり、更なる教育と啓発の必要性を裏付ける研究結果ともなった。
また、前述したように、医学の問題ではないが ICD-11 がオンラインで用いるものであるが故に、悪意のプログラムの感染により診療情報がネット上に容易に拡散してしまうことは絶対に避けなければならない。ICD-11 の導入前に、その対策について万全を期すことが極めて重要である。
【患者調査〈疾病統計〉の基礎資料に係る研究】今回の諸外国の患者調査の現状をみると、ほとんどの国は年に1回は調査を行い、中には毎日、毎月のレベルでデータを収集している国もみられた。
わが国においても、少なくとも年に1回、全ての医療機関で死因・疾病の調査を行うことが必要と考える。
ICD-11の機能的な特徴として、複数の分類体系が横断し疾患の概念の一元的な管理が図られ、すなわちオントロジー、ファウンデーションとリニアライゼーションを融合させている点が挙げられる。このことを踏まえ、上記5課題も含め、ICD-10以上の本質的な構造や用語の理解が求められることは必至であり、更なる教育と啓発の必要性を裏付ける研究結果ともなった。
また、前述したように、医学の問題ではないが ICD-11 がオンラインで用いるものであるが故に、悪意のプログラムの感染により診療情報がネット上に容易に拡散してしまうことは絶対に避けなければならない。ICD-11 の導入前に、その対策について万全を期すことが極めて重要である。
【患者調査〈疾病統計〉の基礎資料に係る研究】今回の諸外国の患者調査の現状をみると、ほとんどの国は年に1回は調査を行い、中には毎日、毎月のレベルでデータを収集している国もみられた。
わが国においても、少なくとも年に1回、全ての医療機関で死因・疾病の調査を行うことが必要と考える。
公開日・更新日
公開日
2019-12-10
更新日
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