民泊サービスにおける衛生管理等に関する研究

文献情報

文献番号
201726015A
報告書区分
総括
研究課題名
民泊サービスにおける衛生管理等に関する研究
課題番号
H29-健危-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀田 祐三子(和歌山大学 観光学部)
  • 松村 嘉久(阪南大学 国際観光学部)
  • 本間 義規(宮城学院女子大学 生活科学部)
  • 山田 裕巳(長崎総合科学大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
民泊は住宅を活用した宿泊サービスであり、その適正な管理や安全面・衛生面の確保において、既存の旅館業とは違いがあることが想定される。本研究は、住宅宿泊事業法施行前後の民泊の衛生管理の実態や保健衛生部局の取組みに関する情報を収集・整理することにより、民泊の衛生管理等項目や具体的手法を考案し、保健所その他関係機関における衛生管理体制の構築や民間への事業委託の活用を検討するための資料を提供することを目的とする。
研究方法
住宅宿泊事業法施行前の簡易宿所や特区民泊の動向について、以下の方法により研究を行う。
1)特区民泊の取組みを行っている大阪市の代表的な商業地域と住宅地域から街区を選定し、当該街区における全民泊の物件情報を民泊登録サイトから収集しデータベース化を進め、現地踏査から民泊の分布や建物の特徴を調べ建物の特性を整理する。
2)主要都市の民泊施設の室内環境の実態調査(建物の構造・設備、温湿度、CO2濃度、ダニアレルゲン、表面真菌、汚染度、トコジラミなど)を実施する。比較のために一般的なビジネスホテルの室内環境測定も行う。
3)民泊の衛生管理や運営・管理者の意識等の実態について、運営・管理者を対象とした無記名式の質問紙調査を実施し、実態を把握する。簡易宿所の登録物件数が多い京都市と民泊特区である大阪市、大田区を対象地域とする。
4)主要な自治体の民泊の衛生管理措置や保健衛生当局の取組み状況について、保健所等を対象にインタビュー調査を行う。
5)民泊物件が多い海外都市の民泊の状況とその対策を文献調査や関係者等へのインタビュー調査から整理する。
結果と考察
民泊物件の分布と建物特性に関する調査では、住宅宿泊事業法施行前の時点では許可を得ず適法性に欠けるものが多く、場所の特定は半分程度しかできなかった。立地密度に濃淡があり、指導・管理を行う上での困難性が示唆された。
室内環境の実測調査では、換気システムの確保や運用の不適切性など建物由来の問題や、清掃・管理不足による蒸しや汚染など清掃由来の問題があることが確認できた。
民泊事業者へのアンケート調査からは、民泊の住所地や種類(特区民泊か簡易宿所か)によって清掃や衛生対策の対応に違いがあることや、感染症対策に対する事業者の意識が相対的に低いことが確認できた。また事業規模が小さいことによる維持管理の難しさが想像される。
東京都大田区と京都市の衛生部局の取組みについては、独自ルールの設定により地域住民の安心・安全を優先していることが衛生管理面については国のガイドラインの枠を超えるものは見られない。
民泊物件が多いパリでは、従前から短期貸し制度があるなど日本とは制度が異なるが、急増する民泊に対して監査の強化や電子登録制度が導入されていた。民泊の課題は主に賃貸住宅市場への影響や市街地での人口減少、住民税や宿泊税の徴収などとして認識されており、治安や衛生ついては、関心や価値観が日本とは異なるため、現在のところは大きな問題として認識されていない。住宅の格付け制度があり、民泊登録の基準には適用されていないが、衛生管理において影響は少なくないと思われる。
結論
本研究では、民泊サービスの衛生管理等に関する研究の初年度として、実態把握に重点を置き、以下のような知見を得た。
民泊物件の分布と建物特性に関する調査では、住宅宿泊事業法施行前の時点では許可を得ず適法性に欠けるものが多く場所の特定は半分程度しかできない状況で、立地密度に濃淡があり、指導・管理を行う上での困難性が示唆された。
次に室内環境の実測調査から、換気システムの確保や運用の不適切性など建物由来の問題や、清掃・管理不足による蒸しや汚染など清掃由来の問題があることが確認できた。
民泊事業者へのアンケート調査からは、民泊の住所地や種類(特区民泊か簡易宿所か)によって清掃や衛生対策の対応に違いがあることや、感染症対策に対する事業者の意識が相対的に低いことが確認できた。また事業規模が小さいことによる維持管理の難しさが想像される。
東京都大田区と京都市の衛生部局の取組みについては、独自ルールの設定により地域住民の安心・安全を優先していることが衛生管理面については国のガイドラインの枠を超えるものは見られない。
民泊物件が多いパリでは、従前から短期貸し制度があるなど日本とは制度が異なるが、急増する民泊に対して監査の強化や電子登録制度が導入されていた。民泊の課題は主に賃貸住宅市場への影響や市街地での人口減少、住民税や宿泊税の徴収などとして認識されており、治安や衛生については、関心や価値観が日本とは異なるため、現在のところは大きな問題として認識されていない。住宅の格付け制度があり、民泊登録の基準には適用されていないが、衛生管理において影響は少なくないと思われる。

公開日・更新日

公開日
2018-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201726015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,400,000円
(2)補助金確定額
6,365,000円
差引額 [(1)-(2)]
35,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,286,983円
人件費・謝金 236,208円
旅費 1,852,992円
その他 1,989,669円
間接経費 0円
合計 6,365,852円

備考

備考
35,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2019-03-14
更新日
-