国際生活機能分類の統計への活用に関する研究

文献情報

文献番号
201802004A
報告書区分
総括
研究課題名
国際生活機能分類の統計への活用に関する研究
課題番号
H29-統計-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 孝子(兵庫県立大学 経営研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原 譲二(一般財団法人脳神経疾患研究所 RIセンター)
  • 筒井 澄栄(創価大学・文学部)
  • 東野 定律(静岡県立大学 経営情報学部)
  • 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、第一に、日本の臨床現場で、すでに標準化され、実施されているアセスメントの評価に際して、これらをICFによる分類コードでの代替が可能であるかを検討する。第二として、日本の介護技術の評価制度として、新たに確立しつつある「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」において、介護技術を提供された利用者のアセスメント情報がICFで表現できるかを検討する。第三として、介護分野の「技能実習制度」において、日本の介護現場で働く外国人技能実習生が、技術を習得する際に障壁となる問題をICFで表現するとともに、これを数量化できるか検討することを目的とする。
研究方法
今年度研究では、①介護技能実習における介護技術習得過程をICFで評価するためのコアセット(案)を開発し、フィールド調査を得て、この妥当性の検証をおこなった。②昨年度実施した既存研究成果をもとに、統計におけるICFの活用可能性の検討を踏まえWHO-DAS2.0自己記入版の日本人サンプルにおける適用可能性について検討を行った。
結果と考察
①介護技能実習における介護技能をICFで評価するためのコアセットについては、介護分野の技能実習生用テキストを用いた専門家による技能の抽出、外国人介護職員(候補)3名と指導者2名へのインタビュー調査を経て、介護技能評価70項目、環境評価12項目から構成される調査票原案を開発した。プレ調査の実施によって、項目の縮減(82→38)し、文言を修正した。その後、介護技能実習制度の試験評価者講習修了者410名を対象に調査を実施し、30票が回収された(回収率7.3%)。この調査データの分析によって、評価項目のさらなる絞り込み、評価具体例の提示など採点の信頼性を上げる工夫の必要性が示唆された。
②WHO-DAS2.0自己記入版については、A県B市の障害手帳を保持しているものを対象として実施された1,056名のデータセットを用いて、日本サンプルにおけるWHO-DAS2.0 36項目自己記入版の妥当性を検証した。また、WHO-DAS2.0 12項目版をベースに、日本の高齢者・障害者などを想定した場合に欠損が出にくい日本版WHO-DAS10項目自己記入版を提案した。
結論
本研究の成果として、既存統計調査におけるICF活用として、WHO-DAS2.0自己記入版の妥当性を検証するとともに、既存統計調査へ挿入可能なWHO-DAS2.0 10項目版の開発を行った。また、外国人の介護技能実習制度における介護技術習得過程をICFで評価するためのコアセットを開発し、フィールドテストによって、その妥当性を検証した。
ICFを活用した評価票を開発したことはICFの活用を目指すWHOにおいても重要であり、国際的なインパクトは非常に高い。これを契機として、ICFを用いたOJTのツールがより普及されれば、介護領域におけるチームケアを推進する一助となるものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2019-12-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-12-10
更新日
2023-07-12

