災害対策における地域保健活動推進のための管理体制運用マニュアル実用化研究

文献情報

文献番号
201726005A
報告書区分
総括
研究課題名
災害対策における地域保健活動推進のための管理体制運用マニュアル実用化研究
課題番号
H28-健危-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 美砂子(国立大学法人千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
  • 金谷 泰宏(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、統括的な役割を担う保健師(以下、統括保健師)のための、災害対策における管理実践に係るマニュアル及び研修ガイドライン(以下、マニュアル・研修ガイドライン)の作成、それらの検証を目的とするものである。統括保健師は、平時はもとより、災害時において、保健活動推進の要となることが過去の災害事例の検証からも示されているが、災害時に担うべき役割、コンピテンシー、人材育成方法は明確になっていない。災害時における統括保健師の役割・機能の充実と実効力を高めるために、統括保健師のための災害時の管理実践マニュアルとして、その役割・機能の内容、必要と考えられる組織体制の在り方を示すこと、また、統括保健師の災害時の管理実践能力の開発及び育成に向けて、都道府県や保健所設置市の本庁における人材育成担当部署が、職員の体系的な人材育成の一環で計画する災害時の対応力を高める研修の企画・実施・評価において役立つ研修ガイドラインを提示すること、をねらいとする。
研究方法
本研究は2か年の取組である。2年目の本年度は、昨年度の研究成果を踏まえて、①災害対策における統括保健師のための管理体制運用マニュアル及び研修ガイドライン(案)の策定、②策定したマニュアル・研修ガイドラインの現場適用による研修プログラムの立案・実施・評価、③マニュアル・研修ガイドラインの総合検証を行った。
結果と考察
マニュアル・研修ガイドライン原案に記載していた統括保健師の災害時のコンピテンシー4領域・89項目は、災害時対応に経験豊かな管理的立場にある保健師へのヒアリングを経て3領域・87項目の内容に精査し、さらに国・地方自治体等による既存の人材育成研修との関係、マニュアル・研修ガイドラインを活用した研修企画の流れ(手順)を明示し、マニュアル・研修ガイドライン(案)とした。このマニュアル・研修ガイドライン(案)を4県の本庁の保健師人材育成担当者に統括保健師を対象とする災害時研修企画に活用してもらい現場適用による検証を行った。現場適用の結果から、マニュアル・研修ガイドラインを活用し企画した研修は、統括保健師としての自覚と災害時における役割の理解、役割遂行に対する自己の問題点の把握、災害に向けた平時からの役割遂行に対して効果のあることが確認できた。また従来の研修の企画・実施・評価に比べて、コンピテンンーを活用したことにより研修企画・実施・評価が系統的で一貫性を担保できると評価された。一方で研修プログラムの具体的な構成や方法、特にシミュレーション事例の作成と活用、リフレクションの活用等において課題が見出されたことから、マニュアル・研修ガイドラインの改善点を検討し反映させた。本マニュアル・研修ガイドラインは、社会実装の段階としては、4県の現場への適用と検証のいわば単発の検証段階といえる。本マニュアル・研修ガイドラインが多様な現場で活用され、更なる検証と洗練が今後求められるところである。そのためには、このマニュアル・研修ガイドラインが保健師の人材育成体系と関連づけて活用されることや、職場でのOJTにおいて活かされるよう職場環境等のあり方とも関連づけていく必要がある。
結論
統括保健師の災害時のコンピテンー3領域・87項目を基盤に据えた、統括保健師のための災害対策における管理実践マニュアル及び研修ガイドラインについて内容の妥当性の検討、現場での適用による実用性及び効果の検証を通し、完成させた。

