文献情報
文献番号
201726009A
報告書区分
総括
研究課題名
CBRNEテロリズム等の健康危機事態における原因究明や医療対応の向上に資する基盤構築に関する研究
課題番号
H28-健危-一般-009
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 明石 真言(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)
- 金谷 泰宏(国立保健医療科学院)
- 木下 学(防衛医科大学校)
- 齋藤 大蔵(防衛医科大学校)
- 嶋津 岳士(大阪大学)
- 竹島 茂人(自衛隊中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
6,527,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国のCBRNE災害・テロのリスクが増大する中で、厚生労働省の健康危機管理・テロリズム対策の強化は喫緊の課題である。本研究では、専門家ネットワークを確立し、国内外の最新の指針や技術等の知見を集約し、事例を分析し、本邦の対応体制の脆弱性を評価する。その成果を厚生労働省国民保護計画の改定の基礎資料として提言し、健康危機管理・テロリズム対策の強化に資することを目的とする。
研究方法
・健康危機管理・テロリズム対策に関する指針等や技術開発の動向等の国際的な情報を収集する。諸外国の国防・危機管理関係者が集まる会議において情報収集を行う。また、世界健康危機行動グループ(GHSAG)の会合等を通じて、先進国の健康危機管理・テロリズム対策の状況を把握する。
・国内のCBRNE関係の専門家会合を年2~3回程度実施する。国内における最新の知見を収集し、また、海外における最新の知見を共有する。そしてCBRNE災害に対する体制の課題、脆弱性を明らかにする。
・CBRNEテロ、災害の事例を分析し、その対応の課題と改善点を明らかにする。準備可能なイベントや準備できないイベントに対する応用可能な教訓を整理する。
・国際的な動向、国内ネットワーク、事例研究などから日本の健康危機管理体制の脆弱性、課題を明らかにし、国民保護計画改善点の素案を厚生労働省へ報告する。
・国内のCBRNE関係の専門家会合を年2~3回程度実施する。国内における最新の知見を収集し、また、海外における最新の知見を共有する。そしてCBRNE災害に対する体制の課題、脆弱性を明らかにする。
・CBRNEテロ、災害の事例を分析し、その対応の課題と改善点を明らかにする。準備可能なイベントや準備できないイベントに対する応用可能な教訓を整理する。
・国際的な動向、国内ネットワーク、事例研究などから日本の健康危機管理体制の脆弱性、課題を明らかにし、国民保護計画改善点の素案を厚生労働省へ報告する。
結果と考察
・米国国防危機削減庁主催の会議に参加し、生物化学テロへの対策等の最新動向を収集した。米本国での生物化学テロの脅威はあまり差し迫ったものではなく、医療対処を含めた基礎的な技術革新に傾注していた。米国やカナダを訪問し爆弾テロの有識者、研究者と意見交換を行った。米国ではエビデンスに基づいた事態対処医療が発展しており、日本の体制ではホットゾーンから負傷者に救命処置を行うコレクションポイントまでの救護を担当する機関がないことが問題である。
GHSAGの化学イベントワーキンググループの会議を開催した。化学剤曝露後の長期予後についてのシンポジウムでは、サリンへの急性曝露によって脳神経の連絡が変化している可能性が示唆された。医療チームのCBRNE教育についてのシンポジウムでは、迅速・効率的なトリアージ、除染の適応と方法、解毒薬等の使用、教育の方法論などが討議された。
・CBRNE関係の専門家会合を2回開催した。大洗の被ばく事故、オリンピック・パラリンピックに向けたテロへの多機関連携、爆弾テロ、化学テロ、北朝鮮情勢に関する事態対処、原子力災害・RNテロへの取り組みや医療体制、イスラエルでの対策について意見交換を行った。
・放射線分野に関係する国内外の指針や技術等の情報を収集した。高頻度事象を対象としたものが多く、低頻度のテロ・災害に対する関係機関の共通認識が必要である。平成29年に茨城県大洗町で起きた体内被ばく事故の事例を解析し、多数者の内部被ばく、特にプルトニウム等アクチニドによる内部被ばくに関しては、ほとんど対策ができていないことが判明した。
