既存の公的統計を利用した厚生労働統計分野における国際統計報告の可能性の探索に関する研究

文献情報

文献番号
201802002A
報告書区分
総括
研究課題名
既存の公的統計を利用した厚生労働統計分野における国際統計報告の可能性の探索に関する研究
課題番号
H29-統計-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
満武 巨裕(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山岡 淳(神戸大学 経済学部)
  • 田中 滋(慶応義塾大学)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院)
  • 酒井 未知(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部 )
  • 石川 智基(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,910,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
OECD、WHO、国連等の国際機関は、医療・介護分野の政策立案に資する国際統計報告として様々なHQ(ヘルスインディケータ:保健医療指標)の迅速な提供を各国に求めている。しかし、日本が国際機関に提出している厚生労働統計分野の項目数は少ない。OECDが提出を求めている136項目のヘルスインディケータのうち、2015年に日本は51項目を提出したが加盟国の中では最下位であり(加盟国平均提出件数93項目)、データ提出状況を改善する必要がある。
本研究では、日本から国際機関に対して報告していない国際統計項目を調査・把握し、既存の公的統計を活用した新しい国際統計報告と対応できない項目について検討する。昨年度は、保健医療活動の中の手術および画像診断機器(CT、MRI、PET)についても試算した。画像診断機器の情報は、OECDへ提出する成果も得た。本年度は、診断分類別平均在院日数について試算した。
研究方法
本研究では、厚生労働省保険局保険システム高度化推進室と協議し「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」に利用申請を行い、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)も利用する。
本年度は、保健医療活動の中の診断分類別平均在院日数について試算した。分類は、OECDが推奨しているInternational shortlist for hospital morbidity tabulation (ISHMT)の128項目である。
診断分類別の在院日数を推計するにあたり、医科レセプトの診療行為情報(SI)を活用して、退院日基準で集計した。退院日が04/01~翌年03/31(1年間)の入院情報が対象である。入院日数の上限値を1000日とした。また、退院日が不明な入院情報は集計対象外とした。病名は、レセプトのうち入院期間を含む月のレセプトで主病名決定フラグのついている病名を採用した。DPCレセプトに関しては、入院日情報が記載されている欄(BU)から作成した入院情報を活用し、退院日基準で集計した。診断分類は、DPCレセプトのうち、入院期間を含む月のレセプトでSBの傷病名区分コードが11(主傷病名)の病名、入院期間を含む月のレセプトでSYの主傷病フラグのついている病名とした。
結果と考察
結果、日本で算出できた疾病別平均在院日数の種類は126種類であった。諸外国と比較し、日本の平均在院日数が最長であった診断分類は92種類であった。
日本はこれまで、患者調査(厚生労働省)でも診断分類別の平均在院日数の算出は可能であった。しかし、OECDの求める平均在院日数は、「退院までに係る日数」であり現在入院中の患者を含めて算出した患者調査の平均在院日数とは異なっていた。患者調査は、3年に一度の抽出調査(1ヶ月分のデータ)によるため、国際比較に耐えられる精度ではない。また、病院報告による平均在院日数(全体)を提供しており、1ヶ国で複数の定義による数値を提供すること望ましくないという我が国の状況を勘案する必要がある。つまり、今回する刑した診断分類別平均在院日数から、診断分類を加味しないで算出した平均在院日数と病院報告による平均在院日数との差異である。これは、データソースや対象年月日が異なる為に、一致することは難しい。
結論
今回、OECDが提出を求めている、保健医療活動の診断分類別平均在院日数について試算した。外国と比較し、日本の平均在院日数が最長であった診断分類は92種類であった。日本が国際機関に提出している厚生労働統計分野の項目数は少なく、提出件数を増やすことが望ましい。近年、政府機関も文字通りビッグデータと呼ばれる膨大な量の情報を保有するようになり、厚生労働省が2009年から収集を開始した全日本国民の医療保険データを格納するNDBは、ヘルスケア分野における最大規模のデータベースである。今後は、NDBを活用した国際統計報告の作成と提出も検討すべきである。

