診断群分類を用いた急性期等の入院医療の評価とデータベース利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201801015A
報告書区分
総括
研究課題名
診断群分類を用いた急性期等の入院医療の評価とデータベース利活用に関する研究
課題番号
H30-政策-指定-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 石川ベンジャミン光一(国際医療福祉大学 大学院医学研究科)
  • 今中 雄一(京都大学 大学院医学研究科)
  • 阿南 誠(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部)
  • 康永 秀生(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 藤森 研司(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部公衆衛生学)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部公衆衛生学)
  • 堀口 裕正(国立病院機構本部 総合研究センター診療情報分析部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
36,694,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的

DPCデータ提出病院は3300を超え、入院医療の評価への有用性が期待され、急性期のみならず回復期や慢性期を含む入院医療全体の評価への活用も求められる。そこで本研究の目的を以下の3つとした。
① 適切な診断群分類作成のための研究
② DPCデータの第三者提供に関する研究
③ DPCデータを活用した入院医療の評価に関する研究
研究方法
厚生労働省DPC調査データを医療機関と個別に守秘義務契約を結んだ上で収集し、分析資料とした。①適切な診断群分類作成のための研究では、使用可能なデータや新しい定義テーブル等を用いて症例数の多い分類等から優先的に、現在のコーディングや定義テーブルの問題を抽出し、使用可能なデータを用いて臨床分野の専門的知識を統合しながら検討を行った。②DPCデータの第三者提供に関する研究では、有識者会議において指摘される課題や個別の申請の課題について、専門的、技術的立場から対応方法などを検討した。③DPCデータを活用した入院医療の評価に関する研究では、DPCデータを用いた臨床疫学的研究や入院データ、外来データを用いた入院医療の評価を行った。また、質評価指標(QI)等の医療の質に関する国内外の状況を整理し、DPCデータによって評価可能な内容について提案を行った。回復期、慢性期の分野において現行のDPCデータで評価可能な入院医療の質、具体的には医療資源投入量の差異やデータ入力内容の質、医療内容についての評価を行った。
上記分析、検討について、平成29年度までの研究と同様に引き続き、保険局医療課と定期的に1か月に1回程度の合同班会議を開催し、時期に応じた課題について意見交換・議論を行うと共に、進捗状況を確認しながら、研究を進めた。
結果と考察
昨年度までの研究に引き続き、パブリック・クラウドサービスを利用して研究班ホームページを作成し、1332病院から4年間で延べ3229万人の暗号化したDPC調査データファイルを安全かつ効率的にデータベース化して研究を進めた。
① 適切な診断群分類作成のための研究
ICD10(2013年度版)のコーディングの検証とDPC/PDPSコーディングテキストのアップデートについては、平成30年度の診療報酬改定において傷病名の定義がICD-10(2003年版)からICD-10(2013年版)へと切り替えられたことへの対応等を行った。病院情報の公開の課題に関する検討では、「医療の質の評価・公表等推進事業」で提案された共通指標セットの定義に則って指標を作成し、平成28年度データによる集計と比較を行い、また論点について整理を行った。
②DPCデータの第三者提供に関する研究
提供されるデータが集計データであることを鑑みて、過剰なデータ保護の要求はデータ利用申請の大きな障害となり得ることを示し、必要最小限度の利用要件を課す方向性を示した。これらの検討結果が公表されたガイドライン等に反映された。
また、DPC制度の適正運用とDPC データ活用促進のためのセミナーを病院関係者および地方行政担当者向けに計9回のセミナー実施し、述べ700人程度の受講者があった。研究班の研究成果の報告に関する講義とパソコン用いた実習形式の演習を行った。DPCデータ分析の普及、啓発のために、詳細な薬効分類等を含むレセプト電算コードマスター、手術コードマスター等の分析用マスターを整備し、配布した。
③ DPCデータを活用した入院医療の評価に関する研究
重症度、医療・看護必要度の現状および評価法に関する研究として、看護必要度の現状を把握するとともに、2018年度診療報酬改定により2種類となった評価方法について、両者の評価状況の比較を行った。
結論
本研究は、DPC診断群分類の今後の維持・整備手法を明らかとし、平成32年度以降の改定手法の基盤を提供するとともに、DPC包括評価の妥当性の確保につながる分析と考えられた。本研究の成果は、DPC制度の基盤となるコーディングデータの正確性の確保、DPC分類の精緻化の継続的な推進手法の確立、機能評価係数などのDPC包括評価の基本的な考え方を示すものといえる。また、DPCデータを用いた医療の質評価手法を開発するとともに臨床疫学研究の手法も示し、我が国の医療の質の向上、臨床疫学の発展に寄与することが期待された。
 また、DPCデータの第三者提供とDPCデータの利活用の促進に関しては、個人情報保護等の観点からのセキュアなデータのあり方の基本的な考え方を示すと共に、それらの制約条件の下での様々な形でのDPCデータの利活用手法を開発し、臨床指標等の医療の質の開発手法や、臨床疫学研究への多様な応用手法を明らかとした。

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201801015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,574,000円
(2)補助金確定額
40,574,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,327,142円
人件費・謝金 3,187,921円
旅費 7,529,413円
その他 22,649,781円
間接経費 3,880,000円
合計 40,574,257円

備考

備考
消耗品がやや多く必要であったため、自己資金を追加で使用したため

公開日・更新日

公開日
2020-10-19
更新日
-