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201802004B
報告書区分
総合
研究課題名
国際生活機能分類の統計への活用に関する研究
課題番号
H29-統計-一般-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 孝子(兵庫県立大学 経営研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原譲二(一般財団法人脳神経疾患研究所 RIセンター)
  • 筒井 澄栄(創価大学 文学部)
  • 東野 定律(静岡県立大学 経営情報学部)
  • 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、第一に、日本の臨床現場で、すでに標準化され、実施されているアセスメントの評価に際して、これらをICFによる分類コードでの代替が可能であるかを検討した。第二として、日本の介護技術の評価制度として、新たに確立しつつある「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」において、介護技術を提供された利用者のアセスメント情報がICFで表現できるかを検討し、介護分野の「技能実習制度」において、日本の介護現場で働く外国人技能実習生が、技術を習得する際に障壁となる問題をICFで表現するとともに、これを数量化できるか検討することを目的とした。
研究方法
平成29年度は、①既存研究成果をもとに、統計法の規定に基づく基幹統計におけるICFの活用可能性を検討、②既存アセスメントツールをICFのフレームワークの観点からの整理、③介護キャリア段位のテキストデータ分析による介護内容のICFでの表現可能性の検討、④介護技能実習における介護技術習得過程をICFで評価するためのコアセット(案)の開発をおこなった。平成30年度は、⑤介護技能実習における介護技術習得過程をICFで評価するためのコアセット(案)を開発し、フィールド調査を得て、この妥当性の検証をおこなった。⑥昨年度実施した既存研究成果をもとに、統計におけるICFの活用可能性の検討を踏まえWHO-DAS2.0自己記入版の適用可能性について検討を行った。
結果と考察
平成29年度:統計調査や医療・リハビリテーション分野における既存アセスメントツールをICFのフレームワークの観点から整理を行い、ICFとの対応関係についてまとめた。また、介護技能評価の記録のテキスト分析を実施し、ICFの評価を説明する重要な「介護の内容」を抽出した。これらの成果を踏まえ、介護技能実習における技術習得過程をICFで評価するためのコアセット(案)を開発した。
平成30年度:介護技能実習における介護技能をICFで評価するためのコアセットについては、まず調査票原案を開発した。プレ調査の実施によって、項目の縮減し、文言を修正した。その後、介護技能実習制度の試験評価者講習修了者410名を対象に調査を実施し、30票が回収された(回収率7.3%)。この調査データの分析によって、評価項目のさらなる絞り込み、評価具体例の提示など採点の信頼性を上げる工夫の必要性が示唆された。
②WHO-DAS2.0自己記入版については、A県B市の障害手帳を保持しているものを対象として実施された1,056名のデータセットを用いて、日本サンプルにおけるWHO-DAS2.0 36項目自己記入版の妥当性を検証した。また、WHO-DAS2.0 12項目版をベースに、日本の高齢者・障害者などを想定した場合に欠損が出にくい日本版WHO-DAS10項目自己記入版を提案した。
結論
本研究の成果として、既存統計調査におけるICF活用として、WHO-DAS2.0自己記入版の妥当性を検証し、既存統計調査へ挿入可能なWHO-DAS2.0 10項目版を開発した。また、外国人介護技能実習制度における介護技術習得過程をICFで評価するコアセットを開発し、フィールドテストによって妥当性を検証した。これらの成果は、ICFの活用を目指すWHOにおいても重要であり、国際的なインパクトは非常に高いものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2019-12-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

総合研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2019-12-10
更新日
2023-07-12

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201802004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ICF項目を用いた研究は、これまで多くの国で実施されているが社会実装されている国は少ない。本研究において、介護分野における活用および社会統計に活用できるWHO-DAS2.0の簡易版評価票を開発した。これらの成果は、いずれも新規性が高いものであり、学術的にも意義があるものと考えられた。
臨床的観点からの成果
外国人の介護技能実習制度における介護技術習得過程をICFで評価するためのコアセットを開発した。このツールは介護領域のOJTやチームケアを推進する一助となるものと考えられた。2020年の介護キャリア段位制度の講習会でも活用がなされた。
WHO-DAS2.0については、ICD-11のVチャプターにも導入されたことからも、定量化できるICF評価ツールとして統計にもさらなる活用が期待されるため、本研究で簡易な評価票を開発したことは社会的意義が大きいものと考えられた。
ガイドライン等の開発
社会保障審議会 (統計分科会生活機能分類専門委員会)で、本研究の成果を発表し、国際生活機能分類(ICF)の普及のひとつの取り組みとして参考にされた。
その他行政的観点からの成果
本研究で開発した介護技術実習における技能習得過程をICFで評価するためのコアセットは、外国人の介護技能実習制度におけるOJTのための定量的な技術評価としての活用が期待でき、介護人材養成においてもICFの国際的普及においてもインパクトがとても大きいものと考えられた。
その他のインパクト
WHO-FIC Annual Meeting 2018/2019、日・WHOフォーラム2018、第7・8回 厚生労働省ICFシンポジウムなど国内外のICFに関連するフォーラム等で本研究の成果を発表し、ICFの普及啓発に貢献した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件
WHO-FIC Annual Meeting 2018/2019,日・WHOフォーラム2018,第7・8回 厚生労働省ICFシンポジウム

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
大夛賀政昭
国際生活機能分類(ICF)をめぐる状況と活用にむけた展望
保健医療科学 , 67 (5) , 480-490  (2018)

公開日・更新日

公開日
2019-12-10
更新日
2023-06-02

収支報告書

文献番号
201802004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,480,000円
(2)補助金確定額
2,480,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 533,750円
人件費・謝金 555,114円
旅費 912,706円
その他 158,430円
間接経費 320,000円
合計 2,480,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-12-27
更新日
-