広域大規模災害時における地域保健支援・受援体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
201726012A
報告書区分
総括
研究課題名
広域大規模災害時における地域保健支援・受援体制構築に関する研究
課題番号
H29-健危-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
木脇 弘二(熊本県八代保健所)
研究分担者(所属機関)
  • 田上 豊資(高知県中央東福祉保健所)
  • 宇田 英典(鹿児島県伊集院保健所)
  • 角野 文彦(滋賀県健康医療福祉部)
  • 金谷 泰宏(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 劔 陽子(熊本県御船保健所)
  • 服部 希世子(熊本県阿蘇保健所)
  • 山田 全啓(奈良県中和保健所)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 健康社会医学講座)
  • 永井 仁美(大阪府健康医療部 保健医療室)
  • 白井 千香(枚方市保健所)
  • 犬塚 君雄(豊橋市保健所)
  • 松本 珠実(大阪市阿倍野区保健福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
8,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 DHEATの制度化と稼働に向けDHEAT業務の各論、応援調整システム、情報共有・情報処理ライン、保健所設置市課題などを明確に示す。自然災害に伴う重大な健康危機発生時の保健医療活動の自治体間の応援を効率的に行うため、DHEATの活動内容等を含む支援・受援ガイドラインの作成やDHEAT研修の内容に本研究の成果を反映し研修の質的向上にも貢献する。
研究方法
 研究期間は2年間。班を4グループ(G)とし応援調整、支援・受援業務、情報共有・情報処理、保健所設置市課題のテーマに分担。成果物を厚労省、都道府県等、保健所における行政政策として活用することを念頭に、全国衛生部長会標準化委員会委員長と全国保健所長会長が研究代表者を補佐する体制とし各グループが連携調整し研究全体を進めた。
結果と考察
[結果]1)応援調整:DHEAT要領案に係る保健所設置自治体アンケート調査を部長会と当班が実施にあたり項目を検討、集計考察。要領案応援調整部分を検討し、29年11月全国部長会厚労省提出の活動要領案に反映。
2)支援・受援業務:過去の研究事業や被災自治体検証のまとめ、先進県の県内支援要綱等比較を実施、求められるDHEAT活動を整理。熊本地震について被災地保健所報告書等から被災地とそれ以外の保健所等の課題を抽出。阿蘇圏域の活動から、マネジメントにおける市町村・県保健所・DHEATの役割を、熊本市の経験から政令市の業務を整理。具体的マネジメント業務を、階層・フェーズ毎に整理、専門性地域性から受援側・支援側(DHEAT)の担う役割を示し内容を班会議で検討、活動要領案に反映。
3)情報共有・情報処理:燃料・水・食料、感染症、食品衛生、動物管理、要援護者支援の情報伝達ライン図を作成。組織横断的情報共有の伝達ライン、業務別実施・情報共有機関を整理、支援者から被災地への報告帳票骨格を作成。情報共有範囲・公的私的の軸で情報の種類と加工による位置づけ変化を研究。情報チェックリスト骨格案を作成。
4)保健所設置市課題:全国衛生部長会アンケート調査に合わせ所属自治体以外にも同調査を実施、設置類型別に分析し指定都市,中核市・政令市,特別区について課題整理。大阪市災害時医療調整のイメージを図式化、熊本市-熊本県の連絡体制を模式的に示した。政令市保健所長連絡協議会提案議題「大規模災害時の保健所本部機能」について調査結果を集計し考察。

[考察]応援調整G、保健所設置市課題Gによる検討から、マネジメント支援のDHEATと、実際にプレーヤー的に支援業務を行う保健支援チームが混同されがちであることが窺えた。災害対応におけるマネジメントの重要性と、「溶け込み」型支援のことを含めDHEATの役割の理解を広げていく必要がある。DHEATの養成・編成については、保健所設置市のうち指定都市の多くが都道府県同様、単独での編成を予定していることの一方、指定都市以外の設置市では単独での編成が可能としたところはなかった。DHEAT要領案では「都道府県及び指定都市の職員によりDHEATを編成する」とされ、そのチーム編成に保健所設置市や特別区職員などを追加できる内容となっており、実際に対応した要領案となっている。
 今回の熊本地震では、(県型)保健所と、指定都市である熊本市保健所の対応において担った役割が大きく異なっていたことが振返りで明らかになった。保健所設置市課題Gによる検討では、保健所設置市の類型別課題は、市の規模というより組織のしくみ(都道府県との関係・市の内部での指揮命令系統)が関係しているとされる。この面で今後整理を進めることは、支援の立場、受援体制、さらに都道府県と設置市の相互支援体制整備の点からも重要である。
 情報共有・情報処理Gは、ライフラインの面や感染症等、保健所の専門性が求められる対応内容について情報伝達ラインの整理を試みた。受援体制整備としてそれぞれの自治体が取り組むべき内容だが、モデルとして意義は大きい。市町村、都道府県、国の3層ベースに作成されているが、特に、平時に市町村が窓口等を担っているものについて、市町村が機能できなくなった状態でのライン確保の検討などを進めていく必要がある。
 支援・受援業務班は、過去の研究や被災自治体による検証等を整理、熊本地震における対応を複数の立場から振返り、フェーズ・行政の階層・さらに受援側・支援側の3つの軸から災害時の公衆衛生マネジメント業務の整理を試みた。区分されたマトリックスには共通の業務が多く、「標準化」はある程度可能と思われ、今後のマネジメント業務のチェックリスト作成をはじめとする詳細事項の検討の材料とできる。
結論
これまでの研究や熊本地震での課題等整理し4テーマに分担し研究。成果を活動要領案に反映した。

公開日・更新日

公開日
2018-05-28
更新日
2019-03-22

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201726012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,500,000円
(2)補助金確定額
10,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 233,014円
人件費・謝金 0円
旅費 4,174,960円
その他 3,669,026円
間接経費 2,423,000円
合計 10,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-03-22
更新日
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