イスラエル担当省庁等を訪問し、テロ対策の情報・知見を収集し、意見交換を行った。イスラエルには災害対応を専門に行う国レベルの機関が存在し、各省庁との連携が行われていた。現場レベルでは、軍事的災害とその他の災害で対応が分かれ、特に、ミサイル攻撃に化学剤等が含まれる事案に関しては、警察ではなく軍事的訓練を受けた機関が対応を行っていた。本邦でも北朝鮮によるミサイル攻撃やテロなどのリスクに対し、災害対応の専門機関等、救護体制の確立が必要である。
・国際的な動向、国内ネットワーク、事例研究などから明らかとなったわが国の健康危機管理体制の脆弱性や課題と、現行の厚生労働省国民保護計画を比較し、その改善点を明らかにした。本年度は、国民保護計画のうちCBRNeテロへの対応について、実行可能性の検証を行った。特にH-CRISISを用いた都道府県との情報交換機能の未整備が課題である。健康危機情報の収集・提供については、わが国においてもディープラーニングにより未知物質の毒性を予測する手法の開発が着手されており、活用が期待される。
GHSAGの化学イベントワーキンググループの会議を開催した。化学剤曝露後の長期予後についてのシンポジウムでは、サリンへの急性曝露によって脳神経の連絡が変化している可能性が示唆された。医療チームのCBRNE教育についてのシンポジウムでは、迅速・効率的なトリアージ、除染の適応と方法、解毒薬等の使用、教育の方法論などが討議された。
・CBRNE関係の専門家会合を2回開催した。大洗の被ばく事故、オリンピック・パラリンピックに向けたテロへの多機関連携、爆弾テロ、化学テロ、北朝鮮情勢に関する事態対処、原子力災害・RNテロへの取り組みや医療体制、イスラエルでの対策について意見交換を行った。
・放射線分野に関係する国内外の指針や技術等の情報を収集した。高頻度事象を対象としたものが多く、低頻度のテロ・災害に対する関係機関の共通認識が必要である。平成29年に茨城県大洗町で起きた体内被ばく事故の事例を解析し、多数者の内部被ばく、特にプルトニウム等アクチニドによる内部被ばくに関しては、ほとんど対策ができていないことが判明した。
イスラエル担当省庁等を訪問し、テロ対策の情報・知見を収集し、意見交換を行った。イスラエルには災害対応を専門に行う国レベルの機関が存在し、各省庁との連携が行われていた。現場レベルでは、軍事的災害とその他の災害で対応が分かれ、特に、ミサイル攻撃に化学剤等が含まれる事案に関しては、警察ではなく軍事的訓練を受けた機関が対応を行っていた。本邦でも北朝鮮によるミサイル攻撃やテロなどのリスクに対し、災害対応の専門機関等、救護体制の確立が必要である。
・国際的な動向、国内ネットワーク、事例研究などから明らかとなったわが国の健康危機管理体制の脆弱性や課題と、現行の厚生労働省国民保護計画を比較し、その改善点を明らかにした。本年度は、国民保護計画のうちCBRNeテロへの対応について、実行可能性の検証を行った。特にH-CRISISを用いた都道府県との情報交換機能の未整備が課題である。健康危機情報の収集・提供については、わが国においてもディープラーニングにより未知物質の毒性を予測する手法の開発が着手されており、活用が期待される。
結論
CBRNE災害に対する国際的な最新の知見について、諸外国の学会・会議等への参加、関連機関への視察等により情報収集を行った。GHSAGの化学テロ作業部会を主催し、先進国における健康危機管理・テロリズム対策の状況の情報交換を行った。
CBRNEに関する国内専門家ネットワーク会合を開催し、情報交換を行った。
CBRNEテロ、災害の事例研究では放射線分野の国内外の指針等の情報収集を行い、大洗町の被ばく事故の事例から対応の課題を明らかにした。
厚生労働省国民保護計画の課題を明らかにし、国際的な動向、国内ネットワーク、事例研究などの成果を踏まえ、その改善点の検証を行った。
CBRNEに関する国内専門家ネットワーク会合を開催し、情報交換を行った。
CBRNEテロ、災害の事例研究では放射線分野の国内外の指針等の情報収集を行い、大洗町の被ばく事故の事例から対応の課題を明らかにした。
厚生労働省国民保護計画の課題を明らかにし、国際的な動向、国内ネットワーク、事例研究などの成果を踏まえ、その改善点の検証を行った。
公開日・更新日
公開日
2018-07-11
更新日
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