全ゲノム情報を用いた腸管出血性大腸菌サーベイランス実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201723038A
報告書区分
総括
研究課題名
全ゲノム情報を用いた腸管出血性大腸菌サーベイランス実用化に関する研究
課題番号
H29-食品-若手-009
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
李 謙一(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli: EHEC)は、日本において年間3,000名以上の感染者が報告されており、反復塩基型別(MLVA)法などの分子疫学手法でのサーベイランスが行われている。本研究では、全国サーベイランスの高精度化を目的としている。そのために、サーベイランスの基盤的情報整備のためにmutSの欠失頻度の測定および非メジャー血清群のゲノム解析、実用化のためにコアゲノムMLSTなどの解析パイプラインの確立を行った。
研究方法
mutSの欠失頻度の測定のために、EHEC3株を、室温、-4°Cまたは-80°Cで保存し、1か月後および6か月後に同遺伝子の有無をPCRで確認した。
非メジャー血清群EHECの解析のために、ロングリードシークエンサー(PacBio RSII)でEHEC O69、1株の全ゲノム解読を行い、得られたリードをアセンブルし、完全長ゲノム配列を決定した。さらに国内分離EHECO69、計6株の全ゲノム配列をMiSeq(Illumina)で取得し、コアゲノム系統解析を行った。
local BLASTおよびPerlを用いたコアゲノムMLST解析パイプラインを確立した。確立したパイプラインで用いるのに適したアセンブラーを明らかにするために、A5-miseq、Platanus、SPAdesで作製したドラフトゲノムでコアゲノムMLSTを行い、結果を比較した。
結果と考察
EHEC O69の完全長ゲノム配列を決定した。国内で分離されたO69株の高精度な系統解析を行い、国内分離株で遺伝的に近縁な株の存在を明らかにした。
コアゲノムMLSTの解析パイプラインを確立した。加えて、コアゲノムMLSTなどのin silico解析のためのアセンブラーとしてはSPAdesが適することが明らかとなった。
結論
今までに報告されていなかったEHEC O69の完全長ゲノム配列を決定したことは、WGSを用いたサーベイランスの高精度化とともに同血清型の病原性解明につながると考えられる。本年度確立したcgMLST解析パイプラインは、実用的なサーベイランスツールとなることを目指し、今後病原遺伝子検出などの機能を搭載することを計画している。

公開日・更新日

公開日
2018-04-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201723038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,500,000円
(2)補助金確定額
2,499,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,403,650円
人件費・謝金 0円
旅費 63,702円
その他 31,948円
間接経費 0円
合計 2,499,300円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
-