家庭用品中有害物質の試験法及び基準に関する研究

文献情報

文献番号
201725020A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭用品中有害物質の試験法及び基準に関する研究
課題番号
H29-化学-指定-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
河上 強志(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大嶋 智子(仲村 智子)(大阪健康安全基盤研究所 衛生化学部)
  • 西 以和貴(神奈川県衛生研究所 理化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(家庭用品規制法)」により、21種類の有害物質について指定家庭用品に含まれる有害物質の含有量や溶出量について基準が定められている。これらの有害物質について、現在の分析技術水準から乖離した分析機器や有害な試薬の使用が問題となっており、試験法の改正が求められている。また、対象有害物質について新たなハザード情報や曝露に関する知見を加え、現行基準値の見直しを検討したり、現行の「検出されないこと」とされている有害物質の基準に対して、基準値を設定したりする必要がある。さらに、有害性が懸念される代替物質の使用や、生活様式の多様化に伴う新形態の家庭用品の創出、及び新たな化学物質の使用可能性もあり、健康被害の発生が懸念される。このような背景から、本研究では、現行の家庭用品規制法における有害物質の改正試験法の開発及び規制基準値改正、並びに現行規制基準では対象外の家庭用品及び有害物質に対する規制基準設定に資する情報収集を目的として、溶剤3種類(メタノール、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)、防炎加工剤3種類(TDBPP、BDBPP化合物、APO)及び防虫剤2種類(ディルドリン、DTTB)について、キャピラリーカラムを用いたGC-MSを用いた試験法を検討すると共に、それらのハザード及び曝露情報を収集し、基準値について検討する。さらに、新規に対象とすべき家庭用品又は有害物質について、諸外国の規制基準、健康被害状況等について調査し、規制基準設定の是非の検討に必要な情報を提供する。
研究方法
今年度、試験法の改正は、溶剤3種類についてHS/GC-MS法による各種カラムでの分離条件や溶媒、防炎加工剤2種類(TDBPP及びBDBPP化合物)についてGC-MS分析時の誘導体化方法、防虫剤2種類についてGC-MS分析時の誘導体化方法及び夾雑物質の影響について検討した。ハザード及び曝露情報の収集では、溶剤3種類について国際的な研究機関等の評価文章を中心に、体内動態・代謝、ヒト及び実験動物に対する毒性情報(特に吸入曝露による影響)並びに許容濃度等について収集・整理して得られたハザード情報と、曝露情報とを比較して基準値について検討した。諸外国等の規制基準等に関する情報収集では、我が国の家庭用品において未規制で、複数の国や地域で規制されている物質のうち、VOCsやフマル酸ジメチルについてEUにおける違反状況を調べた。さらに、有機リン系難燃剤や多環芳香族炭化水素類の規制に関する動向についても情報収集した。
結果と考察
テトラクロロエチレン及びトリクロロエチレンをキャピラリーカラムを用いたHS/GC-MS法で分析した結果、十分に分離して分析できることが確認できた。また、溶媒にNMPを用いて31種類のVOCsを分析した結果、NMPは分析対象化合物を妨害せず、試験時の溶媒に適していると考えられた。防炎加工剤では、TDBPP及びBDBPP化合物について検討を行い、BDBPP化合物は誘導体化が必要であり、誘導体化法として現行のメチル化よりもトリメチルシリル化が適していること等が確認できた。防虫剤では、DTTBはPTAHが誘導体化に適していること、夾雑物による影響は試料溶液の精製により低減出来る事等が確認できた。溶剤3種類について、ハザード情報や曝露情報の収集を実施した。そして、ハザード情報と曝露情報から推定した平均室内空気中濃度とを比較した。その結果、これら3種の有害物質について、現行基準値を改正する必要は無いと考えられた。また、複数の国や地域で規制されている物質について、EUにおける違反状況等を調査した結果、トルエンやクロロホルムは毎年違反が報告されていたり、フマル酸ジメチルでは違反件数は減少したが、以前とは異なる製品で検出されたりしていた。そのため、今後、これらの物質について注目していく必要があると考えられた。さらに、有機リン系難燃剤やPAHsについて、EU及び米国における規制状況等の現状を把握した。
結論
平成29年度は対象有害物質について、分析方法に関する情報収集を行うと共に、キャピラリーカラムを用いたGC-MS条件の予備検討を実施した。平成30年度以降は、ガスクロマトグラフにおける対象化合物の測定条件をより詳細に検討すると共に、前処理方法等を検討し試験法を開発する。そして、開発した試験法について研究代表及び分担者の各機関が連携して、妥当性評価を実施する。ハザード情報及び曝露情報の収集について、平成29年度は溶剤3種類を対象とした。平成30年度以降は、まず防炎加工剤3種を対象とし、次に、防虫剤2種についても情報収集を実施する。また、我が国で未規制の物質について、諸外国規制状況等を継続して情報収集する。

公開日・更新日

公開日
2018-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201725020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
9,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,408,909円
人件費・謝金 0円
旅費 80,400円
その他 3,512,792円
間接経費 0円
合計 9,002,101円

備考

備考
超過分は自己資金(2,101円)にて補填した

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-