食品に残留する農薬管理における方法論の国際整合に関する研究

文献情報

文献番号
201723033A
報告書区分
総括
研究課題名
食品に残留する農薬管理における方法論の国際整合に関する研究
課題番号
H29-食品-指定-014
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
適正農業規範(GAP)の一部として、健康に影響のない残留にしかつながらない、必要最小限の農薬の使用が規定される。農薬の最大残留基準値 (以下、MRL)は、規定に従い農薬が使用されたことを確認するための指標であり、指標を下回り規格を満たした食品の消費が消費者の健康保護につながる。食品流通のグローバル化が進む現在、MRLの設定は一国だけの課題ではなく、国際的な調和の下で各国が取り組むべき課題である。
 本研究では、国際的な調和の下でMRLを設定するために必要な原則や方法論をまとめ、手順を示す文書の開発を目的とした。また、Codex委員会が設定するMRLの導入や同じ原則に従った設定を可能にする、我が国の実態を踏まえた食品分類の作成、さらに、MRLへの適合判定において明確化すべき検査部位に対する改善点の勧告を目的とした。
研究方法
FAO Plant production and protection paper 225; Submission and evaluation of pesticide residues data for the estimation of maximum residue levels in food and feed、Codex手続きマニュアル、改訂作業中のCodex食品分類のうち2017年までに採択されたもの、1993年出版のCodex Alimentarius Vol. 2、Portion of Commodities to Which Maximum Residue Limits Apply and Which is Analyzed (CAC/GL 41-1993)等の各種国際文書や、国内で実施されているポジティブリスト制度に含まれる食品分類、分析法関連通知、また食品消費量データ等を詳細に分析し、我が国における残留農薬規制に不可欠なMRL設定の手順を示す文書を開発するとともに、新たな食品分類を作成し、検査部位における改善点を勧告した。事例検証した柑橘類の加工係数に関しては、オランダ国立公衆衛生環境研究所が公開するデータベースを利用し調査した。
結果と考察
我が国のMRL設定の基本とすべき、国際的に調和した原理・原則及び手順をまとめた文書を開発した。国際的に調和したMRLの設定に不可欠でありかつ、Codex委員会が積極的に進めるグループMRLの設定等も可能にする新たな食品分類を、我が国に流通する食品の種類や消費量の実態も踏まえ開発した。また、我が国における動物性食品の検査部位について、Codex委員会により規定との乖離を明らかにし、規定の明確化を含め、整合に資する提案した。さらに、柑橘類の一部を例に、果皮の除去といった加工が、MRLの値に与える影響を示した。
結論
開発したMRL設定のための手順書には、現在の国際標準となる原理・原則と方法論をまとめた。今後、国内におけるMRL設定の基本として規制当局により活用されることが期待され、国際整合した状態を維持するために必要に応じた改定を検討すべきである。同じく、新たに開発された食品分類に関しても、国際的に整合したMRLを効率的かつ効果的に設定するための重要かつ不可欠な要素として活用すべきである。さらに、輸出入時に不要な係争が発生する可能性を低下させるために、検査部位の整合と明確化を進めることが求められる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201723033C

成果

専門的・学術的観点からの成果
適正農業規範(GAP)の一部として規定された方法に従い、必要最小限の農薬が使用される。この規定に沿った農薬の使用を確認するための指標として最大残留基準値(MRL)は設定され、検査が実行される。MRLの設定と検査の実行に不可欠な国際的に認められた原理・原則、方法論をまとめるとともに食品分類を開発する本研究は、我が国の行政施策に直結する研究として非常に高い専門性を有する。
臨床的観点からの成果
臨床を取り扱う研究は実施されておらず、よって成果はない。
ガイドライン等の開発
担当部局における農薬の最大残留基準(MRL)設定の手順と留意点をまとめた文書を開発した。本文書には、国際的に認められた原理・原則に基づく手順を中心にまとめた。本研究で開発された食品分類と合わせ、我が国のMRL設定における活用が期待される。
その他行政的観点からの成果
これまでに、国際的に通用するMRL設定の手順を十分な内容でとりまとめた文書は開発されていない。また、MRL設定の対象となる食品は、十分に合理的な内容で分類されていなかった。本研究により開発された文書並びに食品分類を活用し、今後MRL設定がされることにより、国際基準の導入や諸外国への合理的な説明が可能となりまた、その結果として食品輸出入時の係争の可能性が低下するといった、高い行政効果が期待される。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
食品分類、分析部位の国際整合等について部会・審議会に報告し了承。
その他成果(普及・啓発活動)
1件
厚生労働省担当部局職員を対象とした講義の開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-05-23
更新日
2022-06-10

収支報告書

文献番号
201723033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,500,000円
(2)補助金確定額
1,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,423,655円
人件費・謝金 0円
旅費 52,428円
その他 23,917円
間接経費 0円
合計 1,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
-