外国人患者の受入環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
201801013A
報告書区分
総括
研究課題名
外国人患者の受入環境整備に関する研究
課題番号
H30-政策-指定-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
北川 雄光(慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器外科))
研究分担者(所属機関)
  • 八木 洋(慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器))
  • 佐野 武(公益財団法人がん研究会有明病院 院長)
  • 熊谷 厚志(公益財団法人がん研究会有明病院 胃外科 副医長)
  • 岡村 世里奈(国際医療福祉大 学大学院 准教授)
  • 柴沼 晃(東京大学大学院医学系研究科 国際地域保健学教室 助教)
  • 田倉 智之(東京大学大学院医学系研究科 特任教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
12,761,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在留外国人・訪日外国人観光客の急増を背景とし、政府は2015年「健康・医療戦略」において「在留外国人等が安心して日本の医療サービスを受けられる環境の整備」を掲げ、「日本再興戦略2016」に基づき、「外国人患者受入れ体制が整備された医療機関」を2020年までに100箇所整備する事を目標に整備を進めてきた。最近では「未来投資戦略2017」において外国人患者の受入れ環境の更なる充実を目指している。しかし受入れ体制の裾野拡大を図っていく為には、受入れ体制整備の為の情報や社会資源が乏しい地域の医療機関への支援や、それぞれの地域の実情に応じた課題へ対処していく必要があることが明らかとなっており、本研究では以下の4つの研究により、これらの諸課題への解決策や今後の施策の方向性を決める根拠や基礎資料を得ることを目的とする。
研究方法
(1)医療機関における外国人患者受入れ体制整備に関する研究:医療機関における外国人患者受入れに関する既存の研究成果や調査等を収集・分析、マニュアルの枠組み案を設定する。それらの項目に関し3~5都道府県、10医療機関、3名~5名程度の専門家を対象に聞き取り調査も行う。これらと(2-4)の成果も踏まえた上で、厚生労働省と調整・検討を行い、マニュアルを完成させる。(2)都道府県における外国人患者受入れ体制整備に関する研究:厚生労働省が平成30年度より施行する「地域における外国人患者受入体制のモデル構築事業」から行政や医療・消防・観光・多文化共生等の多分野の関係団体による外国人患者受入れ体制の実態や課題、ニーズ等の地域固有の実情や先進事例を把握する。本研究では、自治体固有の実情を把握し体制整備を行う為の提言を行う。(3)インバウンド事業推進のための基礎的研究:文献調査や(1)、(2)の検討等から、聞き取り調査を行うべき項目を明確にし、聞き取り調査を行って結果を分析し、我が国において外国人患者の受入れ体制の整備ならびにインバウンド推進事業への示唆を得る。(4)訪日外国人に対する適切な診療価格に関する研究:訪日外国人に対する診療の価格設定に関わる理論・手法の検討を行いつつ、医療費の国際比較の調査(関連機関の実績や文献のレビュー;5団体・20編程度)と原価計算に基づく適切な診療費の設定方法を整理し、訪日外国人への医療費の設定例を含むマニュアルを作成する。
結果と考察
(1)医療機関における外国人患者受入れ体制整備に関する研究:既存の関連研究・調査・マニュアルの収集・分析を行った。これらで明らかになった項目に関し、都道府県、医療機関(外国人患者受入れ実績が多く先駆的な取り組みを行っている医療機関と、様々な制約条件のために取組が行えない医療機関)等への聞き取り調査を行った。随時厚生労働省と協議を行いガイドライン案を作成した。平成30年度の年次計画通り研究は進行し、医療機関における外国人患者受入れに関する既存の研究成果や調査等を収集・分析し、マニュアルの枠組み案を設定し検討会で検討された。(2)都道府県における外国人患者受入れ体制整備に関する研究:平成30年度より厚生労働省が開始した「地域における外国人患者受入体制のモデル構築事業」にて、行政や医療・消防・観光・多文化共生等の多分野の関係団体で構成される会議体を設置、外国人患者受入れ体制の実態や課題、ニーズ等の地域固有の実情や先進事例を把握されてきた。研究班ではこの事業からそれぞれの都道府県の取り組みと実態等を分析することで、都道府県における外国人患者受入れ体制整備に関するマニュアルの枠組み案を設定した。(3)インバウンド事業推進のための基礎的研究 :平成30年度はインバウンド事業を推進のため文献調査や(1)、(2)の検討等から、海外の外国人患者受入れ先進国の動向に関する聞き取り調査の項目を明確にし実際にイギリスの医療機関等でインタビューを実施し基礎的データを収集した。(4)訪日外国人に対する適切な診療価格に関する研究:平成30年度は、外国人の診療が通常の患者を診療するのに比べ多大な費用がかかる点に着目し、外国人の診療価格を適切に設定するため、価格設定に関わる理論・手法の検討を行いそれらを算定マニュアル案として整備を行った。また国内医療機関から実際のコストデータを収集し、外国人の診療費用の原価計算を試行した。また海外の医療費水準のサーベイを実施し上記の価格検討の基礎資料とした。
結論
事業初年度の目標であるマニュアルの素案作成を完了し公開することができた。今後実際に各医療機関での使用後の意見を広く聴取し修正・改定を重ねてより完成度を高め、全国の医療期間が外国人患者受け入れ対応をスムーズに実施できるための基盤的情報を網羅的に集約できるよう務める。

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201801013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,892,000円
(2)補助金確定額
10,892,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 635,742円
人件費・謝金 3,549,192円
旅費 4,038,772円
その他 505,637円
間接経費 2,166,000円
合計 10,895,343円

備考

備考
作成したマニュアルの清書のための印刷会社への外注費が、3,343円最終的に予算超過したため、教室の自己資金によって充填した。

公開日・更新日

公開日
2022-05-31
更新日
-