人工・天然由来臭素系化合物の乳幼児摂取量評価

文献情報

文献番号
201723037A
報告書区分
総括
研究課題名
人工・天然由来臭素系化合物の乳幼児摂取量評価
課題番号
H29-食品-若手-008
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 由希子(第一薬科大学 薬学部 分析化学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
1,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)等の臭素系難燃剤は火災予防に広く使われていたが、RoHS指令、ストックホルム条約、業界の自主規制等によりその使用量は減少している(旧臭素系難燃剤群)。一方で上記の代替品として現在使用量が増加しているのがエチルヘキシルテトラブロモ安息香酸エステル(TBB;  2-ethylhexyl-2,3,4,5-tetrabromobenzoate)、ビスエチルヘキシルテトラブロモフタル酸エステル(TBPH;  bis(2-ethylhexyl) 2,3,4,5-tetrabromophthalat)等の新規臭素系難燃剤群である。また、これら人工の臭素系化合物の他に、海洋生態系を発生源とする天然由来の臭素系化合物が存在する。臭素系難燃剤と類似した構造を持つこれらの天然由来臭素系化合物は日本近海の海洋ほ乳類・魚類にも検出され、食用魚類を通じたヒトへの曝露が懸念される。本研究ではこれらの人工・天然の臭素系化合物を対象に、母乳を含む乳幼児食品からの曝露評価を行い、リスク管理の基礎資料とすることを目的とする。
研究方法
1) 乳幼児食品の収集:
分析試料の収集を実施した。2歳までの乳幼児の1日食を陰膳方式で収集を行った。得られた食事試料は各食品群の重量の記録後、1日食ずつホモジナイズ処理を行った。さらに市販されている乳幼児食品の購入、母乳・粉ミルクの収集も行った。
2) 新規臭素系難燃剤の微量分析法の検討:
新規臭素系難燃剤はTBB, TBPH, BTBPE, DBDPEを最初のターゲットとし、GC-MSを使用し分析法の検討を行った。
3) 旧臭素系難燃剤と天然由来臭素系化合物の分析:
収集した分析試料を用いて旧臭素系難燃剤と天然由来臭素系化合物の化学計測を行った。
4) Caco-2細胞を用いたin vitro実験:
臭素系化合物での腸管での吸収を明らかにするために、薬物の消化管膜透過性のスクリーニングに用いられるCaco-2細胞(小腸上皮細胞モデル細胞)を用いて透過係数を算出する予備実験を行った。
結果と考察
平成29年度は乳幼児関連試料(陰膳・母乳・市販食品・粉ミルク)の収集と分析前処理を完了した。また、GC-MSを用いた新規臭素系難燃剤分析の予備的検討を行い、一部試料で旧臭素系難燃剤と天然由来臭素系物質の測定に着手した (論文発表1 Fujii et al., 2018: 論文発表2 Fujii et al., 2018)。Caco-2細胞を用いたvitro実験については、確立されたアッセイ系 (論文発表3 Kimura et al., 2017)を用いて、平成30年度に透過係数を算出する予定である。
結論
平成29年度は分析試料の収集、前処理、新規臭素系難燃剤分析の予備的検討、旧臭素系難燃剤と天然由来臭素系物質の測定に着手した。平成30年度は引き続き、新規・旧臭素系難燃剤・天然由来臭素系化合物の分析とin vitroの評価を行い、得られた数値をデータベースとしてまとめ、解析データとする予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-07-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201723037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,539,300円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 700円
間接経費 460,000円
合計 2,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-11-26
更新日
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