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201802002B
報告書区分
総合
研究課題名
既存の公的統計を利用した厚生労働統計分野における国際統計報告の可能性の探索に関する研究
課題番号
H29-統計-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
満武 巨裕(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山岡 淳(神戸大学 経済学部)
  • 田中 滋(慶応義塾大学)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院)
  • 酒井 未知(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部 )
  • 石川 智基(一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は日本の保健医療指標の提出数の増加を目的として、未報告の保健医療指標を調査し、既存の公的統計やレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用して推計を行う。
OECD、WHO、国連等の国際機関は、医療及び介護分野における政策立案に資する国際統計報告として様々な保健医療指標の迅速な提供を各国に求めている。各国から提供された国際統計報告は、例えばOECDのOECD.statから一般公開されているが、日本が国際機関に提出している厚生労働統計分野の項目数は少なく、提出件数を増やすことが望ましい。
研究方法
OECDへ提出している最新のデータ提出年である2017年においては、106項目中51であった。未提出項目の中には既存の公的統計やレセプト情報・特定健診等情報データベースを活用することで作成の可能性があることから、初年度は保健医療活動の中の手術22種類の中から20種類を対象として施行件数に関するデータ、画像診断機器のCT、MRI、PETについても試算する。次年度は、診断分類別平均在院日数について試算した。分類は、OECDが推奨しているInternational shortlist for hospital morbidity tabulation (ISHMT)の128項目である。
結果と考察
結果、対10万人あたりの施行件数の国際比較を行ったところ、我が国は高齢化の影響による白内障手術が高位であったが、大半の手術件数は中位および低位の傾向である。画像診断機器(CT、MRI、PET)の対10万人当たりの施行件数は高く、医療サービスとしては充実していることが伺えた。日本で算出できた疾病別平均在院日数の種類は126種類であった。諸外国と比較し、日本の平均在院日数が最長であった診断分類は92種類であった。
課題として、医療保険請求上の問題から、短期滞在手術等基本料に含まれる手術についてNDBでは把握ができず、過小推計となる等を指摘した。日本が国際機関に提出している厚生労働統計分野の項目数は少なく、提出件数を増やすことが望ましい。近年、政府機関も文字通りビッグデータと呼ばれる膨大な量の情報を保有するようになり、厚生労働省が2009年から収集を開始した全日本国民の医療保険データを格納するNDBは、ヘルスケア分野における最大規模のデータベースである。今後は、NDBを活用した国際統計報告の作成と提出も検討すべきである。
結論
NDBを利用することで、OECDへ未提出であった保健医療指標の手術、画像検査、診断分類別平均在院日数の算出の成果を得た。対10万人あたりの施行件数の国際比較を行ったところ、我が国は高齢化の影響による白内障手術が高位であったが、大半の手術件数は中位および低位の傾向である。画像診断機器(CT、MRI、PET)の対10万人当たりの施行件数は高く、医療サービスとしては充実していることが伺えた。外国と比較し、日本の平均在院日数が最長であった診断分類は128種類中92種類であった。課題として、医療保険請求上の問題から、短期滞在手術等基本料に含まれる手術についてNDBでは把握ができず、過小推計となる等を指摘した。
近年、政府機関も文字通りビッグデータと呼ばれる膨大な量の情報を保有するようになり、厚生労働省が2009年から収集を開始した全日本国民の医療保険データを格納するNDBは、ヘルスケア分野における最大規模のデータベースである。今後は、NDBを活用した国際統計報告の作成と提出も検討すべきである。

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201802002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本が未提出の国際統計項目を調査・把握し、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)等を活用した新たな保健医療活動の統計報告(疾病別平均在院日数、手術件数等)を作成し、国際機関に提出した。
臨床的観点からの成果
特に無し
ガイドライン等の開発
特に無し
その他行政的観点からの成果
OECD、WHO、国連等の国際機関は、保健医療分野における政策立案に資する国際統計報告として様々な保健医療指標の迅速な提供を各国に求めている。2015年に日本がOECDに提出した保健医療指標は35加盟国の中で最下位のため、提出件数の増加が望まれていたところ、新たな保健医療活動の統計報告(手術件数、画像診断試行件数、疾病別平均在院日数等)を作成し、国際機関に提出した。
その他のインパクト
特に無し

発表件数

原著論文(和文)
1件
医療情報学
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
・第38回医療情報学連合大会(第19回日本医療情報学会学術大会) ・第23回医療情報学会(春季学術大会)2018.06.7
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
満武巨裕、石川智基、佐藤淳平、他
レセプト情報等データベースの利活用により作成した国際統計報告に関する検討
医療情報学 , 40 (1)  (2020)

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201802002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,910,000円
(2)補助金確定額
1,910,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 42,150円
人件費・謝金 0円
旅費 828,291円
その他 1,043,774円
間接経費 0円
合計 1,914,215円

備考

備考
差額4,215円は自己資金

公開日・更新日

公開日
2020-02-20
更新日
-