公開日・更新日

公開日
2018-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201726005B
報告書区分
総合
研究課題名
災害対策における地域保健活動推進のための管理体制運用マニュアル実用化研究
課題番号
H28-健危-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 美砂子(国立大学法人千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田  博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
  • 金谷  泰宏(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、統括的な役割を担う保健師(以下、統括保健師)のための、災害対策における管理実践に係るマニュアル及び研修ガイドライン(以下、マニュアル・研修ガイドライン)の作成、それらの検証を目的とするものである。統括保健師は、平時はもとより、災害時において、保健活動推進の要となることが過去の災害事例の検証からも示されているが、災害時に担うべき役割、コンピテンシー、人材育成方法は明確になっていない。災害時における統括保健師の役割・機能の充実と実効力を高めるために、統括保健師のための災害時の管理実践マニュアルとして、その役割・機能の内容、必要と考えられる組織体制の在り方を示すこと、また、統括保健師の災害時の管理実践能力の開発及び育成に向けて、都道府県や保健所設置市の本庁における人材育成担当部署が、職員の体系的な人材育成の一環で計画する災害時の対応力を高める研修の企画・実施・評価において役立つ研修ガイドラインを提示すること、をねらいとする。
研究方法
マニュアル・研修ガイドラインは、以下の手順により作成した。まず、わが国における過去の災害対応記録及び関係者へのヒアリング調査から、統括保健師に求められる災害時のコンピテンシーの内容項目を抽出し、研究者らによる検討を加え、災害時における統括保健師のコンピテンシー(案)を作成した。次いで、全国の統括保健師(都道府県の本庁47名、保健所設置市72名、大規模災害が想定される3県の保健所・市町の統括保健師136名の 計255名)を対象に、災害時における統括保健師のコンピテンシー(案)に対する意見、災害時の統括保健師の役割・権限、育成方法の現状と課題について、郵送自記式質問紙調査を行った。これらによる災害時における統括保健師のコンピテンシー検討結果を踏まえ、マニュアル・研修ガイドラインの原案を作成した。原案の妥当性を確認するため、災害時の対応に経験豊かな、管理期にある熟練保健師4名を対象に、原案についてのグループヒアリングを行い、マニュアル・研修ガイドラインに記載すべき内容を精錬し、マニュアル・研修ガイドライン(案)を確定させた。このマニュアル・研修ガイドライン(案)の実用性及び効果を検証するため、現場適用に協力の得られた4県の本庁の保健師人材育成担当者に、統括保健師を対象とした災害時研修の企画・実施・評価に本マニュアル・研修ガイドラインを活用してもらい、その活用の過程、研修受講者の成果を調べた。
結果と考察
本マニュアル・研修ガイドラインを活用した統括保健師を対象とした災害時研修受講者の受講直後及び2か月後の自己評価の回答から、企画された研修は、統括保健師としての自覚と災害時における役割の理解、役割遂行に対する自己の問題点の把握、災害に向けた平時からの役割遂行に対して効果のあることが確認できた。県本庁の人材育成担当者からは、従来の研修の企画に比べて、コンピテンンーを活用したことにより、研修企画・実施・評価が系統的で一貫性を担保できると評価された。一方で研修プログラムの具体的な構成や方法、特にシミュレーション事例の作成と活用、リフレクションの活用等において課題が見出されことから、マニュアル・研修ガイドラインの改善点を検討し反映させた。研究成果として「統括保健師のための災害に対する管理実践マニュアル・研修ガイドライン」を完成させた。本マニュアル・研修ガイドラインは、社会実装の段階としては、4県の現場への適用と検証のいわば単発の検証段階といえる。本マニュアル・研修ガイドラインが多様な現場で活用され、更なる検証と洗練が今後求められるところである。そのためには、このマニュアル・研修ガイドラインが保健師の人材育成体系と関連づけて活用されることや、職場でのOJTにおいて活かされるよう、職場環境等のあり方とも関連づけていく必要がある。
ていく必要がある。
結論
統括保健師の災害時におけるコンピテンシー3領域・87項目を導出し、それらの活用に基づいた管理実践マニュアル・研修ガイドラインを作成した。このマニュアル・研修ガイドラインによる研修企画は、統括保健師であることの自覚、役割遂行の理解、自己の問題点の把握など点で効果が確認できた。今後、本マニュアル・研修ガイドラインを様々な現場で活用し精錬を続ける意義がある。

公開日・更新日

公開日
2018-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201726005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国における過去の災害対応記録及び関係者へのヒアリング調査から、統括保健師に求められる災害時のコンピテンシーの内容項目を抽出し、研究者らによる検討を加え、災害時における統括保健師のコンピテンシー3領域87項目を明らかにした。
臨床的観点からの成果
統括保健師が災害時の役割を自覚し、実践能力を高めていく指標として、災害時における統括保健師のコンピテンシー3領域87項目を役立てることができる。また災害時における統括保健師の役割及び実践能力発揮のために必要な組織体制の整備に向けて役立てることができる。
ガイドライン等の開発
研究成果として「統括保健師のための災害に対する管理実践マニュアル・研修ガイドライン」を開発した。これは各都道府県及び保健所設置市の保健師人材育成担当者が、災害対策を視野に入れて統括保健師の研修の企画・実施・評価を行う際に、また人事担当者が統括保健師の効果的な人材配置を検討するうえで役立つ。
その他行政的観点からの成果
本研究が開発した「統括保健師のための災害に対する管理実践マニュアル・研修ガイドライン」について平成30年7月26日開催の保健師中央会議(厚生労働省主催)にて説明し全都道府県に周知を図る機会を得た。これにより各都道府県において災害対策における課題や地域特性を踏まえた災害時の活動推進の要となる統括保健師の人材育成及び人員配置を推進するうえで活用されているところである。
その他のインパクト
「統括保健師のための災害に対する管理実践マニュアル・研修ガイドライン」が開発されたことにより、統括保健師の行政組織内外での認知や役割の明文化などの体制整備、災害対策を視野に入れた保健師の系統的な人材育成、が進むことが期待できる。また統括保健師の災害時対応能力の開発に向けた自治体研修において本ガイドラインが活用されていることを確認している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
第76回日本公衆衛生学会(鹿児島市)、第77回日本公衆衛生学会(郡山市)、第21回日本看護管理学会(横浜市)等
学会発表(国際学会等)
4件
American Public Health Association Annual Meeting & Expo(サンディエゴ)等
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
24件
災害時の保健活動推進マニュアル(日本公衆衛生協会発行,2020)、全国各地の自治体統括保健師の災害時人材育成研修にて活用

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201726005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,160,000円
(2)補助金確定額
4,160,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 394,806円
人件費・謝金 1,617,955円
旅費 749,490円
その他 437,749円
間接経費 960,000円
合計 4,160,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-05-15
更新日
-