ヒト未分化胎盤幹(TS)細胞を用いた新規細胞評価システムの開発

文献情報

文献番号
201723040A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト未分化胎盤幹(TS)細胞を用いた新規細胞評価システムの開発
課題番号
H29-食品-若手-011
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
岡江 寛明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 樋浦 仁(東北大学 大学院医学系研究科 )
  • 宮内 尚子(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 北村 茜(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 有馬 隆博(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最近の毒性評価試験では、動物実験の代替法として、in vitro発生毒性試験法が求められている。本研究では、分化誘導型ヒト胎盤栄養膜幹(TS)細胞を用い、単一な化学物質ばく露ではなく、低濃度でも長期間および複合ばく露による細胞毒性について、様々な異常に対する毒性評価法(TST法)を確立することを目的とする。特に、エピゲノム変異検出系は、低用量でも残留性、遅発性の有害事象の指標として子宮内環境評価法となる可能性がある。本研究では、TST法の有用性について検討することを目的とした。
研究方法
ヒト未分化栄養膜幹細胞(TS細胞)に化学物質(BPA, PAE (DEHP, MEHP), NP)を血液濃度を参考に100倍濃度までの単独で5段階希釈法により培養液(フェノールレッド非添加、無血清培地)に添加し、ガラス製培養ディッシュにて培養した。細胞は3日目、7日目、14日目、21日目に回収し、DNAを抽出した。細胞形態学的な特性と5種類のインプリンティングを受ける遺伝子のアレル特異的メチル化領域(H19, PEG3, MEST, C19MC, IG-DMR)を対象としたエピゲノム(DNAメチル化)の定量解析を行い、TST法の有用性について検討した。
結果と考察
基準値の100倍濃度の4種類の化学物質を添加した場合、顕微鏡学的に細胞形態の変化や増殖能に著しい変化はみられなかった。次にDNAメチル化の定量解析では、急性期血中濃度の100倍濃度では、インプリント遺伝子に顕著な変化はみられなかった。しかし、血中濃度の100倍濃度のフタル酸エステル(DEHP)を添加した場合には、培養期間が長期(21日間)に及ぶとIG-DMR遺伝子のDNAメチル化が低下することが確認された。
結論
化学物質暴露における急性、遅発性効果について、インプリント遺伝子のメチル化に変化が見られたことから、本法の有用性の一部が確認された。しかし、複数の細胞での確認の必要性や遅発性効果に関しては、細胞培養によるメチル化の変化や細胞特性の変化について再度検討する必要があると考えられた。また、低用量の場合においても複合暴露に関して考慮しなければならないと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-05-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201723040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,393,272円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 146,728円
間接経費 460,000円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-05-22
更新日
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