メンタルヘルス問題を予防する教育・普及プログラムの開発および評価

文献情報

文献番号
201722006A
報告書区分
総括
研究課題名
メンタルヘルス問題を予防する教育・普及プログラムの開発および評価
課題番号
H28-労働-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
竹中 晃二(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 島津 明人(北里大学一般教育部)
  • 山田冨美雄(関西福祉科学大学心理科学部)
  • 嶋田 洋徳(早稲田大学人間科学学術院)
  • 上地 広昭(山口大学教育学部)
  • 島崎 崇史(上智大学文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,地域,職域,および学校において人々のメンタルヘルス不調を予防し,さらにはポジティブなメンタルヘルスを強化させることを目的に,具体的なプログラムおよびキャンペーンを開発し,それらの評価を行うことである。本研究では,メンタルヘルスのネガティブ側面への予防的アプローチとポジティブ側面の強化を目的としたプロモーション・アプローチの両面からメンタルヘルス問題の予防について研究している。一方で1)メンタルヘルス問題の汎用型予防を目的としたストレスマネジメント教育プログラムの開発,他方では2)メンタルヘルスをよい状態に保つメンタルヘルス・プロモーションの行動変容型プログラムの開発,を目指した研究をおこなっている。
研究方法
平成29年度では, 1)ストレスマネジメント教育に関する研究,および2)メンタルヘルス・プロモーションに関する研究,をおこなった。ストレスマネジメント教育に関する研究としては,「認知行動療法を用いたストレスマネジメント教育プログラムの開発・評価」および「ポジティブストレスマネジメント研修のストレス緩和効果に関する予備的介入」をおこなった,一方,メンタルヘルス・プロモーションに関する研究としては,「強みに基づくポジティブ心理学的介入アプリケーションの開発」,「メンタルヘルスプロモーション行動パターンとストレス状況との関連」,「メンタルヘルス・プロモーション及びその普及啓発に関する研究」,および「予防教育プログラムの評価」,の5研究を実施した。
結果と考察
ストレスマネジメント教育に関する研究では,「認知行動療法を用いたストレスマネジメント教育プログラムの開発・評価」において以下2つの研究をおこない,セルフマネジメント介入の効果を高めるためにICTを用いて個人の睡眠の問題をアセスメントし,睡眠リズムを整えることを基盤とした介入プログラムを開発し,評価をおこなった。さらに,児童集団を対象としたストレスマネジメント介入を扱った研究を概観し,再現性および實證性を担保するために必要な要件をまとめた。「ポジティブストレスマネジメント研修のストレス緩和効果に関する予備的介入」では,ストレスマネジメント研修会の内容にポジティブストレスマネジメントの要素を取り入れ,その実施継続が従業員のストレス状況に有効となるかいなかを実証的に検討した。一方,メンタルヘルス・プロモーションに関する研究においては,まず,「強みに基づくポジティブ心理学的介入アプリケーションの開発」において,セルフモニタリングを行わせるスマートフォン用アプリケーションの開発した。「メンタルヘルスプロモーション行動パターンとストレス状況との関連」では,日常生活において実践可能な『こころの健康』を促進する行動と職業性ストレスとの関連性を検討し,行動実施のパターンから職業性ストレスとの関係を探った。「メンタルヘルス・プロモーション及びその普及啓発に関する研究」では,普及啓発を目的としたメンタルヘルス・プロモーション・リーフレットを開発し,配布による普及啓発の効果を検証した。最後に,「予防教育プログラムの評価」では,リカバリー経験を促進するためのプログラム(アプリ)の開発,および個人特性がワーカホリズムとリカバリー経験との関連に及ぼす影響を調べた。
 以上2テーマ,合わせて8研究をおこない,それぞれの成果について議論し,有益な知見を得た。
結論
従来,わが国に限らず,先進諸国におけるメンタルヘルス対策は,主に専門家による治療・心理療法,復職・復学支援などの回復支援,またストレスチェック制度に見られるように,質問紙調査などを用いたスクリーニングを行った上での初期介入が中心であった。たとえ,メンタルヘルス問題に「備える」という観点が存在しているとしても,地域,職域,および学校における管理者が,彼らの管理下に置かれている人々にその兆候が現れた段階で専門家に委ねるという形が一般的な対処であった。
 本研究で得られた知見は,今後,ポピュレーション・ワイド・アプローチの内容に活かすだけでなく,職域,地域,および学校のそれぞれの場における予防プログラムとしての活用が可能である。研究で得られた知見を単に研究報告することから,今後は個人だけでなくさまざまな場や状況において,実際的な予防行動として普及啓発する必要があり,この普及啓発活動は従来の厚生労働省行政の施策を強化するものと期待している。

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201722006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,060,000円
(2)補助金確定額
3,060,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,220,252円
人件費・謝金 258,000円
旅費 523,300円
その他 358,441円
間接経費 700,000円
合計 3,059,993円

備考

備考
補助金確定額と支出合計の差異が7円あり,その理由としては,予定していた消耗品の購入が締め切りに間に合わず,代替の消耗品購入にあてたため。

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-