文献情報
文献番号
201801020A
報告書区分
総括
研究課題名
保健医療福祉資格に共通して求められるコンピテンシーの検証と教育カリキュラムの構築に関する研究
課題番号
H30-政策-指定-009
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 聰子(慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大西 弘高(東京大学医学系研究科附属医学教育国際研究センター)
- 川越 雅弘(埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科)
- 森川 美絵(津田塾大学総合政策学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
27,857,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月閣議決定)等において掲げられた、保健医療福祉の専門資格に共通の基礎課程創設の検討の本格化に向け、これまでの関連研究の成果を踏まえ、我が国において対人支援を行う専門職に共通して求められる能力(コンピテンシー)とその能力を有する専門職を養成するための教育の在り方に関して具体的な提案を行うことを目的とする。
研究方法
国際的な支援観のパラダイムを整理し、今日及び近い将来において共通基礎課程が前提するべき支援観とはどのようなものかを明らかにすることを目的として、国際機関(WHO等)が打ち出した支援の方針・原則・支援の理論モデル及び、国際的に認知されたりインパクトを及ぼした主要なケア・支援の考え方やモデルについて、その時期及び概要を整理することにより、コンピテンシー試案の理論的補強を行うとともに、コンピテンシー基盤型教育への移行とその課題について、国際的な議論及び国内の教育機関の捉え方を調査した。
平成29年度から検討してきた対人支援職種に共通して求められるコンピテンシー試案について、福島・埼玉・富山・徳島の4地域における対人支援専門職養成に関わる合計32課程の協力を得て、全シラバスを収集し、現行課程とコンピテンシー試案の紐づけを行いつつ、修得可能性を検証した。
これらの検討をつうじて得られた分析結果と関係者からのフィードバック、平成28年度以降コンピテンシー試案の作成・更新に携わる関係者からの意見を踏まえ、コンピテンシー試案の検証と精緻化を行うとともに、コンピテンシー試案にかかる意見交換、これを各地域の現状と将来展望を共有したうえで継続的に見直し・発展させる基盤としてのワークショップの展開に向けたツールの企画設計に取り組んだ。
さらに、英国及びオランダを中心に諸外国における対人支援職種の教育にかかわる動向について情報収集を行い、現行課程で賄われないコンピテンシーについての教育のあり方の基礎的な検討材料とした。
平成29年度から検討してきた対人支援職種に共通して求められるコンピテンシー試案について、福島・埼玉・富山・徳島の4地域における対人支援専門職養成に関わる合計32課程の協力を得て、全シラバスを収集し、現行課程とコンピテンシー試案の紐づけを行いつつ、修得可能性を検証した。
これらの検討をつうじて得られた分析結果と関係者からのフィードバック、平成28年度以降コンピテンシー試案の作成・更新に携わる関係者からの意見を踏まえ、コンピテンシー試案の検証と精緻化を行うとともに、コンピテンシー試案にかかる意見交換、これを各地域の現状と将来展望を共有したうえで継続的に見直し・発展させる基盤としてのワークショップの展開に向けたツールの企画設計に取り組んだ。
さらに、英国及びオランダを中心に諸外国における対人支援職種の教育にかかわる動向について情報収集を行い、現行課程で賄われないコンピテンシーについての教育のあり方の基礎的な検討材料とした。
結果と考察
ヘルスケア(保健医療)分野、ソーシャルケア(福祉介護)分野の支援観に関わる概念の変遷や動向を項目として整理し、おおよその時系列でマッピングすることで、今日の支援観を、歴史的及び保健医療福祉の分野横断的な支援観の動きの中に位置付けることができる。それによれば、今日及びこれからの支援観には、これまでの支援観の流れを引き継ぐ要素として、「健康の社会的決定要因およびマクロ構造への介入、多様性を尊重する包摂的社会・文化、多分野連携、当事者のエンパワメントと参加、地域の自立・自己決定、社会的結束を媒介した、心身の健康及び社会生活・日常生活のウェルビーイングの達成」といった内容が含まれている。
コンピテシー基盤型教育として展開する共通基礎課程の具体的導入に関して、国際的学術的議論から演繹的に12の課題を、日本の資格教育という具体的な背景から帰納的に16の課題を導き出した。国際的議論から導かれた12の課題のうち、日本のヒアリングで、関連する内容に言及がなされたのは6課題にとどまった。また、ヒアリングから抽出された16の課題のうち、国際的議論から導かれた課題とは関連しないが、今後のさらなる検討が必要なものが10個も存在した。今後は、こうした課題の全体像を元に、自国の政策制度的文脈の中で、これらの課題への具体的な対応策を模索する必要がある。
共通基礎課程のコンピテンシーモデルに対し、シラバスからみると、8割弱のコンピテンシーは現行の課程でも修得可能という結果となった。コンピテンシー基盤型教育として推進するためには、コンピテンシーのさらなる洗練、各コンピテンシーに対するマイルストーンの文章化、評価手法や評価基準の設定等が求められ、次年度以降の課題となる。
コンピテシー基盤型教育として展開する共通基礎課程の具体的導入に関して、国際的学術的議論から演繹的に12の課題を、日本の資格教育という具体的な背景から帰納的に16の課題を導き出した。国際的議論から導かれた12の課題のうち、日本のヒアリングで、関連する内容に言及がなされたのは6課題にとどまった。また、ヒアリングから抽出された16の課題のうち、国際的議論から導かれた課題とは関連しないが、今後のさらなる検討が必要なものが10個も存在した。今後は、こうした課題の全体像を元に、自国の政策制度的文脈の中で、これらの課題への具体的な対応策を模索する必要がある。
共通基礎課程のコンピテンシーモデルに対し、シラバスからみると、8割弱のコンピテンシーは現行の課程でも修得可能という結果となった。コンピテンシー基盤型教育として推進するためには、コンピテンシーのさらなる洗練、各コンピテンシーに対するマイルストーンの文章化、評価手法や評価基準の設定等が求められ、次年度以降の課題となる。
結論
今後、厚生労働省において、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月閣議決定)や「地域共生社会の実現に向けて(当面の改革工程)」(平成29年2月厚生労働省「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部決定)に掲げられた共通基礎課程の創設に向けた検討を行うに当たり、制度設計のたたき台として提供する。
公開日・更新日
公開日
2023-09-01
更新日
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